羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

春の読書2013

2013年04月02日 08時15分34秒 | Weblog
『イルカと、海に還る日』ジャック・マイヨール著 関邦博編・訳・解説を読み終えた。
 週末土曜日と日曜日の朝日カルチャー「野口体操講座」では、先週・先々週の補足として、この本の中から引用をさせてもらった。

 ジャックは、素潜り(閉息潜水)における生体のさまざまな反応を、医学的に調査するさまざまな実験を行っている。
 殊に、興味深かったのは、イルカやアザラシが潜水時に発現するよ「ブラッド・シフト(血液の移動)」が、人間の体にも見られることを実証したことだった。深くなればなるほど大きく発現するらしい生理現象だそうだ。
 本から引用してみたい。
 何でも体内の末梢(手や足など)、肝臓や脾臓などから、血液が肺循環に回されて、心臓や脳の血液量を増大させる、ということ。なかでも高い清水圧によって圧縮された脾臓が、血液中に赤血球を豊富にし、それらが得意的血液循環を生み出すことがあることには、人体の驚異を感じる。
 実際にどのように検査が行われたのか。ジャックの左上腕の静脈から心臓付近まで細いカテーテルを挿入し、各深度において体の各部位から水中採血を行った、と書かれている。その検査後に静脈炎で苦しんだという記述に「さもありなん」とうなづく。
 ほかにもレントゲン撮影等の検査も行っている。それもが驚異に満ちている結果が持たされた。
 
 それがどうした、と言われればそれまでなんですが。
 つまり、生ものにはまだまだわからないことが多く、思いもかけない生理機能で、私たちの体には何十にも鍵がかけられている。そのことで生命が維持され、守られていると思うと『わからないことをわからなまま大事にしよう』という野口先生の言葉が意味を深めてゆくのを感じる。
 
 その先を読むと次のような記述にでくわす。
《どんな人間にも潜在しているいくつかの能力を呼び覚ますことによって、動物が本能的にやること、あるいは人によっては催眠状態でしかできないことを、ヨガ行者は故意に、意識的に行うことができるのである》
 結跏趺坐などの姿勢で脾臓に圧力を加え、筋肉を意識的に緊張させ、脾臓が貯えている赤血球を意のままに解放することも可能なのだそうだ。

 いやはや、凡人は、悩みつつ、迷いつつ、ドキドキはらはらして、ちょっとしたことに喜び……、と毎日を過ごすのだけれど、時にこうした内容の本をひもとくだけでも、頭のなかが浄められるような、体のなかの細胞のひとつ一つが風通しよくなるような、……快感が得られる。

 龍村仁監督が『地球交響曲』第二番「海」ジャックマイヨール編の最後にBGMとしたスーザン・オズボーンが英語でうたった『浜辺の歌』。日本語を英語に訳し、透明なソプラノの声にのせて奏でられた「海」が象徴するあの快感に通じる。

 とにもかくにも春の読書週間はひとまず一段落を迎えた。積み上げてあった『TPP亡国論』『日本防衛論』『ウェブで政治を動かす!』『知の逆転』等々を一気に読んで、最後に『イルカと、海に還る日』を読み終え、関連のDVDを見て聞いて、精神のバランスをとったような気がしている。

 4月1日、昨日は、午前中に一時間をかけて明治大学の新しく出来た中野校を見学し、夕方からは和泉校舎で体育の13年度の連絡会とそれに続いて懇親会に出席した。いよいよ新学期が始まった。
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