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スポーツスター4速ミッション トラブル

2006年12月14日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  1日中グズついた天気でした。冬だというのによく雨が降るのは地球温暖化の影響か?

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*スポーツスターのトランスミッションの記事について反響が大きくありましたので、4速ミッションの珍しいトラブルを紹介することにいたしました。このブログを始める前のできごとですから、記憶に基づいた記述になりますので、手元に詳しい資料もないため、誤った内容の可能性があることを予めおお断りいたします。

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’80年ころのいわゆるアイアンスポーツスターのトランスミッションです。

症状はトップギアが滑るということです。クラッチが滑るのとは異なりカクっカクッと駆動力が失われる、ドッグクラッチが確実に噛み合わないと出る症状です。

写真では分かりづらいかもしれませんが、矢印の示す部分に異常がありそうですね。

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クローズアップすると、赤矢印のシフターフォークと青矢印のギアのほうに・・・・。

S34_10

右が矢印のように異常磨耗しているシフターフォークです。左側は新品部品です。

写真を撮っておかなかったのが悔やまれますが、異常磨耗した部分の反対側はへら絞りをしたように盛り上がっていました。

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現物はもちろん在りませんから、5速ミッションを使って説明します。

シフタードラム(4速ではシフターカム)が回転することによりシフターフォークを黄矢印のように動かし、ドッグクラッチの付いたスライドギアを赤矢印のようにシフトします。

S33_16

ドッグの歯にはご覧のように逆テーパー角が付いていて、トルクが掛かってもギアが抜けにくくなっています。

余談ですが、昔の日本車にとってはこの構造はコストが掛かり高級なメカニズムであったと言う記憶があります。

この逆テーパードッグは青矢印のような力関係になり、赤矢印の合成力が働きます。トルクが大きいほどこの合成力は大きくなりますから合理的ですね。

ところが、緑矢印の示すクリアランスが問題になってきます。

シフターフォークの移動量はシフターカムによって決まっており、それ以上は動きません。

つまり、緑矢印の示すクリアランスが過度にあると、シフターフォークを動く範囲以上に押してしまうことになり、今回の異常磨耗、変形を引き起こすことが考えられます。

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純正部品を使って組み立てたところ、今度は3速の入り方が悪いではないですか!

おまけに矢印の示すように、異常磨耗の兆候が現れています。

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黄矢印は+0.020と書いてありますが、これは青矢印の示すオフセット量を標準に対しての値です。

Vツインからリリースされているこの部品は、ブラスとスチールの材質により2種類あり、それぞれに標準、+-0.010~0.030(0.005はスチールのみ)と揃っています。

そして異常磨耗に強いと思われるスチール製を使うことにいたしました。

25年以上も経った車両が急にこのような事態になった理由を考えてみると、オーナーが変わったことが大きく作用していて、故障が起きる前後の状況を良く聞いてみると判明したのです。

つまり、3速ギアでフルスロットルにしてフル加速です。

今までは丁寧に乗られて、このようなトラブルは起きなくても、乗り方が変わるとコンナ事が起きてしまう事例です。

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ちなみにビッグツインの4速ミッションのシフターフォークは、矢印のシムを調整することにより、オフセットを変えることができます。

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