気がつけば、いつの間にか鼻呼吸になっていた。
しばらく前までは、口からスーツっと音を立てながら息を吐いて、その度に回数を数えていた。
流石に町は静かだ。
そのために、突発性難聴を患った右耳の奥で、「サ」と「ザ」の中間の音がなっているのが聞こえていた。
今でも聞こえているけれど。耳鳴りという現象で、周りが静かだと聞こえやすくなる程度の耳鳴りで助かっている。
罹患した当初は、言葉で表せないほどの不快感であった。
この状態が一生続くとしたら、そう考えて悲嘆にくれていた。
「時間が経っていけば慣れますよ。それに難聴が少しでも治ってくれば自然に耳鳴りも気にならなくなります」
医者の言葉通りに、1年、2年、3年とすぎるうちに、少しずつ楽になっていった。
今年で、17年が経過して、いつの間にか忘れてしまっている。
ただ、高音部に関しては、以前のように戻ってはない。
それでもなんとか折り合いをつけて音を聞いている。
「まっ、そんなものか」
日常は事足りているから、よしとしている。
本日は、鼻呼吸が身についてきたことの報告。
随分と時間がかかったものだー。