日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

萩尾望都×ヤマザキマリの鼎談「イタリアと日本人 文化とサブカルチャーをめぐって」を聞いてきました(2016.11.9)@イタリア文化会館

2016年11月19日 | イタリア関連の催し
萩尾望都×ヤマザキマリの鼎談「イタリアと日本人 文化とサブカルチャーをめぐって」を聞いてきました(2016.11.9)@イタリア文化会館



この日は 念願の「萩尾望都先生」に生まれて初めてお会いできるとあり 中学生の頃に夢中で読んでいた「ポーの一族」がとってもなつかしくなり また読みたくなりました~ この日の萩尾先生は着物姿で 私はこの日初めてお顔を拝見いたしました(#^.^#)

ヤマザキマリ先生は あちこちでお見かけするのですが 実物は初めて♡ あの喋りっぷりにはほれぼれ♡

そしてジョルジョ・アミトラーノ・イタリア文化会館館長(日本文学者)も よく文化会館でお見かけするのですが 話したことはアリマセン...
 
鼎談「イタリアと日本人 文化とサブカルチャーをめぐって
」この日の出演者は:

萩尾望都(漫画家)×ヤマザキマリ(漫画家)×ジョルジョ・アミトラーノ(イタリア文化会館館長)

イタリア文化をこよなく愛するふたりの著名な漫画家、萩尾望都氏とヤマザキマリ氏が、イタリア文化会館館長ジョルジョ・アミトラーノとともに、日本の文芸作品やマンガ、テレビ番組などでイタリアがどのように描き出されているかについて議論します。
そこには、イタリア人も納得する現実のイタリアが描かれているのでしょうか。それとも、現実とは異なる、日本人の求めるイタリア像が演出されているのでしょうか。

    *       *       *

まずは3人の出会いから... ヤマザキマリ先生は若い頃 萩尾望都先生の作品を読んで 海外への興味が焚きつけられたとのこと 一方萩尾望都先生は アミトラーノ館長を通してナポリ大学での講演のお話をいただいたこと パリでのブックフェアでヤマザキマリ先生と対談し 知り合うこととなったそうで 一同他のメンバーともご一緒に 新宿のいきつけのイタリア料理レストランに頼んで「古代ローマ時代の料理」(豚の乳房とか...!)を食べにいらしたそうです

まずは映画から入り アメリカ映画では関係ない国を描くが 日本映画でもこの頃は「ラストサムライ」とか「サユリ」とか 日本以外を舞台にしたどこの国かわからないような映画が作られている 
テルマエ・ロマエ」はまず仏訳で売れてからイタリア語に訳されたが評判はいまいち(すかさずアミトラーノ館長は「私は好きだ♡」と)

ゴッドファーザーもF.コッポラ監督ですが アメリカ映画ですよね シチリアのシーンはイタリア人から見てどう映ったか?これも興味深かったです イタリア人には作れない映画とのことでした アメリカ人がイタリアを舞台にして作った映画は不自然な...というわけ

一方「ローマの休日」はわるくない とにかく当時は映画の持つ普及力は大きく 実際に行くよりもより大きな力を持っていたわけです


次にタレント これは日本でかの有名なイタリア人タレントが話に出ましたが 日本で有名でもイタリアではそれほど知られていない 日本人の求めるイタリア人をわざと演じているところがある (それは私も聞いたことがあります) ということですね!!

そこから カメラを提げた旅行客のプロトタイプの日本人のイメージ しとやかな日本人女性のイメージについて話が移り 萩尾望都先生はご自身がそんな「日本のワクに入れない 海外文学の方がすっと入れた 漫画はそこから解放させる為に描くものだった」との話 それでも大きな瞳の少女漫画から 描きたかった作品(ポーの一族など)を描けるようになるまでは長かったそうです

ヤマザキマリ先生も同様に 日本人の枠には収まらない方で 恋愛に悩む若者がわからない むしろ「テルマエ・ロマエ」に出てくる日本人のおじいさん(平たい顔の民族!)の方がわかる と言うと一同爆笑(笑)

萩尾望都先生は パリに行った時にアランドロンみたいな人が多かったのに イタリアに行ったらそんな人はいなくて...とまた爆笑(笑) これも「プロトタイプ」のなせる技?


アミトラーノ館長は 自分は日本に長くて日本人みたいに感じているとのこと 日本文学者でもあられ 吉本ばなな作品の翻訳も手掛けていらっしゃいます

日本非公開の80年代に作られた「ミシマ」という 外国人の見たがる三島由紀夫像を描いた作品の話も出ました 
また なぜイタリアでは吉本ばななや村上春樹が人気なのか?についても アミトラーノ館長は 感受性がイタリア人と日本人が似ているから とのこと

