羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

初めての物語-7-

2005年08月14日 07時51分58秒 | Weblog
 ブログを読んでくださった方から、電話をもらいました。
 彼氏曰く
「ブログってさ、もっとラフな内容を、軽やかに書くもんだとばっかり思ってたよ。あのさぁ、ちょっとばかり固すぎやしませんか?」
 なるほど、そうか。言われてみればね、確かに固い内容をつらつら書き綴ってますね。
 コーヒータイムだって、かなり長いし~。でもね、しかたないか。
「あきらめてもう少しつき合って頂戴!」
 というわけで、しばらくこのまま続けます。

 今日のつづり方はじめます。
 「夜の世界」の主人は、決してその時代の寵児でもなく、一流企業のサラリーマンでもなく、派手な世界で羽振りよく暮す男性ではないようです。
 そうした主人公の内面をのぞいてみると、日本の高度成長を担う京浜工業地帯の赤々と燃える火にある種の憧れを抱いていることが見え隠れしています。
 昼夜を問わず働き続ける工場地帯。1970年代、日本の疾走に、彼の外車はピタッと照準を合わせて走り続けるわけです。止まることを拒否しているかのように、アクセルをひたすら踏み続ける快感に浸る主人公が、車中に一人身を置いている姿は何を暗示しているのかしら。(すぐには明解な答えは出ませんでした。)
 家にもどれば優しい夫であり、社会的にはしがないサラリーマン。しかしひとたびハンドルを握れば、彼の現実を忘れることが出来るわけです。
 
 旧満州にグランドデザインを持つという仮説に照らして読み込んでみると、この短編の奥に、エコノミックアニマルといわれた戦後日本が透かし見えてくるのかもしれません。そういった日本を、車中から眺める一人の男は、作者なのか。作者の父なのか。あるいはある種の日本人の姿なのか。
 謎解きはなかなかに複雑であります。

 では、この続きはまた。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする