羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

土と水の微妙な関係

2006年04月07日 08時51分10秒 | Weblog
 遅れていた植え替えを、今週は、時間があるとやっていた。 
 盆栽といっても、すでにその容姿は失われつつある。
 父が亡くなって3年半は過ぎ、伸び放題になっている枝を、少しだけ切り詰めるだけだから。それでも残された命を枯らす気持ちにはなれなくて、春になると植え替えをしている。

 欅は根がよく張っていて、丸い鉢の根は丸く、楕円形の鉢のものは楕円形に、四角い鉢は四角く、という風に鉢の形状に合わせて外側へと根は成長することがわかった。
 根の張り方で、その木の生きるエネルギーが測れる。椿なども欅同様によく根が張っている。
 どの木も30年から40年はたっているものなので、幹も太く根張りの状態で植え込むことができる。下地ができているものを、育てているだけなのであまり苦労は感じていない。そしてなにより盆栽の木の生命力は強いと言うことを知った。
 
 植え替えするために鉢から取り出してみると、この根の状態では枯れてしまうかと思えるような木でも、あきらめてはいけない。根を労わりながら、新しい土に包むように植え込んで、一週間、水遣りの具合・風に当てないこと、日差しは強すぎないように気遣いながら、その期間をクリアすれば、まず一歩安心の領域に入ってくれる。

 それから5月を過ぎ、新芽から新緑の季節にかけて、太陽と水と風通しをよくすると、とりあえず秋まで待つ。そんな状態で冬が越せるともう大丈夫。

 盆栽は不自然だと言われるが、まったく不自然では、木は育たない。
 何をもって自然と言い、何をもって不自然と言うのか。
 微妙な境界線を感じ取るバランス感覚が大切だとおもうのだが。ここが難しい!

 野口先生は毎日庭の植物と対話を続けられた。「植物に貞く」とおっしゃりながら、雨の日も水遣りを欠かさなかった。物言わぬ植物との対話は、水遣りだと言う。土と水と太陽と風と、そして植物の状態をみる。

 とりわけ植え替えし、最初に水をかけるときがいちばん神経を使う。乾いた土に一度水が当たると、それまでとはまったく異なる性質に土が変化する。養分が木に溶け込みやすいだけでなく、木が立つ状態を維持する力はまず「土」なのだから。柔らかく覆いながら、木を立たせてくれる。
 水と土の微妙な関係が木を育む。
 
 野口先生が植物を育てられ、植物に直に貞くといわれる実感に近いことを感じとっているのかと思うと、父が残した盆栽を育てることに張り合いと楽しさがある。
 5月、新緑の季節が待ち遠しい。ゴールデンウィークは、緑の季節である。
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