羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

サメの歯

2013年06月01日 11時36分59秒 | Weblog
 サメは脊椎動物軟骨魚類ということだが、サメの歯の化石は日本古来の伝説上の怪物である「天狗の爪」と呼ばれて、信仰の対象であったらいい。
 有名なのは神奈川県藤沢市にある遊行寺の寺宝。

 ヨーロッパではサメの歯のまわりにギザギザのないものを怪鳥の舌とみなして「舌石(グロソペトラ)と言ったらしい。なぜそのように正体が判らなかったのだろうか。
 それはサメの歯の化石の産出状態による。
 つまり、サメの歯の化石は、一本一本バラバラに産出する。また多産する場合でも、いろいろなものが一緒に出てくるので、その主の正体を復元することが困難だった。
 そこでいろいろな説が交錯する。

 約1000万年前の温かな海には、カルカロドン・メガロドンと呼ばれる巨大なサメがウヨウヨといたらしい。平均的な体長は14メートルほど。ジャンボなものでは27メートルというものまで報告されいるという。
 そうしたサメの歯の化石は、想像力を刺激して、さまざまな伝説を生んでもおかしくはない。

 サメに噛み付かれるのがれることは難しい。それはサメの歯が蛇の歯に似て、内側に倒すことができ、そうなると外には出られなくなる。
 生ものは生きるための装置が巧妙に備わっているものだ。

 サメの歯は、化石としては地味な部類に入るのかもしれない。しかし、生命の形とその機能に思いを馳せて、天狗の歯でもなく怪鳥の舌でもなく、海で遭遇したら恐ろしい生きものとして崇めつつ、会場を見て回るといいかもしれない。

 というわけで、本日の朝日カルチャー「野口体操講座」には、現世種のサメの歯をもっていきまーす。
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