被害者は住民なのに 反省ない東電社長 年頭会見
東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は今年最初の記者会見となった4日午前、西沢俊夫社長が年頭あいさつで同社が福島第1原発で「一日も早い事故の収束」など四つの緊急課
題の解決に向けて取り組んでいると述べたことを紹介しました。
三つの原子炉内で燃料が溶けて大量の放射性物質を放出するという世界でも例の無い事故を起こし、多くの人々を苦しめているのですから当然ですが、「ちょっと待てよ」と思いました。政府と
東電は昨年末、福島第1原発は「事故収束」を宣言していたからです。
原子炉圧力容器底部の温度が100度以下になり、放射性物質の放出が抑制できているからというのですが、温度の測定値には40度もの幅があり、1 号機圧力容器内には燃料が入っていな
いとあっては、何をかいわんや―、です。放射性物質の大気への放出も依然として続いており、高濃度放射能汚染水が海な どへ流出する危険性も去ってはいません。
しかし、東電が公表したあいさつの要旨を見ると、西沢社長が収束宣言を撤回したわけではなく、松本本部長代理の説明が舌足らずだったようです。
西沢社長の年頭あいさつには、「(昨年は)天地がひっくり返った」1年だったともあります。天地がひっくり返ったのは、被害を受けた住民の人たちです。何の反省も無いといわざるを得ません。
福島県いわき市在住で原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員の伊東達也さんからいただいた年賀状には福島県民の声として「きれいな里山を 返せ、きれいな海を返せ、当たり前
の労働を返せ、ふつうの暮らしを返せ」とありました。東電は、この声にこそこたえるべきです。 (間)
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