羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

日本でのスタニスラフスキー・システムの受容

2023年09月15日 13時52分44秒 | Weblog
8月中旬からスタニスラフスキー関連の本を再読して、全部ではないけれどポイントが掴めてきた。

1950年代スタニスラフスキー・システムブームになったということで、日本での受容について調べ始めている。
中心にあったのが「ぶどうの会」、とりわけ演出家の岡倉士朗氏と言ってもよい。
野口が岡倉氏に出会ったのが昭和1955(昭和30)年のこと。
その4年後・1959(昭和34)には、岡倉氏が病に倒れ帰らぬ人となった。
野口にとっては思いもかけない出来事に、人目を憚ることなく枕辺で大声を上げ大粒の涙を流した、と聞いている。

それでも岡倉氏が力を入れていた学校演劇は、確実に遺志は引き継がれ1962(昭和37)年8月2日〜6日『’62 未来をつくる演劇大学』主催・日本演劇教育連盟 長野県駒ヶ根市高山荘 が開催されている。


写真は鹿児島の演出家・貫見忠司氏より

1961年度の顧問に野口三千三の名前を見つけた。
その他の顧問には、野口から聞いていた人の名前だけを拾ってみると次のような方々。
宇野重吉 木下順二 下村正夫 千田是也 八田元夫 道井直次 村山知義 
山本安英 他

講師紹介欄の野口三千三は『体操の面からスタニスラフスキー・システムを研究、演技の基礎としての体操に独創的な成果をあげ、注目されている』とある。
巻末には『《講義実習資料》「演劇の基礎として体操(Ⅰ)」』イラスト付き4ページ 体操のテキストが掲載されている。

この時代を知る人はすでに亡くなられている方ばかり。
文字として冊子として本として残っているありがたさをつくづく思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本郷

2023年09月13日 15時27分39秒 | Weblog
数日間、迷っていることがある。
本郷三丁目から東大農学部正門、そして今はないけれど喫茶店のあった場所に、もう一度行ってみようか、と。

お茶の水から歩こうか。
それとも東京藝大の体育小屋から裏通りを抜けて、農学部の正門まで歩いてみようか。
歩きながら『野口三千三伝』第2部 演劇編 岡倉士朗氏(スタニスラフスキー)との出会いの書き出しのイメージを膨らませたい。

それに近い行動は、ちょうど一年前にすでに経験している。
文京区向丘にある「東京大学学生基督教青年会」会館(寮)を訪ねて、山本安英さんのこと木下順二さんのこと、「ぶどうの会」のこと等々、貴重な情報を得ることができた。

そこで管理人の方から、何冊かの本を紹介された。
写真は、その中のうちの2冊で、木下順二著『本郷』『歴史について』である。

昨年のうちに読んだつもりになっていた。いや、読んでいたのだ。
ところが、『三千三伝』を書くことはもとより、資料や本を読むことから離れて、他のことにかまけているうちに、たった一年前の記憶が遥か彼方、忘却の中に隠れてしまっていた。

それじゃいけないよ!
8月中旬から9月に入るか入らない頃、ふたたび本をとりだして、読む作業にもどった。
当初は、なかなか調子が出なかった。
調子が出ない自分をなだめすかして、ここは我慢とばかりにスタニスラフスキー関連の本を読み進めた。
そのうちに少しずつ健忘症が改善の兆しを見せてくれた。

9月も半ば、虫の声もすっかり秋のモードになった今、ぼんやりではあるけれど冒頭の風景が浮かび上がってきた。

「そうだ 本郷 行こう!」
JR東海のCMよろしく、野口三千三が岡倉士朗さんと初対面をはたした喫茶店のあたりを、木下さんの『本郷』を持って歩いてみよう。

いや、再読が先だ、と思い直して読み返している。

「昨年は、いったい何を読んでいたのだろう」
自分の記憶に尋ねてみる。

文字からビンビンと響いてくる音が違う。
文字からアリアリと見える風景が異なる。

この違いはどこからくるのか。
怒涛の一年は無駄ではなかったのか。
不思議なことだ、とばかりに自問自答しながら、さらに『本郷』をむさぼっている。

野口三千三が演劇・演劇人との出会いと交流の中で感じた喜び・悔しさ・劣等感・嫉妬心、傲慢さ、否応なしの腹の括り方、それまで彼が生きてきた時間の中で味わったことのない感情の蠢きが、スタニスラフスキー本から木下エッセーから読み取れるようになっている驚き。

気づくと、私の時間は昭和30年代、場所は本郷にいるのでありませんか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

偶然 必然 魔物 

2023年09月09日 05時33分03秒 | Weblog
スタニスラフスキー関連の本のページをめくっている。
ノートをとりながらひたすら我慢の日々。

そこから見えてくるものは、って必死になっていた。

人は、産んでくれる親を選べない。
人は、生まれてくる時代も国も選べない。

産まれてしまったら、必然と偶然が入れ替わり・立ち替わる経糸と横糸に、“魔物”という得体の知れない糸を絡めて織り続ける。

どこまでいっても織り上がらない。
織り続けながらも一生を生き通せれば幸せ。
そう言える人もいれば言えない人もいる。

スタニスラフスキーにとっての魔物は芸術
野口三千三にとっての魔物は体操

スタニスラフスキーは50代で政変を経験
野口三千三は30代で敗戦を経験
その年齢を比べることはあまり意味はない、と思う。

変化の後をどう生き延びたのか。
前と後の絡み合いはもっと複雑になっていく。
そして魔物の化け方が面白くなる。

存在は個(ユニーク)でありながら、そこからある種の普遍が見えてくる? こない?
今はまだ、わからない。

うつらうつら 
 夢見ながら 
  目覚めた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自伝を読む

2023年09月07日 17時10分17秒 | Weblog
スタニスラフスキーの自伝『芸術におけるわが生涯』蔵原惟人 江川卓訳 岩波文庫 上 中 下の3巻を読み終えた。
下巻の「解題」江川卓 「スタニスラフスキー自伝の余白に」浦雅春 も非常に参考になった。理解が深まる。



読み終えてスタニスラフスキーの『俳優の仕事』全3巻が、ぐっと読みやすくなった。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「三千三伝」演劇との出会い1 スタニスラフスキーと日本演劇人

2023年09月01日 16時04分39秒 | Weblog
野口三千三を演劇界に引き出した岡倉士朗さんは、スタニスラフスキーシステムを基本理念とした「ぶどうの会」の演出家でした。

岡倉さんと野口三千三の関係を描くには、スタニスラフスキー関連の本、木下順二さんのこと等々を調べる必要から本を集め、本郷・向ヶ丘「東京大学学生基督教青年会寮」を訪ねて多くの収穫を得ています。
これらを軸に、演劇編を書き始めようと思っています。

岡倉士朗
山田肇
山本安英
木下順二
そして「スタニスラフスキー」関連↓ 
9月朔日 大方の見当がついた記念日

必要最低限の資料や本を一所に集めてみました。
テーマの絞り込みがほぼできたように思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする