JR中央線三鷹駅から5分ほどの住宅地のマンションの一階。
「桜井浜江記念市民ギャラリー」で、『俳優・久米明 三鷹と共に語り演じた役者人生」の展示が始まっている。
朝日新聞5月19日朝刊で知ってさっそく出かけていった。
「ぶどうの会」の結成に参加したものの袂を分かち、その後には劇団欅・昴に参加した俳優人生がどんなあったのか、約80点の資料をもとに辿ることができる。
山本安英、岡倉士朗、木下順二、福田恒存ゆかりの品々の中に、久米さんの大学ノートが置かれている。
昭和30年代の匂い、雰囲気が伝わる展示品の中には、若き日の竹内敏晴さんが最前列にいるセピア色の写真もあった。
私家版「野口三千三伝」は、戦後の足跡を辿って、サーカスやプロレスまで書いてある。いよいよ演劇に取り掛かりたいと思っていた矢先に見ておきたい追悼展である。
とにかく「ぶどうの会」のことを知りたかった。
「ぶどうの会」実体や歴史もだが、野口先生が関わった時代の雰囲気をつかみたかった。
久米さんに限らず、真面目に、真剣に、懸命に生きた演劇人の姿がそこにはある。
小さなギャラリーで、一つ一つを丁寧に見ているうちに、この8ヶ月ほど中断していた「三千三伝」に呼び戻される心地がしてきた。
吉祥寺・井の頭公園に隣接するこの界隈。
ギャラリーのある「禅林寺通り」は、敷地の広い戸建住宅が軒並みマンションに建て替えられている。
それでもこの町を歩いていると、武蔵野の木々の匂いに包まれるのを感じる。
生涯現役を貫いた久米さんが愛してやまなかった三鷹の空気感を纏って、正午近くの町を私は後にした。
三鷹市主催で29日まで(23日休館)。無料。
お問い合せ:三鷹市芸術文化課 電話:0422・29・9861
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