日,暮らし

明日は明日の風が吹く。

「かたみ歌」朱川湊人

2005-10-16 | 日々の読書
先に直木賞を受賞した「花まんま」の受賞後第一作ということで,実はまだ「花まんま」を読んではいないのだが・・。

東京の下町,都電線路沿いのアカシヤ商店街と覚智寺を中心に,その時代のはやり歌をBGMに起こる,ちょっと不思議な物語。最初読んだとき,年代が??というところがあったのだが,最後まで読んで,そして流れる歌で,ああ,そうか・・と納得。昭和30年代から50年代の話。でも,これって,一応7編の連作短編だけど,ある意味長編であって,主人公は,アカシヤ商店街にある古本屋「幸子書房」とその芥川似と言われる老主人かもしれない。

新聞の書評で,「プチ・ホラーとでも言うべき雰囲気の」とあったのを見たが,そういう意味では奇譚集だろうと思う。なんだか,そういうことがあってもおかしくないよという雰囲気なのかな。

あの世とつながっている場所があると言われる,覚智寺。そして,寺の周りで起こる不思議な出来事。黄昏時に見ると亡くなった人が見えるという寺の石灯籠・・・。

今,BSの映画で,土曜日の夜,寅さんをずっとしている。旦那はなぜかこれが好きで,毎回笑いながら見ている。長い年月作られた映画なので,私はこの時代背景というか,周りの古き良き日本というものを見るのが好きだ。自分が子供のころと重なる部分がある。多分,人情でも,人と人とのつながりでも。

近頃の新聞記事を見ていると,なんだか世の中がヒステリックになっているような気がする。読んでいて,そこまで非難しなくてもいいんじゃないのかと思うようなこともある。時代が変わったと言われれば,そうなんだけど,なんだか人を許さなくなったというか,間違ってはいないけど,そうすることは正しいことなのかと。

世の中が,黒か,白か,だけの色合いになってきているような気がする。もっとグレーの部分というか,それだけじゃないだろうって,そんなに世の中,はっきりと決められることだけじゃないだろうって思うことがある。うまく言えないが。

最新の画像もっと見る