羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

本日(8月17日)朝日新聞「天声人語」に触発されて……

2016年08月17日 07時50分37秒 | Weblog
 今朝、先ずはじめに「天声人語」を読んだ。
 この内容にちなんで、紹介したいNHKの番組と本がある。

 まず、番組は「日本国憲法誕生」2015年4月6日公開。
 近藤早利さんから今年の5月に教えられたので、このブログでも紹介した。再度のおすすめである。

 本は『日本国憲法成立史』全四巻である。
 実はこの本は、同じ頃にAmazonで手に入れた。特にここで紹介する第二巻だけは、他の三巻とは異なって、清水の舞台から飛び降りる覚悟で大枚をはたいてしまった。
 この第二巻は、天声人語でも触れられていたこの部分《日本国憲法が米国主導で生まれたのは事実だ。日本政府がまとめた憲法改正案が民主的でないとして、連合国軍総司令部(GHQ)が短期間で草案を作り直した。ただ、そのなかで日本の研究者たちの意見も参照されたといわれる》この政府案(松本案)、主に参考にされたと言われる民間グループ「憲法研究会案」についての非常に詳細なリポートと検討がなされている。
 遅々として進まなかった読書だが、ちょうど第二巻を読み終えていたところだった。
 外側だけ紹介させていただく。

 書名 :『日本国憲法成立史』第一巻〜第四巻
 著者 :佐藤達夫(憲法成立に深く関わった。内務省から法制局長官)
 発行所:有斐閣
 年月日:昭和三十九年九月三十日 初版

 四巻のうち、『第二巻 第十一章 政党その他の民間憲法改正案 第四節 憲法研究会案』784ページ〜846ページ
 敗戦後、新しい憲法を定めるに当たって、さまざまな政党や民間から、政府案とは別に憲法案が発表された。
 そのなかでも1945(昭和20)年12月26日に参考として内閣に届けられた「憲法研究会」の案は、非公式に総司令部にも提出されたらしい、と同書の序説にある。

 一部、ここに引用する。
《研究会は、高野岩三郎・馬場恒吾・杉森辰男・岩淵辰雄・室伏高信・鈴木安蔵というような多くの知識人によって構成されていたこと、要綱として具体的に整っており、民間案として最初のものであったこと、その内容が当時の一般の感覚からいって、きわめて革新的であったこと・などの理由から諸方面の注目をひき、新聞にも大きく報道された。中略 総司令部ではこれに対し、後述のように相当に大きな関心をもって臨んだようであり、のちのマックアーサー草案に何らかの影響を与えたのではないかという観測もなりたつし、近年、内閣の憲法調査会でも相当に立ち入った調査を行っているので、この案については特に一節を設けて扱うことにする》 784ページ

『序説 要綱の内容 立案の経過 憲法研究会と総司令部との関係 憲法研究会に対する総司令部の評価』
 62ページにわたって詳細に記述されている。

 1945年中頃、この私的なグループによる憲法改正案は、総司令部の連合翻訳局と国務省政治顧問事務所と二手で翻訳され、1946年1月3日頃、民政局のラウエル中佐に翻訳が渡り、それに対して意見を述べるように命じられた、と833ページに書かれている。最終的に覚え書きとして残されている。
 
 佐藤氏はこの節の最後に《前略 この研究会案が、マックアーサー草案の起草について何らかの意味で参考とされたことは、〈この私的グループの草案にヒントをえて、民政局の案では、はじめ、一〇年後に憲法を改正するために憲法議会を招集するという規定を設けていた〉というラウエルの談話からも推測できる。したがって、総司令部としては、この研究会案に対し、他の多くの日本側の諸案にくらべて、実質的にもっとも大きな親近感をいだき、かつ、これを重視したと見てよいであろう。》843ページ

 とにもかくにも当時の凄まじいやり取りを読むと、短期間であっても世界に類を見ない平和憲法をつくりあげた思いをあだ疎かにしてはならない。

 戦争と平和を、祈りとともに考える戦後日本の8月は、特別な月なのである。
 戦争を語ることのできる人の多くが鬼籍に入られたが、昭和24年生まれの私は、戦争を実体験として語る人々に囲まれ、戦争を体験した先生に教育を受けた世代である。
 小学生のころの記憶をたどると、戦争が終わって前途は明るく、新しい憲法がどれほど優れたものであるか、という価値観で育てられた。
 ただ、今は、まっさらな状態で日本国憲法を知りたい、という一心で読みはじめた『日本国憲法成立史』である。
 読めば読むほどに、安易な改憲には待ったをかけたい。

 本日の天声人語には、実に、共感を覚えている。
 それがため、このブログが、このような内容になってしまった。自分自身の備忘録として……。
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