三つ子ママのひとり言

三つ子の成長や悪戦苦闘中の育児について・・たまには育児から離れてママのホッと一息を日記にしました

深刻な問題

2007-02-08 10:15:04 | その他
先日見るともなくニュースを見ていたら『産婦人科医の減少が深刻化している』という特集をしていた。

私の住んでいるあたりでは産婦人科は適度に存在するし
いわゆる大病院(このあたりだと大学病院かな?)には必ず産婦人科は存在していて
コレが結構混んでいたりするので、少子化も産婦人科医不足もあまりピンとこないのだ。
が、その番組では地方では大学病院や大病院でも産婦人科医の確保が難しくて閉鎖に追い込まれているといっていた。

なんてことだ!!
産婦人科医がいなかったらどうやってお産すればいいのだ?
そりゃ産婆さん(古い?)とか助産婦さんでも出産できるだろうが
トラブルを抱えた妊婦さんの管理はどうするのだ?

私は妊娠10週から出産した31週の21週間クリスマスとお正月とあとちょっとの期間だけしか家に居られず
そのほとんどを病院で過ごした人間なので産婦人科の先生達がどんなに大変かは
多分これから医者になろうと思ってるそこらの若者より知っている。
産婦人科医といわれて皆がどんなイメージを持つかはわからないのだが
とにかくその守備範囲は広い。
お腹を開ける手術は日常茶飯事だし、婦人科の難しそうな手術もしなければならない。
子供とママと二人の命を預かっているからそのリスクも責任も重大だろう。
しかも妊婦さんは精神的にデリケートだったりするのでそのケアもしなければならない。
そして何より大変なのは四六時中待ったなしで出産はあるということ。

他の病棟の先生のことはあまりよくわからないのだが
宿直や夜勤でも急変したりしない限りあまり出動はしなくてすむんじゃないかと思う。
(まぁ急患が多かったりする時もあるだろうがERとかあれば普通の先生は寝てられるんじゃないか?)
産婦人科の先生は入院中の患者が産気づいたり、陣痛が始まった妊婦さんが運ばれてきたり
分娩が始まったり・・・と寝ている暇などないくらい忙しそうだ。

私の入院していた病院は夜勤となると36時間勤務だった。
それは夜は寝てられるでしょ?との考えに基づいて組まれたものなのだろうが
寝てられないよ、あれは。

一時ちょっと危なかったりしてナースステーション横の観察室みたいなところにいたことがあるのだが
ナースも先生も走り回っている。
緊急手術(帝王切開だけでなく)なんてざらにあるし、出産もラッシュの時は一晩で10件近いこともあった。
特に大学病院とかだと個人病院で手に負えなくなったトラブル患者とか来たりするから
ギリギリの状態で判断したり施術したりしなくてはいけないようで、精神的にもきつそうだった。
しかもソレを妊婦やその家族に説明して説得しなければいけないのだ。

ある先生はまだ月満ちていない妊婦さんとお腹の赤ちゃんがトラブルで入院している時に
手術の必要性、生存の可能性など事細かに説明するのに毎晩2~3時間もかけて説明していた。
まぁちょっと精神的にやばくなってる妊婦さんだったんで説明と言うより悩み相談ぽかったけど・・・
途中で「そんな大変ならもうおろす・・・」とか泣き出して先生も必死で説得していたよ。

こんな現実を目の当たりにすれば産婦人科医になろうなんて奇特な人間が少ないのも納得がいく。
が、居ないと困るのだ。
私のような多胎妊娠とか・・・リスクのある妊婦さんは沢山いるのだ。

ニュースでは産婦人科医に対する訴訟が多い点も嫌がられる原因だと言っていた。

確かにこの間もリスク予測が難しいケースでも訴訟をおこされていたよネェ・・。
そりゃやってられないだろう。

世の中お産なんて簡単だ・・・と思ってるからこういうことになるんだ。
そりゃ結果論だから昔の医療ではトラブルなく元気に生まれた赤ちゃんしか育たなかっただろうから
子を持つ母は「赤ちゃんは元気に生まれてくるもの」と思っているのかも知れないが(そうじゃない人が人にベラベラと話しているとは思えないし)
元気に生まれてくるのが当たり前ではないのだ。

