
「不思議の国のアリス」に出てくるチェシャ猫には二つの大きな特徴がある。
①ニヤニヤ笑っている
②突然姿を消したり現れたりする
このうち、①の方の解説はよく目にするが、②の方については、キャロルは一体どうしてこんな荒唐無稽な特技!?を思いついたのか不思議に思っていた。
まず①の方について。
当時のイギリスにはもともと「チェシャ猫みたいにニヤニヤ笑う」という成句があったそうで「アリス」に出てくるチェシャ猫も「耳から耳までとどくくらい」大きな口でニヤニヤしている。
作者のルイス・キャロルの出身地はイギリスのチェシャ州なので、キャロルにとって猫が「ニヤニヤ笑う」のは当たり前のことだったのかもしれないし、英国人にとっては少なくとも「チェシャ州の猫」がニヤニヤ笑うということについては、何も不思議ではなかったのかもしれない。
一方、突然、姿を現したり、消えたりするという特技の方はキャロル独自の発案のようだ。こんな突拍子もないことを、キャロルは一体何にヒントを得て考え出したのか。それを教えてくれるのが「チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイス・キャロルの写真術」
という本だ。
ルイス・キャロルの本職は数学の先生だが、大変熱心なアマチュア・カメラマンとしてもよく知られていたそうだ。この本では、そんなキャロルのカメラ趣味が「不思議の国のアリス」や「鏡の国のアリス」に及ぼした影響を丹念に考察している。
日本でいえば明治維新前後の頃、当時、最新テクノロジーの一つであった写真技術の黎明期に、ルイス・キャロルは自分のスタジオまで作ってしまうほどの写真オタクだったのだ。

暗室の中で「現像液に浸したガラス板の上に『像』がぽーっと浮かび上がってきてくれればよし」「しかし、いつもそうして『像』が現れるとはかぎらない。現れるはずの『像』が現れずに消えてしまった!ということだって、再三起こっていたはずだ。そんなとき、ガラス板の上には失敗をあざ笑うが如きニヤニヤ笑いだけが残されたような、そんな気分に(キャロルは)陥ったのではあるまいか。(チェシャ猫とは)なんとも写真術的な猫であった」と著者は書いている。
ところで、キャロルは少女の写真を撮影するのが趣味だったので、ロリコンだったかどうか?という議論がある。
本書はそのような議論に立ち入ってはいないが、キャロルが撮影した写真は多数掲載されている。その中の、本書の最後に掲載された一枚の写真を見ると、「あちゃ、これはいかん」と思った。もちろん、彼の文学作品の価値がこれによって影響を受けるわけではないとは思う。ただ、もし、コイツがカメラを持って、自分の娘に近づいてきたら、私ならぶん殴る。。。
①ニヤニヤ笑っている
②突然姿を消したり現れたりする
このうち、①の方の解説はよく目にするが、②の方については、キャロルは一体どうしてこんな荒唐無稽な特技!?を思いついたのか不思議に思っていた。
まず①の方について。
当時のイギリスにはもともと「チェシャ猫みたいにニヤニヤ笑う」という成句があったそうで「アリス」に出てくるチェシャ猫も「耳から耳までとどくくらい」大きな口でニヤニヤしている。
作者のルイス・キャロルの出身地はイギリスのチェシャ州なので、キャロルにとって猫が「ニヤニヤ笑う」のは当たり前のことだったのかもしれないし、英国人にとっては少なくとも「チェシャ州の猫」がニヤニヤ笑うということについては、何も不思議ではなかったのかもしれない。
一方、突然、姿を現したり、消えたりするという特技の方はキャロル独自の発案のようだ。こんな突拍子もないことを、キャロルは一体何にヒントを得て考え出したのか。それを教えてくれるのが「チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイス・キャロルの写真術」
ルイス・キャロルの本職は数学の先生だが、大変熱心なアマチュア・カメラマンとしてもよく知られていたそうだ。この本では、そんなキャロルのカメラ趣味が「不思議の国のアリス」や「鏡の国のアリス」に及ぼした影響を丹念に考察している。
日本でいえば明治維新前後の頃、当時、最新テクノロジーの一つであった写真技術の黎明期に、ルイス・キャロルは自分のスタジオまで作ってしまうほどの写真オタクだったのだ。

暗室の中で「現像液に浸したガラス板の上に『像』がぽーっと浮かび上がってきてくれればよし」「しかし、いつもそうして『像』が現れるとはかぎらない。現れるはずの『像』が現れずに消えてしまった!ということだって、再三起こっていたはずだ。そんなとき、ガラス板の上には失敗をあざ笑うが如きニヤニヤ笑いだけが残されたような、そんな気分に(キャロルは)陥ったのではあるまいか。(チェシャ猫とは)なんとも写真術的な猫であった」と著者は書いている。
ところで、キャロルは少女の写真を撮影するのが趣味だったので、ロリコンだったかどうか?という議論がある。
本書はそのような議論に立ち入ってはいないが、キャロルが撮影した写真は多数掲載されている。その中の、本書の最後に掲載された一枚の写真を見ると、「あちゃ、これはいかん」と思った。もちろん、彼の文学作品の価値がこれによって影響を受けるわけではないとは思う。ただ、もし、コイツがカメラを持って、自分の娘に近づいてきたら、私ならぶん殴る。。。
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ご紹介の本も面白そうですね。
キャロル・・・数学者でしたが、確かにちょっと複雑な心理的内面をもった人物だったみたいです。
私は「不思議の国」より「鏡の国」が好きです。
まぁ、今で言う「オタク」だったことは間違いないでしょうね。難しい考証は抜きにして、たった一枚残った(他はみんな破棄された)という「その写真」を見れば一目瞭然ですな。
でも、ルイスキャロルについてはなにも知らなかったので、興味深く面白く読ませていただきました。
ニヤニヤ笑いが最後に残る・・・という消え方、斬新ですよね!!
写真の現像上の問題がヒントであったとは、な~るほど!です。
不思議の国のアリス・・・原画は大・大好きなんですが、ストーリーはいまいち理解できませんでした。夢オチも、納得できなかった。あの時代だからこそ良かったのでしょうね。
ストーリーは、色々な仕掛けはあるらしいですけど、とにかくハチャメチャなお話しなんだ、と割り切って、楽しむに如かず、だと思います。
童話に突っ込みを入れるのは、野暮ってもんですね。(^^ゞ
でなければ、チェシャ猫や、時計ウサギや、トランプの兵隊なんていう、ユニークなキャラクター、生まれてなかったんですからね!
まったく、同感です。面白ければそれでヨシ!!