白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―植物の養水分吸収-

2014年02月11日 | 日記

植物が正常に生育している場合、その根は能動的なイオン吸収などによって浸透圧を高め、土壌よりも低い水ポテンシャルを保っています。導管では根より低い水ポテンシャルになっており、葉では同化産物や無機イオンの蓄積と蒸散によって、さらに大きな負の水ポテンシャルが生じています。

このような水ポテンシャル勾配が形成される事で、植物の根での水吸収と地上部への水輸送が滞りなく行われるのであり、水は高きより低きに流れると言いますが、それは水の持つポテンシャルエネルギーの高い方から低い方へ流れるのであって、それが植物の水分吸収のメカ二ズムであります。

 

―水分吸収のメカ二ズム―

植物は水ストレス防御の為に、根量を増やして水分を吸収する根表面積を増すと言います。 これは乾燥条件下で生育している植物に実際によく見られる適応現象であり、吸水の為の駆動力が小さくなった条件のもとでは、水の透過性を上げて水分吸収量を確保しようとする植物の戦略であると言います。

 植物の根が展開する吸水領域は、土壌の水ポテンシャル(乾燥の程度と塩分濃度)によって、その摂取が影響を受けるので、養水分の移動する土壌領域では一定の恒常性が維持される必要があり、養水分の移動抵抗となる栽培媒体の持つ通導性によって、其処に伸長する根密度が変ります。

 

―光と温度と酸素が溶水分ポテンシャル勾配発生の原動力―

言い換えれば、吸水ポテンシャルと媒体溶水分ポテンシャル勾配と媒体溶水分の通導抵抗で、植物の養分吸収条件は違って来ると言う事です。

新プランター栽培の容器内の養水分は、その持つ水分ポテンシャルが上部と下部では異なりますが、植物は乾燥し易い上層部からの吸水を優先し、乾燥度に従って下方からの吸水に移行して行きます。

しかし、再給液により、一定の溶水分ポテンシャルが回復すると、再び上層部の溶水分が優先的に吸収されます。又、温度が高くなると植物はより一層蒸散量が増え、葉温 30°Cでの蒸散量は 20°Cの時の3倍も多くなると言います。従って、限られた容積量のプランター栽培では、適時の給水作業が一番の課題であります。

 

―植物は独立栄養生物のイメージイラストー

養液栽培では肥料成分を溶解した培養液が給液されるのですが、植物はその水と養分を均等に吸収するとは限りません。

その結果、培地溶水分中の養分イオンの濃縮、或いは低下のどちらかが発生します。従って、水分吸収とイオン吸収の相対比が養液栽培では大変重要であり、それを表す指標が蒸散流濃度係数(TSCF)であります。

TSCF=(植物吸収イオン量/蒸散水量)/培養液イオン濃度

 TSCFが1なら、培養液の濃度は変わりません。1より小さいと培養液の濃縮が起こり、大きいと培養液のイオン濃度の低下が起こります。一般に特定のイオンが短時間に吸収されて枯渇する一方、濃縮されるイオン、水分の摂取と略同じに摂取されるイオンとがある事が明らかにされています。

又、蒸散量は気象条件に大きく影響され、光合成量、適正温度、生育段階等で、水分摂取と養分摂取との相関性は異なって来ます。

 

―根のイオン吸収のイメージイラストー

植物栽培では土壌内に形成される吸水ポテンシャル勾配によって、養分の輸送も亦、根での水吸収と共に根部へ滞りなく行われています。

土壌中の肥料分は、イオンの形で植物の根に移動して吸収されますが、それには根の周辺で植物の急速な吸収により、イオンの濃度勾配が発生して起こる拡散、植物の土壌中の水を吸収することで、水に溶解しているイオンが水と共に根の表面に運ばれるマスフローとがあり、イオンの吸収はイオン濃度と根の吸収速度によって、拡散かマスフローのどちらかになると言います。

 

―イオンの取り込みのイメージイラストー

カリ(K+)やリン酸(PO43-)のようなイオンは、過剰に施肥されない限り土壌溶液中の濃度が低く、根によるイオン吸収速度が大きいので、マスフローでは不足し、根の周辺のイオン濃度は減少し、濃度勾配が出来て、拡散に依る移動が主体となると言います。

又、硝酸(NO3-)のようなイオンは、多く施肥さればマスフローによって移動し、そうでないと拡散によって移動すると言い、Ca2+やMg2+のような比較的土壌に多く溶解し、根での吸収が遅いイオンは、マスフローによって根に運ばれ、根の周辺に多く集積すると言います。

 一方、根の表面に到達したイオンの根細胞内への取り込みは、水の吸収とは独立のプロセスであり、イオン濃度が低い時には、親和性の高いかキャリアーによる代謝依存的な吸収となって、水より速やかな吸収がなされ、イオン濃度は低下します。

逆にイオン濃度が高いと、非代謝的な親和性の低いキャリアーによる吸収となり、水より吸収が少なくなってイオン濃度は増大すると言います。

 又、根の細胞に取り込まれたイオンの移動には、2つの過程があり、細胞内移動=原形質移動である、水と一緒の移動と、細胞外移動=濃度勾配による拡散による移動とがあります。

導管内に入ったイオンは、蒸散流によって水とともに移動しますが、周辺の組織や篩管への移動には、選択的膜透過過程が介在し、イオンと水は独立しての移動となります。

従って、土壌や水耕培地中のイオンが根に吸収されて地上部にまで達するには、水の移動と深く関係する段階と互いに独立の段階があると言うことになります。

 

