〈朝鮮民族の美(4)〉 白磁鉄絵 雲竜文大壺
高さ45.8センチ、17世紀前半、
梨花女子大博物館 |
白磁に藍色の絵付けをする青華釉薬(酸化コバルト)は、別名を回回青といって、青華白磁が元代に景徳鎮で生産され始めた時は、中国はこれをイスラム 圏から輸入しており、朝鮮で青華白磁
を作るためには、顔料を中国から再輸入せねばならず、非常に高価なものとなり、その使用は図画署の画家に限られてい た。
ところが黒褐色から黄褐色までを発色する鉄画の釉薬は、石間朱といわれた酸化鉄を主成分とする顔料で、これは国産されて高麗時代から鉄画青磁として使用されていたから、実に千余年の
歴史を持っている。
したがって鉄画白磁は、朝鮮朝初期からプロの画家はもちろん、名もない陶工によっても製作され、特に17世紀に全盛期を迎えたのである。
ここに示す竜の大きな壺を見ていただきたい。眼はらんらんと輝き、2本の角の間のたて髪は長く風に流れ、竜は周りの雲に乗って飛翔している。爪は3本爪、地方の権力者の印である。
赤色を帯びた鉄画の太い線は、地の乳色の白磁と美しい対比をなしている。
やや内傾した口縁部から直ちに肩にかけて大きく膨らんだ胴の部分は、下に向かって急速にすぼまり、底面にきてやや外に拡がり安定した形となってい る。口縁部の唐草紋と蓮弁の帯、下部の
三角紋も素朴で好ましく、全体として堂々たる17世紀の典型的な大壺である。(金哲央・元朝鮮大学校教授)