日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

公開講演会2017「ピノッキオかクオーレか ~いまを映す鏡としての子ども~」を聞いてきました(2017.7.22)@星美学園短期大学日伊総合研究所

2017年08月17日 | イタリア関連の催し
公開講演会2017「ピノッキオかクオーレか ~いまを映す鏡としての子ども~」を聞いてきました(2017.7.22)@星美学園短期大学日伊総合研究所


毎年必ず参加している公開講演会 今年は 和田忠彦先生による「ピノッキオかクオーレか ―いまを映す鏡としての子ども
 “Cuore" o “Pinocchio”  -I bambini come specchio di “oggi”」
という演題でのお話でした

公開講演会で2本の柱となった作品は まずは エドモンド・デ・アミーチスクオーレ"Cuore"

これは 自分への評価が低いことに悩んでいたアミーチスが 1883年に息子のために書きおろした小説で 毎月ひとつの話を語る形式で イタリアではイタリア語を国語として浸透させてゆく契機となったそうで どんな初等教育で近代国家となるのかを模索したそうです
 
また 実は日本のアニメ「母をたずねて三千里」の原作として日本では知られていますね 正確には Maggio (5月)の挿入話 "Dagli Appennini alle Ande" (アペニン山脈からアンデス山脈まで)です 2作品ともイタリア統一(1861年)の少しあとに書かれたものですね

実は1999年に「MARCO 母をたずねて三千里」という劇場アニメができた時等に 講演者は電話取材を受けることも多かったとのことですが ほとんどが「クオレが原作」だと知らなかったそうです ← 私は当時見ていたので 画面に映っていたから知っていたのです!!

もうひとつは フィレンツェ生まれの作家 カルロ・コッローディの「ピノッキオ」ですね
彼はギャンブル依存症で 借金を返すために「子ども新聞」にピノッキオを連載するのですが 借金を返し終わったところで連載を終えてしまいます(ピノッキオが木につるされて死ぬシーンで) ところが読者の反響が大きく 結局は再開するというエピソードに...思わず思い出すところがありました 

クオレ」が1886年10月15日に発売されるや わずか3か月で40版という驚異的な売り上げを見せるのに対し 1883年に世に出た「ピノッキオ」は第2版が出るのに3年もかかったそうです ここらへんの対比が面白かった ひとことで言うと ピノッキオは悪い子、いたずらっ子の話ですが クオレは エンリコ少年という良い子のお話です


日本のピノッキオがいつ誰にどのような訳で出されたか その変遷についても詳しくご紹介いただきました 講演者は小学生時代に読んだ少年少女世界文学選集で この2作品に初めて出会ったとのこと この選集の編集者についても そのルーツを詳しく伺うことができて興味深かったです ← 子どもの頃の読書って大事ですね...

「クオレ」の方の翻訳は講演者自らのバージョンが 1999年に新潮文庫から出されています 合わせて10回程和訳され出版されているそうです 

ピノッキオの誕生は 「統一国家とあやつり人形 あるいは あたらしい<子ども>」と題されました そう 1881~3年に子ども新聞に連載され 1883年に初版が世に出たのですね

この同時代の絵画として マッキャイオーリ(マッキア派)の「斑点技法」等を紹介していただきました 近代的な生活の感覚が芽生え始めていた時期であり 形態描写の高い質と 感情表現の重要性を示したそうです

さてピノッキオはイタリアでもさまざまなバージョンが出ましたが 一番特徴的だったのは 「黒シャツのピノッキオ」 そう ファシズム時代のピノッキオですね
また ディズニー版のピノッキオは1940年に作られましたが 原作ではピノッキオはサメのお腹に飲み込まれてしまうのですが ディズニー版ではクジラになっていて そちらの方が普及してしまっているそうです (私が子供の頃読んだ本では たしかクジラだったような...)

日本では 教育者 西村伊作が長女あやの挿絵を本にしたバージョンが日本初のもので 5年間重版を重ねて普及しましたが 子どもの挿絵で決して上手とは言えないにもかかわらず ここまで子どもたちに受け入れられたということで このエピソードはイタリアでも話題になったとのこと

そして 20世紀に この二つの作品は売れ行きが相反するのですね
すなわち ファシズム時代にピノッキオは爆発的に売れたというのです (なので黒シャツのピノキオが...) 欧州各国で再評価され普及し 新しい読者を獲得したそうです 
ファシストがローマに進軍した年にピノッキオは再版され 2年でミリオンセラーになったそうです 原作者コッローディオはこの爆発的人気を想像もしておらず 皮肉にも国民作家となったのですね 

反して 国家愛ではなくナイーブな博愛精神 そして内面の問題を描く「クオレ」は ファシズムからは受け入れられなかったのだそうです
それと  わかってても感動してしまうあざとさというものがあり(「ニュー・シネマ・パラダイス」で わかってて感動してしまうという例を挙げてくださいました) それが日本で細々とでも読み継がれている理由かもしれません 
教育の器としてのクオレ」が機能しており 語りのレベル(文体)も3つに分かれており 手の込んだ物語が織りなされています

しかしその反面「読者を物語の外へ 外へと連れ出そうとする」とのこと

ピノッキオの出だしに「昔むかしあるところに まるたんぼうが一本ありました」とあるのは実に先端をゆき コッローディオの才能が光ります 
実は「ピノッキオ」は世界で最も多く翻訳されているイタリアの作品であり 第2位は「木登り男爵」(I.カルヴィーノ)とのとです

また 講演者和田忠彦氏の近著「タブッキをめぐる9つの断章」「ウンベルト・エーコの小説講座」等が紹介され 終了後はサイン会が開催されました 
私は友人とお茶して帰りました 夕方やっと涼しくなりました~


開催のお知らせは こちら


星美学園短期大学日伊総合研究所のリポートは こちら


また 星美学園の「イタリア文化講座」も今年はすべて取りました!
特に来年は長崎の教会群が世界遺産に登録なるかもしれず 時期を得た「ダ・ヴィンチとかくれキリシタンの聖画 -洗礼者聖ヨハネ造を「読む」-」は「宗教に揺れるイタリア -移民の急増、イスラムとの向き合い方-」と同様 タイムリーで興味があります!!

星美学園日伊総研のイタリア文化講座は こちら


追記: さて 先日ネットの語学ブログで見つけた無料朗読サイトで このピノッキオやクオーレを せっせと日々聞いております♡

イタリア人の朗読ボランティアの方たちが 色々な小説を朗読してくださっているサイトのようです 教えてくださった方に心よりお礼申し上げます

サイトは こちら  ← イタリア語以外にも様々な言語で聞けます♪


イタリア語ランキング

にほんブログ村 外国語ブログ イタリア語へにほんブログ村

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« ローマ歴史講座①「ローマ -... | トップ | ティツィアーナ先生のベネチ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

イタリア関連の催し」カテゴリの最新記事