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エンジンの焼き付き③

2005年09月17日 | エンジンの怪
オイルを切らして焼き付かせた「間抜けな理由」は問題外ですが、こんな話もあります。ずっと2サイクルのスクーターに乗っていた方が、クルマにグレードアップして乗り換えました。オイルを足さなくてはと思いつき、自分のクルマのエンジンフードを開けてオイルキャップを外して、オイルを入れたのは良いのですが、なかなか満タンにならないと苦情を言ったというオチです。
オイルの潤滑の必要性はここでは触れませんが、19世紀の終わりにアメリカのペンシルバニア産の原油を精製してオイルを作ったら、バルブの焼き付きを防ぐ事ができこれがバルブオイル。言い易くしてバルボリンだそうです。それでペンシルバニアが有名になりペンシルバニアオイルがペンゾイル。ウソのようですが本当?

エステル

オイル話でついでに。最近テレビのコマーシャルで「磁石のように金属に吸着するオイル」というフレーズを謳っています。実はエステルには元々吸着力があるのだそうです。エステルはジェットエンジン用に開発されたもので超高熱(500℃)での潤滑性能があり、ヒントはカストロールつまりひまし油なんです。
考え起こしてみると、スポーツスターの1500を作ったときに、熱量がものすごくカストロールのひまし油と鉱物油のブレンドオイルを使った事があり、これをオーバーホールしたときはこびり付いたオイルを掃除するのが大変でした。
オイルの耐熱性だけ考えると、普通のガソリンエンジンではオイルシールなどゴム製部品の耐熱温度は120℃あたりが上限なので、エステルはもったいないのですけれど、エンジンを暫くぶりに始動するときのドライスタートには吸着性は有効のようです。
シンセティックオイルを真っ先に開発したのは、ヨーロッパのオイルメーカーですが、これにはそれだけの理由があり、潤滑オイルの基本性能は、北米大陸産の原油から精製されたオイルの分子構造はパラフィン系で、中近東産のそれはナフテン系のものより格段に良いのです。北米大陸の原油はもうすぐ枯渇しそうなので、密かに輸出を禁止されているという説もあります。パラフィン系のある特定の地域の油田で採れた優れたものはジェットエンジンにも使えるそうですから。
エステルの弱点は加水分解されやすい点がありますので、ヨーロッパなどのメーカーが日本向けにブレンドしたものは安心ですが、平行輸入された何処の国向けなのか不明なものは、いくら安くても避けたほうが無難でしょうね。
ちなみにてんぷら油もグリセリンと脂肪酸が結合したエステルだそうです。

ハーレーのオイル

ワタシの店は1年前まで正規販売網の傘下にあったものですから、純正オイルの使用がどうしても多かったので、色々なブランドのオイルを試した事はありません。純正オイルは特別な性能を持っていない代わりに、エンジンを壊してしまうほどの劣悪な性能でもありません。しかし、通常以外の使い方、例えば乗り出す機会(気持ち?)がないので、真夏でも毎日30分間走らずにエンジンを掛ける人がいたのですが、あるスゴク暑い日にもそれをやっていたら、エンジンから「キューキュー」という異音が出てきました。そのハーレー(エボ・ビッグツイン)を預かって診てみたら、エンジンオイルは酸化したようなキツイ匂いがしたので、とりあえず純正オイルでオイル交換して様子をみたのですが変わりません。そこでモチュール300Vともう一度取り替えたら異音は消えてしまいました。興味だけでエンジンをバラす訳にはいかないので、お客さんには注意していただき様子をみてもらいましたが、その後は大丈夫でしたね。
濁った音ではなかったので、分解して点検しても、多分ベアリングに焼き色が残っているぐらいで「焼き付き」は見られなかったでしょうけれど、このときはエステルの威力を見た思いでした。
シンセティックオイルにもエステルと鉱物油から発展した化学合成油のポリアルファ・オレフィンがありますので、なんともいえませんが、気候条件を考慮されていないエステルはやはりハーレーにも使わないほうは良いでしょう。
オイルには様々な添加剤が入っていますが、ポリマーという粘度指数向上剤は高い圧力で破壊されてしまいます。ミッションなどは多くのギアを過酷な条件で潤滑していますが、その条件ではポリマーは破壊されて「シャブシャブ」なオイルになってしまう事があります。日本で売られている「2輪車用オイル」はそれに対策されたブレンドをしてありますが、通常のクルマ用オイルはもちろん違います。ですから、そんなことはしないでしょうがクルマ用エンジンオイルはハーレーのミッションには使わないほうが良いでしょうね。
使用条件は様々ですから、ワタシにはどのオイルがベストだとはいえませんが、あまり乗らなくても最低春、秋年2回のオイル交換をお勧めします。日本の夏は酷く暑いのでその後の秋。エンジンの内部に結露した水分が多くなる冬のあとの春です。

オイル話で終わってしまいましたが続きます。


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