羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

知りたくないの

2009年09月04日 18時46分57秒 | Weblog
 NHK[知る楽」で、なかにし礼さんの話を聞いた。
 以前、『長崎ぶらぶら節』を読んで以来、作家としてのなかにし礼さんを好きになっていた。

 今日は歌謡曲の音韻(リズム)論だった。
 日本の和歌の伝統の七・五調でかかれたものがヒットするのだが、それを壊したのが彼のシャンソンの訳詩だったと知った。
 昭和三十年代は小学生まで『枯葉』を歌ったりするほどシャンソンは流行った。
(こう書きながらも丸山(三輪)明宏さんや越路吹雪さんの歌声が聞こえてくる)
 そしてなんと言ってもエディット・ピアフが歌った「愛の賛歌」だ。

 さて、この番組で懐かしい歌を聞いた。
 菅原洋一さんが歌う‘あなたの 過去など 知りたくないの’である。
 もとはアメリカのカントリーソングだそうだ。
 それをなかにし礼さんが訳詩して、ヒットした経緯について話された。
 
 幸運だったのは「過去」のところ、つまり‘かこ’はアクセントが‘か’にあって‘こ’は下がって発音される……‘過去’と歌われるところは、音程が上から下へ下がっている。
 詳しく書くと「ソ~~ミソラ~~ド~ラソミ」この‘ド~ラ’とおりる‘ド=か(過)’で‘ラ=こ(去)’と言うわけだ。

 最近では日本語の言葉のアクセントと音程の動きを、一致させることが無視される傾向にあるが、近代日本の西洋音楽技法による歌は、ほとんどが一致させて作曲されてきた。
『知りたくないの』は、訳詩をするときに「ひらめき」が起きたはじめての曲だったそうだ。ひらめきが訪れると、ヒットにつながるとおっしゃる。
 
 ダンスホールでこの曲に合わせて踊る人が日に日に増えて、とうとう入り切れなくなった、というエピソードも頷けた。
 甘い声に酔って踊るときの気持ちよさは、相当な快感を呼び起すはずだから。
 それまでの歌謡曲や演歌にはない大人のムード歌謡というところだろうか。
 日本の大衆が知った‘からだ丸ごとの癒し’のハシリかもしれない。

 野口先生はおっしゃった。
「人には秘密があっていい。すべてを知ることだけが価値ではないよ」
 人を愛する極意かもネ!
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