東日本大震災から1年半以上が経ち、さまざまな人たちによってボランティアが進められている。中には阪神・淡路大震災に関わった人たちもおり、その活動では震災にまつわる経験が生かされていた。【1月11日 神戸大NEWS NET=UNN】
●自分にできる寄り添い方を 加藤りつこさん
阪神・淡路大震災の遺族として東日本大震災に関わるのが、広島に住む加藤りつこさん。息子の貴光さん(当時=法・2年)を亡くした。東日本大震災が発生してからは、遺族としての経験を話す講演の謝礼などを寄付してきた。しかし、現地を訪れるなど深く関わっていく内に「何かできれば」と、昨年4月に「広島と福島を結ぶ会」という団体を設立した。
その活動で加藤さんが重視したのは、顔の見える交流。寄付していた謝礼を、現地の高校生に奨学金として送ることもしてきたが、それは「本来望むところではなかった」と話す。家や家族を失い、孤独の真っ只中にいる被災者。その人たちに、同じ経験をした立場として「寄り添う」のが加藤さんの接し方だ。
そうして現地で自身の体験を話す中で、1人の男子高校生と出会った。自宅が津波で流され、母親のがんが再発するなど不幸が重なってしまったその高校生は、加藤さんの話を聞きながらずっと泣いていたという。直接会話をすると、高校生から「亡くしてから17年経ってもこんなに深い愛を持っている人がいるんだ」という感想が返ってきた。その高校生とは今でも連絡を取り、苦しみを共有しているそうだ。また、同じく話を聞いていた60代のお年寄りの女性からは「こうして自身の体験を話すことも役に立つから、ふわふわしたままではいけませんね」と言われ、より「自分にしかできない交流があるんだ」との思いを強くした。
「この活動を続けて、辛い状況から出発する方法を伝えていきたい。思いを伝える会にしたい」としている。
●厳しい復興の道 今後の継続課題 藤室玲治さん
藤室玲治さんはキャリアセンターのボランティア支援部門コーディネーターとして東日本大震災に携わる。現在の主な活動は東北ボランティアバス。これまでに計11回、のべ400人以上の学生が足湯ボランティアや街灯を設置するなどの活動を行ってきた。
阪神・淡路大震災を経験し、当時の様子も目にした藤室さん。少し先を予見する際に、ある程度は経験が役に立つという。「2年で撤退するボランティアが多い。どう継続していくか、3年目以降が正念場」。復興に関しては浸水した場所が多く、住宅の再建がスタートラインにも立っていない。「津波など、状況が全然違う」と復興の難しさをうかがわせる。
そんな中、昨年6月からは阪神・淡路大震災でも行った「聞き取りボランティア」を始めた。「語り継ぐことは重要で、東日本でもその思いは途切れないようにしたい」と今後を見据えている。(記者=香月隆彰)
【写真】心の距離も近くなる足湯ボランティア(2012年9月8日・岩手県山田町で 撮影=鈴木太郎)
●自分にできる寄り添い方を 加藤りつこさん
阪神・淡路大震災の遺族として東日本大震災に関わるのが、広島に住む加藤りつこさん。息子の貴光さん(当時=法・2年)を亡くした。東日本大震災が発生してからは、遺族としての経験を話す講演の謝礼などを寄付してきた。しかし、現地を訪れるなど深く関わっていく内に「何かできれば」と、昨年4月に「広島と福島を結ぶ会」という団体を設立した。
その活動で加藤さんが重視したのは、顔の見える交流。寄付していた謝礼を、現地の高校生に奨学金として送ることもしてきたが、それは「本来望むところではなかった」と話す。家や家族を失い、孤独の真っ只中にいる被災者。その人たちに、同じ経験をした立場として「寄り添う」のが加藤さんの接し方だ。
そうして現地で自身の体験を話す中で、1人の男子高校生と出会った。自宅が津波で流され、母親のがんが再発するなど不幸が重なってしまったその高校生は、加藤さんの話を聞きながらずっと泣いていたという。直接会話をすると、高校生から「亡くしてから17年経ってもこんなに深い愛を持っている人がいるんだ」という感想が返ってきた。その高校生とは今でも連絡を取り、苦しみを共有しているそうだ。また、同じく話を聞いていた60代のお年寄りの女性からは「こうして自身の体験を話すことも役に立つから、ふわふわしたままではいけませんね」と言われ、より「自分にしかできない交流があるんだ」との思いを強くした。
「この活動を続けて、辛い状況から出発する方法を伝えていきたい。思いを伝える会にしたい」としている。
●厳しい復興の道 今後の継続課題 藤室玲治さん
藤室玲治さんはキャリアセンターのボランティア支援部門コーディネーターとして東日本大震災に携わる。現在の主な活動は東北ボランティアバス。これまでに計11回、のべ400人以上の学生が足湯ボランティアや街灯を設置するなどの活動を行ってきた。
阪神・淡路大震災を経験し、当時の様子も目にした藤室さん。少し先を予見する際に、ある程度は経験が役に立つという。「2年で撤退するボランティアが多い。どう継続していくか、3年目以降が正念場」。復興に関しては浸水した場所が多く、住宅の再建がスタートラインにも立っていない。「津波など、状況が全然違う」と復興の難しさをうかがわせる。
そんな中、昨年6月からは阪神・淡路大震災でも行った「聞き取りボランティア」を始めた。「語り継ぐことは重要で、東日本でもその思いは途切れないようにしたい」と今後を見据えている。(記者=香月隆彰)
【写真】心の距離も近くなる足湯ボランティア(2012年9月8日・岩手県山田町で 撮影=鈴木太郎)