羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

もうすぐ絶滅するという紙の書籍について

2012年03月15日 15時12分31秒 | Weblog
 つい先ほど新宿から帰宅した。
 すぐさま、PCの前に座ってブログを書きはじめた。
 Twtterで紀伊国屋書店新宿本店の前にある、ジュンク堂が3月31日をもって閉店するにあたり、フェアをやっているという内容がツィートされていた。
「本当はこの本が売りたかった」フェアだ。
 
 ウィークデーの昼時、店内に用意されている椅子に腰掛けて、しっかり本を読んでいる人が多かったが、よくよく見ると男性ばかりだ。
 専門書の品揃えは、一番の書店だった。読書家の書庫のような雰囲気があったが、この春で終了するのは惜しい。
 近々、ライオンのいる三越が、量販店に変貌していくらしい。これが時勢というものか、と寂しい限りだ。
 思い返せば、子供の頃のこと、どこのデパートも同様だったが、屋上には小さい遊園地があって、動物もいた。近くに住んでいたので、幼い頃は両親につれられて、小学生になる頃には一人で遊びに出かけていった。
 そして野口体操をはじめてからは、野口先生のお供をして、先生の石の宿敵であるといっても仲はよかった井上さんが調べてきた「都会に眠る化石探検」で、三越の階段をくまなく見て回った懐かしい場所でもある。
 この建物自体は壊されないらしいから、化石も複雑な思いの夢をみながら、これからも眠り続けているに違いない。

 さて、本日の題名『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』は書名である。凝った装丁が、老練愛書家二人による「書物をめぐる対話」にふさわしい雰囲気である。対話者は、フランス人作家のジャン=クロード・カリエール氏+イタリアの中世学者ウンベルト・エーコ氏。訳は、工藤妙子さん。阪急コミュニケーション刊である。
 実は、出かけるときには「本はできるだけ買うまい」と思っていたが、その他にも4冊の本を購入してきた。なかには珍しい三木成夫著『ヒトのからだー生物史的考察』うぶすな書院、最後の一冊もある。

 ところで今週の私は、紙資料のデジタル化に殆どの時間を費やしている。
 昨日は、意を決して二冊の分厚い本を自炊した。昨年の九月には、それぞれ二冊ずつあるものの「やってしまっていいものか?」と、躊躇いがあって残しておいた本だ。
 一冊は『これからどうなる』岩波書店編集部編 1983年 555㌻+索引9㌻。各界の446名が寄せた「日本・世界・21世紀」への考えを短くまとめた内容。野口先生は「今こそ、価値観の変革を」と題して寄稿しておられる。
 二冊目は『教育をどうする』岩波書店編集部編 1997年 438㌻+索引3㌻。各界の316名が寄せた「教育・社会 現状打破宣言」だ。98年春に亡くなった先生にとっては、最後の文となった。「自然律を教育の基本理念に」と題しての寄稿だった。
 これらをデジタル化してPC上で読んでみたが、紙の本とは異なり“単なる情報でしかない印象”を持った。
 もちろん内容は理解できる。しかし、理解の質が違うのだ。それ以前に、ページがズレていて、探し出しにくい。スクロールのスピードは速いが、紙の本を捲る方がはるかに正確かつ速く到達できる。途中で他の人の文章にも目をとめやすい。言ってみれば、これぞアナログの良さなのだ。

 思いますね。
「紙の本はなくならない」いや「なくなってほしくない」という言い方が正確かもしれない。
 ただし、物心ついたときから電子本で育った人は、それしか知らなければ電子本ですんでしまうかもしれないから、これから先は、非常に難しいところだ。学校の教科書から電子化される可能性は高い。確かに便利な分野もあることは承知しているが、……。効率と合理性だけが教育が目指すところであって欲しくない。
 大曲にある凸版印刷「印刷博物館」に行けば、人間と本(印刷)の歴史の重さを実感できるというものだ。

 他にも、「図書館の電子本化」がすすんでいるというニュースもある。そうなると国会図書館にアクセスして手元に取り寄せられるから、他の地域の図書館の存続が危ぶまれる可能性があるという。はたしてそうなるだろうか。紙の本があるうちは、地域の図書館も十分に存在意義は失われない、と今回の自炊と電子化で実感した。

 かくして、野口体操及び野口三千三の紙記録を残す意味でデジタル化に時間をかけているが、手元から紙の本はなくならないだろうし、しっかり考えて読む時は紙に限る。

 次回の17日土曜日・朝日カルチャー野口体操講座には、『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』を持参したい。装丁から受ける視覚的な趣き、そして手触り、そしてページを捲る行為の実感。“いかにも!”なのである。多分、そっれまでには読み終わってはいないと思うが。分厚い本だし、丁寧に読み進みたいからね。

 さて、ジュンク堂新宿店、まだ間に合います。書棚に並ぶ壮観な本を見て、匂いを嗅ぐだけでもいいです。ぜひ、立ち寄ってみてください。3月31日まで。
 閉店を迎える書店の人たちの熱い思いが、ひしひしと伝わります。同時に紙の本への愛着が増すこと間違いありません。
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