「経験が豊かで、思慮深いリーダーシップを発揮するはずだ。 習近平時代の中国は米国とゼロサムではなく、ウィンウィン関係を結んでいくだろう」。
中国外交官として米国・英国で数年間過ごした阮宗沢博士(47)の言葉だ。 阮宗沢博士は中国外務省直属のシンクタンク、中国国際問題研究所の副所
長を務めている。 阮博士は8日、徐敦信元外務次官(78)を団長とする中国外交政策諮問委員会代表団とともに中央日報社を訪問した。 阮博士に今後
の中国の外交について尋ねた。
以下はインタビューの要旨。
--オバマ-習近平時代にどんな変化が予想されるか。
「オバマ大統領の再選は予想していたことだ。 オバマ大統領の執権後、両国関係は平穏になった。 胡錦濤・国家主席とオバマ大統領はこの3年間に12
回会談した。 前例なく多い。 グローバル金融危機を経験し、中米関係はよりいっそう緊密になった。 (シリア問題のような)グローバル地域イシューで
も積極的な意見交流が行われている。 2月に習近平国家副主席が訪米し、オバマ大統領に会った。 習副主席は米国の高位層と民間社会に対する理解が深
い。 オバマ大統領もロムニー候補より中国に対して慎重な姿を見せた。 問題もある。 米国の『アジア回帰(pivot to Asia)』宣言だ。
米国がアジアに向かう目的は何か。 アジアの重要性が高まったからだ。 特に経済的に重要になった。 しかし米国の動きには軍事的な色彩が濃い」
--米国は『アジア回帰』を、中国は『新型大国関係』を宣言した。 衝突する概念か。
「中国はG2(主要2カ国)という接近法に賛成しない。 歴史上すべての大国関係はお互い競争するゼロサムゲームだった。 新型大国関係の核心はここ
から抜け出そうという趣旨だ。 中米が戦争をしたり衝突するのをやめようということだ。 すでに米国にこういう構想を提案した。 中米関係には矛盾・衝
突とともに協力という2つの側面が共存する。 両国関係が複雑である理由だ。 現在、米国人の経済・就職はすべて中国と関連している。 最近、中国は米
国の“アジア回帰”がもたらす悪い影響について研究している。 将来、米国の強烈な軍事的色彩を必ず抜かなければならない」
--中国の軍事力増強ペースが速いため、周辺国の懸念が強まっている。
「十分に理解できる。 私が07年に出版した『中国の崛起と東アジア国際秩序の転換』で大きく取り上げた問題だ。 中国は東アジア国家の視点で見る必
要がある。 中国は自ら平和な発展(和平起)を実現したと話す。 しかし軍事的な側面で他国の人が見れば違う考え方をするかもしれない。 改革・開放当
時、小平は『まずは経済を発展させなければならない。 軍事力はその後だ』と述べた。 一部の人は、経済が発展したため、軍事力を発展させるべきだと
主張する。 周辺国が中国の軍事力増強を懸念する主な原因は、軍事的交流があまりにも少ないからだ。 私は政府や軍部のこういう接近法を批判してきた。
しかし中国にはもう一つの現実的な問題がある。 大国のうち唯一まだ国家統一を完遂していない国だ。 韓国の軍事力強化を中国は理解できる。 韓国は中
国のようにまだ統一を完遂できていないからだ。 中国は今後も軍事力をさらに増強させるだろう。 ただ、周辺国と軍事方面の交流・疎通を強化する必要が
ある」
--中国の激しい反日デモを見て、習近平時代の中国が過度な民族主義に傾倒しないか懸念する声が出ている。
「民族主義は東アジア国家すべての問題だ。 すべて国家的な転換期であり、民族主義の噴出時期だ。 中国の国力が強まり、ある人は『有所作為(できる
ことをする)』を叫ぶ。 一種の自負心の表現だ。 日本の民族主義も弱くない。 原因は日本の衰退だ。 自負心、衰退ともに民族主義を促進させる。 釣魚
島(日本名・尖閣諸島)事件は両国の民族主義をさらに刺激した。 中国の立場は強硬だ。 以前のように耐えることはできない。 中国人の8割は日本を嫌
っている。 これはリーダーシップに対する大きな挑戦だ。 リーダーシップは民族主義で揺れる可能性がある。 民族主義を健全な方向に導くことができる
のもリーダーシップだ。 習近平は内部問題を重視するが、周辺国と平和・協力の方向で発展することを希望している。 問題は日本だ。 日本はリーダーシ
ップを欠いている。 最高指導者があまりにも頻繁に変わる。 釣魚島問題も東京都知事1人が日本の政策と日中関係を拉致してしまった。 日本は毎年、首
相が代わり、リーダーシップが非常に不安定だ。 日本の民族主義を統制して引導することができない。 一方、中国と韓国は指導者の予測が可能だ」
--習近平時代に韓中関係と南北関係はどう変わるのか。
「期待が大きい。 理由は2つある。 まず、3カ国の最高指導者が似た時期に交代するからだ。 歴史的な機会だ。 北朝鮮の新しい指導者は若くて、外国
の教育も受けた。 韓半島が珍しい機会を迎えた。 韓国の各大統領候補は当選すれば北朝鮮と交流すると明らかにしている。 非常によいことだ。
2つ目は、中国の新しい指導者は周辺国との関係を安定的に発展させることを望んでいる。 これも中韓関係の発展にプラスの要因だ。 中韓が過去20年間
に成し遂げたものは、他のどの国にも見られない。 さらに両国はともに大きな潜在力を持っている。 中韓は今後20年間、世界をもう一度驚かせると信じ
ている」
--習近平の最初の海外歴訪国はどこと予想するか。 08年の国家副主席就任後には北朝鮮を最初に訪問したが。
「予想するのは難しい。 中国には国内問題が多く、これを先に解決しなければならない。 人民にどんなことをしたか見せるのが先だ。 しかし外交も重
要だ。 中国は周辺国との交流を増やす必要がある。」
--北朝鮮の核問題に対する展望は。 6カ国協議は再開されると思うか。
「北朝鮮と米国が重要だ。 6カ国協議は再開されるだろう。 私の把握によると、米国は現在、対北朝鮮交流をどのように再開するかについて考慮して
いる。 来年、交流を再開する可能性がある。 韓国が重要な役割をしなければならない。 新政権の最も重要な課題になるだろう」
▽阮宗沢=中国国際問題研究所の副所長。四川外国語大英語科、人民大国際政治学科を卒業し、 外交学院国際関係研究所で博士学位を取得。 中国外務省
直属のシンクタンク「中国国際問題研究所」で対米外交と大国関係を研究した。 1996-2000年は駐英大使館、2007-2011年は駐米大使館
で勤務した。 著書に『中国の崛起と東アジア国際秩序の転換』がある。