また イタリア人は日本のアニメが大好きで ルパン三世やハーロック等... キャプテン翼が好きでサッカーを始めたイタリア人も多いそうです♪

吉本ばななは 家族のいない家族の話を書いており 思春期の独立とフィットしていると萩尾先生  そして日本のアニメには孤児がよく出てくる(「あしたのジョー」等←009もね♡) それがイタリア人が日本のアニメに入りやすいのかも? 究極のマザコンである「母をたずねて三千里」のマルコ少年しかり あれは「クオレ」の一つの挿話を一年シリーズアニメに仕上げたのですが なんと12月2日~22日までイタリア文化会館で「マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里展」」をやるのです!! う 嬉しすぎ...(涙)
 

話を戻しますと(笑) 「アルプスの少女ハイジ」もイタリアで人気だったそうです イタリア人はイタリアで制作されたとばかり思っており 日本で作られたと知るとビックリ!! ←それを聞いてこちらもビックリ(笑)

フランダースの犬」(パトラッシュ、ネロ)はイタリア人にはあまり知られておらず 館長も「聞いたことあるけど...」という感じでしたが 日本の当時の少年少女は最終回で泣いたものです... でも日本では有名だけど ヨーロッパでは「犬は天国に行けないのでは?」などとつっこまれたりして(/_;)

日本のアニメは世界の児童文学をよくアニメ化していますね
 
*ここで私なりの勝手な解釈を挿入させていただきますと~ ヤマザキマリ先生は若い頃萩尾望都先生の「外国を舞台にした漫画」を見て海外への興味が焚きつけられた とこの日語られましたが 当の萩尾望都先生は少女時代世界児童文学を多く読まれており 代表作『ポーの一族』は「永遠にこどもであるこどもをかきたい」との発想から、石ノ森章太郎の『きりとばらとほしと』の吸血鬼の設定の一部をヒントに構想を思いついたとあります(wikipedia)

 初期の頃の石森章太郎やトキワ荘の漫画家たちはよく 世界児童文学をベースにした漫画を描いていたのでありました ちゃんちゃん♪
それに日本アニメーションは『小さなバイキングビッケ』・『フランダースの犬』・『みつばちマーヤの冒険』等の名作路線を推進しており 『世界名作劇場』シリーズを始め名作文学のアニメ化作品を放映し 1980年代までの日本アニメーションの一つの特色となっていた
それらの作品は日本国外への輸出も前提として製作されていた」とあります(wikipedia)

日曜夜はいつもそれを見て育った世代の私は それらをひと世代遅れで見たイタリア人たちと アニメを愛する同じハート♡♡でつなかっているわけでして...(#^.^#)


さて ヤマザキマリ先生はシェークスピアの「ロミオとジュリエット」について シェークスピアはイタリアに行ったことはないが...と話され 館長がそれを4月に開催されたイタリア文化会館のイベント「シェークスピアのイタリア」で イギリスではイタリアの本がとても多かった イタリアをベースにした「ロミオとジュリエット」をヴェローナの人々は誇りに思っているという話をしてくださいました 

そこでマリ先生が 自分の作品を姑がついに読んでしまった時のきわどいエピソードを紹介してくださり(;'∀') 


続く質疑応答では イタリアでは他の国のアニメ等も輸入されているが やはりテレビアニメは日本が制した という結論だったようです
また どらえもんやクレヨンしんちゃん は スペインでは受けたがなぜかイタリアでは受けなかったとのこと

萩尾望都先生の40年来のファンという男性も バンパネラの名づけについての質問をしてらっしゃいました  また他の方は 自分が〇〇人だとアイデンティティを感じる時はどんな時?との質問をされ マリ先生は 欧米では感動のリアクションがすごいが 日本は情緒性のあるシンプルな表現で表す また日本人はまわりがどう思うかが日本人を作っていると 
萩尾先生は 和歌を詠む時 おにぎりを食べる時 そして館長は 外国ものばかり好きだったが 来日して初めてイタリアの良さを再発見したとのこと

そして 二人のファンの女性からは 美術史的に影響を受けた画家は?との質問がなされ 
萩尾先生は ミケランジェロ あの巻き毛やドレープがよいとのこと
マリ先生は テルマエ・ロマエで初めて描きたいものを描いた時に 眉間にしわがよっているのに気づき ジォットに似てる!と発見されたそうです ジォットの絵には眉間にしわが入っており 初めてそうした画家だとのこと へぇ~(*'ω'*)

また 「日本人が主人公じゃないと感情移入ができない」とマリ先生が昔言われたことについての質問があり 今はそうでもないとのこと またイタリアでは イタリア人が主人公でないとダメというわけでもなく 日本人が主人公の「ルパン三世」も流行っているそうです イタリアでは日本よりも先に実写版が作られたくらいですって(^_^)


自分のアニメ好きだった青春が 語学漬けの日々にふたたび取り戻す日が来ようとは...これもイタリアで日本の漫画やアニメが受け入れられたからこそですね~ ともあれ 生まれて初めて少女の頃夢中で作品を読んでいた萩尾望都先生を実際に舞台で見ることができて お話が聞けて 本当に行ってよかったです!!

12月は「マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展」小田部羊一作画監督(12/10)と高畑勲監督(12/17)のトークショーそしてコンサート(12/18)も楽しみです!!


開催のお知らせは こちら


マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展は こちら


素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます




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