―イオンと水の移動ルートのイラストー

しかし栽培媒体に高濃度で存在するイオンでは、イオンと水の吸収、移動は相関性が高くなり、長期的な吸収ではそうなる可能性が高いのですが、それには、植物の成長速度が関与し、活発に成長すると水の蒸散も大きいので、見かけ上、水とイオンの吸収の相関性を示すことになります。

 養液栽培では、植物は水を分離しながら、特定の栄養素を他の栄養素よりも急速に摂取して、酸叉は塩基を排出してpHを変化させ、培養液の組成も変ります。 従って、塩濃度が極度に高くならないようにし、且つ、栄養塩が枯渇させず、或はpHが必要な値から離れ過ぎないようにする為に、培養液の組成の監視が養液栽培では大切な管理作業となります。

 家庭園芸のプランター栽培、水と肥料の適切な管理が其の成果のカギを握っているのですが、上述の水とイオンの吸収の植物生理をどのように捉えて、尤も簡単な方法で、如何に成果を揚げるかが課題であり、様々栽培法の試行錯誤を繰り返しました。

 

―植物の栄養摂取のイメージイラストー

結果的に辿り着いた新プランター栽培、用土容器栽培と同じような栽培形態ですが、均衡培養液を用いるので水と肥料の与え方が違います。用土栽培でも固形肥料の他に液肥として水で希釈した肥料溶液を与えますが、均衡培養液とは濃度も組成も異ります。

 其の違いはと言えば配合処方ですが、養液栽培は土壌を用いずに培養液の中で植物を育てる方法であり、今日までに様々に組成の異なる培養液処方が提案されて来ました。しかし、殆どが互いに大変良く似てはいて、その作成指標は一般に、全濃度が植物組織に含まれる組成に比例し、植物に害にならない量の栄養素を含むものと言います。序に申せば、其の培養液は土壌溶液とは似ていません。

 

―肥料分は有効態溶水分となて吸収される!-

其の養水分吸収に影響を及ぼす環境要因はと言えば、根の呼吸に直接影響する要因であり、先ず揚げられるのが、温度、光、酸素であります。

 温度は植物全体の酵素活性に直接影響し、地上部は光合成による呼吸基質生成を通じて、地下部では呼吸そのものを通じて、エネルギー依存的な養分吸収に影響します。溶解できる酸素量は培養液の温度が上昇すると一層減少します。

根部の温度上昇(30℃まで)は、根部の呼吸率も上昇させ、一層酸素要求量が増加し、培養液の一定した交換が必要になると言います。又、根圏の温度上昇は、成長率及び養分の吸収の増加となり、根部表面積の増加に影響を与えます。

 

―光合成のイメージイラストー

光は光合成のエネルギー源であり、光合成による呼吸基質の生成は、それらを直接根に供給する事を通じて養分吸収に影響し、養水分の吸収は、昼間高く、夜間は減少する事でそれが分かります。

 酸素は呼吸基質の酸化に必要であり、養分は其の濃度勾配に逆らって根から吸収されるので、養分摂取には呼吸エネルギーが必要であり、根を取り巻く気相から供給されるのですが、酸素分圧の低下でイオン吸収も低下します。 根での呼吸を継続する為には、当然、根圏での酸素が利用できなくてはなりません。

 

―根圏微生物作用のイメージイラストー

新プランター栽培では、其の温度、光、酸素について考慮する時に問題となるのが、置き場所の日照量であり、養水分の供給頻度であります。

日照は光合成に相関する一方で、容器栽培では培地の温度の必要以上の上昇、同時に蒸散量の増大があります。春から夏に掛けて栽培する夏野菜のトマト、キュウリやナス等の新プランター栽培では、旺盛な成長の下での相当な収穫量が充分期待できますが、日照量が充分得られる場所では、盛夏には寒冷紗等に依る日除け、増大する葉面蒸散量に対応する対策としての適切な整枝、摘葉が必要となり、又、容器を含めての高温対策が一番の課題となり、全面散水等、様々な工夫が必要です。

 

―水循環の一翼を担う植物の蒸散―

根部酸素量については、幸いな事に、当該培地の持つ優れた孔隙率のお蔭で必要な根圏の酸素分圧の確保は問題ないのですが、容器いっぱいに旺盛に伸びる根量のトマト栽培では、梅雨期の時には1週間も10日も降雨が持続すると、根圏の酸素が不足して幹に気根の発生が見られます。

しかし、これは露地圃場のトマト栽培でも起こる事があり、そのような時は病害発生の大きな要因となるのですが、新プランター栽培での過去のトマト栽培では、それでも雨除けは必要となった事は有りません。

 

―大きなポテトリーフの新プランター栽培トマトブランデーワインー

新プランター栽培はハイドロポニックスで言う養液栽培とも違いますが、培養土のような土壌の持つ物性を利用する栽培法とも一寸違います。

敢えてその栽培法に名前を付けるなら、低張力毛管水耕法とでも呼べますが、何と言ってもその特徴は、珪藻由来の珪殻の持つ微細孔の分布構造にあり、それを焼成した硬質のセラミックス粒の培地利用であり、今尚其の物性の効果にははっきり分からない事が多くあります。

 

―トマトは新プランター栽培定番作物ですが、暑さが苦手!-

作物栽培での養分の最適濃度は 「作物の要求量、培地の供給速度、根密度の3要因の相対関係で認められるものであり、作物や養分固有の絶対値と言うものはなく、これらの要因によって異なる相対値である」 と言います。

その中の培地の「養水分供給速度」ですが、多くの方に新プランター栽培を実践して頂き、その高い栽培成果から、是非それを実感して頂きたいと思って居ます。

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