ひびレビ

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「犬神家の一族(1976年)」を見て

2024-08-19 07:38:49 | テレビ・映画・ドラマ
 1976年に公開された「犬神家の一族」を視聴しました。

 何度か映像化されているとのことですが、私にとっては本作が初「犬神家」。事前情報と言えば「クレヨンしんちゃん」で「犬神家の一族ごっこ」があったこと、白いマスクや池に逆さになっている様子を指して「スケキヨ」と呼称していたことぐらいです。今にして思うと、しんちゃんは本作をどのようにして知ったんですかね……?

 それはそれとして、犬神家の遺産を巡る争い、次々と命を落としていく関係者、予想していた通りだと思っていたトリックの思いがけない裏、愛憎渦巻く悲劇の物語……間もなく50年が経とうとしている本作ですが、今なおこうして放送されるほどの「名作」だということを肌で感じました。

 個人的に今作で驚かされたのは「悲鳴」でした。
 まず序盤。ホテルの女中・はるが若林の死体を発見するシーン。女性の悲鳴というと「キャーッ!」と甲高い声のイメージ……まぁ、ドラえもんのしずかちゃん的な感じの声を想像するのですが、ここの悲鳴はそんな可愛らしいものではありませんでした。何か異常なものを目撃した、というのが声だけで分かるほどの見事な悲鳴にまず驚かされました。

 続いて犬神家の長女・松子と、亡くなったと思われていた佐清(すけきよ)を出迎える竹子と梅子のシーン。目出し帽的なものを被っている佐清を見た時の反応は、字幕では「ヒャア!」と表記されており、字面だけならば息を吐きながら発しているように見えます。が、実際には息を飲みながら発しているため、こちらも信じられないものを見た、というのがより一層鮮明に伝わってきますね。

 そして金田一耕助が第二の被害者を目撃するシーン。刑事や探偵が死体を発見して驚くことこそあれ、金田一のように絶叫するのはなかなか見ないため驚きと新鮮さを感じました。探偵だって人間。むしろあんなのを目の前にして絶叫するなというのが無理がある……
 にしても石坂浩二さん演じる金田一。物語上の都合だと言ってしまえばそれまでですが、様々な人物から情報をすんなり聞き出しており、どこか人懐っこさ、親しみやすさを覚えますね。「こいつになら話しても良いか」的なことを思わせる雰囲気が漂っています。

 最後に第四の被害者を発見するシーン。ここが本当に凄かった。言ってしまえばフィクション、作りものだというのに、一体どうすればあんな声が出せるのか。どうすればどれほど感情移入すればあの表情が出来るのか。死体を見つけたことへの驚きよりも、あまりの演技力に感服させられました。
 こうした悲鳴を中心に、全体的に作りものだということを思わず忘れてしまうほど真に迫った演技が本作の魅力の一つなんだろうなと。


 そんなこんなで初めての「犬神家の一族」、楽しませていただきました。
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