関西電力:大飯原発 年度内再稼働が困難に
毎日新聞 2014年04月19日 11時52分
◇震源の深さを修正、追加工事必要に
関西電力は、 原子力規制委員会による新規制基準の適合審査を受けている大飯原発3、4号機(福井県)の地震想定を見直す方針を固めた。関電は地震が起きる震源の深さを 3.3キロと主張していたが、早期に規制委の理解を得るのは困難と判断し、規制委の主張通りに3キロとする。これに伴い地震の揺れの想定が大きくなり、追加工事が必要になる。収支改善の柱となる年度内の再稼働は難しい情勢となり、電気料金の再値上げも現実味を帯びてきた。
大飯原発の審査は、震源の深さをどう判断するかが焦点となってきた。関電は当初、4キロと説明してきた が、規制委は3キロと主張。議論は平行線をたどり、関電は規制委に歩み寄り3月に3・3キロに修正した。規制委からは根拠を示した上で再解析するよう求め られたが、データ集めに時間がかかる上に根拠を示しても理解を得られるか不透明なため、規制委の見解を受け入れる方針を固めたとみられる。
現在、関電は大飯の揺れを759ガルと想定しているが、震源の深さを3キロにすれば、100ガル以上増える可能性がある。建屋の耐震化など追加工事が必要になるが、「工事は1年以上かかるともいわれており、年度内の再稼働は難しい」(関電幹部)状況だ。
関電はこれまで大飯の再稼働を最優先させてきたが、今回の見直しに伴い、大飯原発と同じ福井県にあり、 大飯より震源から離れている高浜原発3、4号機の再稼働を急ぐ方針に切り替える。ただ、関電の収支改善は年度内に大飯、高浜の全4基が再稼働することが前 提。仮に高浜の2基だけが年度内に動いても黒字化は難しく、電気料金の再値上げの可能性が高まりつつある。【浜中慎哉】