骨で聴く異世界

耳を使わずに「聴く」世界を旅します。耳をふさいでいても聴こえる世界です。

臨江閣を骨で聴く

2008-05-07 10:38:25 | 骨で聴く癒しの世界

 来場者数が80万人をこえた第25回全国都市緑化ぐんまフェア「花と緑のシンフォニー ぐんま2008」の会場にもなっている臨江閣は前橋市にあります。住居表示は前橋市大手町3丁目15番ですから、地名からだけでも市の中心部にあることがわかります。

 近代和風の木造建築で、本館、別館、茶室があります。
 本館と茶室は群馬県指定、別館は前橋市指定の重要文化財になっています。
 近くを流れる利根川の流れ、都市部とは思えないような松林にかこまれ、普段は閑静な雰囲気を漂わせています。「花と緑のシンフォニー」会場の一部になっているため、開催期間中は静寂が破られ、喧騒の渦に巻き込まれています。それでもその木造の建築は訪れた人々すべてに暖かなぬくもりを伝えているようです。そして前橋の近代という歴史を情緒いっぱいに伝えています。

 本館は明治17年9月、当時の群馬県令・揖取素彦(かとり もとひこ)や市内の有志らの協力と募金により迎賓館として建てられたそうです。

 別館は明治43年一府十四県連合共進会の貴賓館として建てられました。こちらは書院風建築です。

 茶室は明治17年11月に、京都の宮大工今井源兵衛により、わびに徹した草庵茶室として完成しました。

 近代日本の歴史を語りながら、前橋ドームや高層建築の群馬県庁の近くに存在を誇示している木造建築物は、それだけで価値が大いにあるように感じられます。人口約34万人の前橋市の中心部は、自家用車保有率ナンバーワンの影響で、中心部が寂しい状況になっています。それでも、こんな歴史的建造物が中心部にあることを誇りに思って欲しいと思ってしまいます。

 やはり、花と緑の祭典で、都市の活性化まで考えてしまうのは、余計なお世話かもしれません。ついでにCO2の削減も考えてしまいます。それでもやはり考えます。

 そして歴史を骨で聴きます。

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