羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

「多臓器円環」と「皮膚の話」

2012年09月18日 11時33分15秒 | Weblog
 8月5日の日経新聞記事「内臓同士が情報交換? 体の恒常性維持に一役」『ナゾ 謎 かがく」欄を土曜日のクラスで紹介した。
 野口先生の「まるごと全体」「つながり、つたわり、まわり、めぐり……」「円・波・渦・螺旋」の発想を現代の科学がどのように捉えているのか、といった興味からだった。
「多臓器円環」とは、研究者たちが考えた造語とか。昨年秋にひらかれたシンポジウムは「多臓器円環ダイナミクス」だそうだ。
《生命は全体(全身)が相互に影響を及ぼし合う複雑系。部分を詳しく調べていくこれまでの要素還元的な手法だけでは理解しきれない》
 今のところ、「臓器同士が情報回路でむすばれている」というイメージ理解をしておくことだ。

 さて、その話に関連して本を紹介された。
『皮膚という「脳」』山口創著 東京書籍である。今朝、ざっと目を通した。土曜日にはこのテーマで改めて「野口流マッサージ」を取り上げてみたい。
 地球上には脳がない生物は無数といるが皮膚がない生物はいない、という着目点から、話が展開される。
 重ねて言うと、皮膚が心あるいは脳の役目を果たしているという観点から、皮膚が持つ驚異の諸機能を解き明かしていく。
「手かざし」「気をおくる」等々、オカルト的な章もあって、浅い読み方をすると「とんでも本」に受けとられる危うさを秘めている。

 しかし、視覚(色)、聴覚(音)と皮膚との関係、皮膚に宿る知能について、思わず膝を打つことになる。
 野口三千三が1960年代に、生きものにとって「境界」の重要性を説き、「五感の大本は触覚(皮膚感覚)」であるという問題提起を、現代科学の知見から行ったひとつの証明でもある。
 つまり、「皮膚は外側に張り巡らされた脳」という考えから発想された野口の先駆性は、当時には少数にしか理解されなかったが、ようやく時代が理解の域内に入ってきいたと言えるかもしれない。
 
コメント (2)
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