未熟児は毎日のように生まれているし、早産、流産する人だってしそうな人だって沢山いる。
お腹にいるときから赤ちゃんのトラブルがわかっている人もいるし、
妊婦さん自体が危険な状態ことも沢山ある。
ソレをすべて産婦人科医がママも赤ちゃんも助けようと頑張ってくれているのだ。
コレばっかりはママが頑張ってもどうにもならない。医療にゆだねなくては仕方がない。

私のケースも多分誤診だったと思う。
まぁ誤診と言っても初期の段階で三つ子を双子と間違えた程度だが。
途中切迫流産になって三つ子とわかりなんとか流産もしないですんだが
もしコレが原因で私の妊娠が出産まで至らなかったら私はその先生を訴えていたかなぁ?と時々考える。
今、先生達の大変さや一生懸命さを知っているのであの先生達を訴えるなんてとんでもない!と思えるのだが
ソレを知らなければ「どうしてくれるのよ?」と詰め寄っていたかもしれない。

ただ三つ子を妊娠して様々なトラブルを抱えて出産してそしてこうして成長してる子供たちを見ると
私のような無神論者でも「神の采配」のようなものを感じることがある。

妊娠中先生はありとあらゆるリスクを説明してくれて最悪の事態も想定されていた。
ソレを落ち着いて受け入れるのが患者の仕事だと冷静に聞いてきた。

母の本能みたいなものに従っておかしいと思うときはとことん追求したりもした。

早生まれの未熟児じゃぁかわいそうだからと先生にお願いして手術日は4月2日以降にしてもらうようにもした。

が、結果はなるようにしかならなかった。
突然陣痛は起こり、破水をしてあっという間に手術そして出産。
32週までは頑張りましょう!と赤ちゃんの発育を心配していたが
緊急に集められた小児科のスタッフもびっくりするくらい三つ子にしては大きく育っていた。
元気な産声を聞いて喜んでいたのは私よりもそのリスクを知っている先生達だった。

先生やナース達は「ママがちゃんと言うことを聞いていい患者さんでいたから・・・
よく頑張りました。本当にいい患者さんでした。」と褒めて下さったが
その影でみんなが私が長い入院生活で苦痛がないよう、安心して出産できるように・・・と取り計らってくれていたのを知っている。
それは私だけにしていることではなく病院に来る患者さん妊婦さん全員にしていることだ。
この21週間のことは今でもとても感謝している。

そんな努力を知っていたら産婦人科医に敬意を払わずにはいられないと思う。
簡単には訴訟なんておこせないんじゃないかとも思う。
(まぁ先生達が一生懸命やってるというのが大前提だが)
もっと世の産婦人科医の人たちはメディアでも何でも使って
赤ちゃんは元気に生まれて当たり前ではないことや、そのために様々な努力をしていること
そして産婦人科医がどんな思いで日々凄まじい激務の中で妊婦と向かい合っているのか・・
そして産婦人科医は必要なんだということもっと皆にわかるようにアピールすべきだと思う。

そして世の中の人々は出産経験の有無に関わらず、老若男女の別なく
妊娠出産のことについてそのリスクや妊婦や赤ちゃんへの負担などについて
きちんと学ぶべきだ。
そうすれば安定期になったからと言って往復6時間近く車に揺られ
まだ薄ら寒いところでそうじなんかしてお腹が張ってしまった・・・とトラブルを抱えて
医者に面倒を見てもらうようなことをしなくてすむというものだ(誰のこと?・・まぁちょっとね)

つい長くなってしまった・・・。
産婦人科医が居なくなっちゃったら困るんだからみんなも彼らの負担軽減してあげるような努力はしましょうよね・・・と言いたいのだが
どこで言えばいいんだろうね?
妊婦の会でも学会でも国会でも呼んでくれればいっぱい話してあげるよって感じなんだけど(笑)
コメント (2)
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