神谷ネコ丸がおくる暇人日記

発達障害&ひきこもり&起立性調節障害&性別違和を持つ高校生が、色々言うてます。アイコンはへろのすけメーカーより。

6楽園

2019-09-17 22:30:50 | 小説
アヤメのお腹が膨らんできた頃、一冊の古書を咥えたシンが、駆け足で帰ってきた。
季節は冬。
妊婦であるアヤメは、暖かい巨大樹のなかにおり、彼はふごふごと只今の挨拶を済ませ、そのまま彼女の部屋へ駆け込んだ。
本を咥えたまま、息を切らす自分の旦那に、大きくなった腹を寝かせ、少し笑った。
「どうしたんですか。そんなに慌てて。」
だが、シンの形相はただ者ではなく、本を床に置くと、真剣な眼差しで彼女を見据えた。
その左目に、ふっと笑みが消える。
「見つけたんだ。あれに関する本を。」
あれ、その一言に、アヤメの表情が厳しくなった。
「中身はまだ見ていないんですか。」
彼女の雰囲気に、彼は少し慌てて、本を開いた。
前足でページを捲りながら、「あれの正体、それと対処法が書かれたページだけは見た。読み上げた方がいいか?」問いかけた。
既にそのページを開いており、そのまま足を乗せる。
本を一瞥したあと、アヤメは静かに肯いた。
「……まずは、あれの正体から。」
シンは、ゆっくりと、淡々と、本の内容を音読しだした。

近年、増加傾向にある狂犬病に似た病は、主に犬や狼に感染する感染症だ。
単刀直入に言うと、この感染症は狂犬病とは別物であり、何の関係性もない。
故に狂犬病に対する治療法や予防法も効かず、感染は広がりつつある。
この感染症に、“暴走症”という名前を付けよう。
シンプルだが、分かりやすい。
症状としては、自我や理性を失ってゆき、ある時急に暴れ出すというもの。
どういう訳か、群れのリーダーやそれに匹敵する個体ばかり、暴走症に感染している。
この病は、意図的にリーダー格の個体に入り込んでいるようだ。
理性を失った個体は、動く物全てを仕留めようとする。
故に、仲間や家族にも襲いかかり、人間にも襲いかかる。
身体能力も飛躍的に向上するようで、まさしくゾンビ映画に出てくる化け物だ。
但し、知能は保ったままらしく、狡猾な手段に出る個体も多くいた。
そして食事や睡眠はとらず、命が尽き果てるまで暴れまわる。
症状としてはこんな具合だが、予防法もなければ、対処法などもない。
ただ感染した個体を殺すしか方法はないのだが、身体能力が飛躍的に向上した化け物を相手に、人間や他の動物が殺せる訳もない。
この暴走症は、人類、そして自然の滅亡を企てる、最悪の感染症なのかも知れない。

また少しページを捲り、読み出した。

もしかしたら、感染した個体に、“ツキヨミ”を食べさせ、そして殺せれば、暴走症自体も死滅するかも知れない。
いや、確実に死滅するだろう。
暴走症を引き起こす細菌、ウイルスは、“ツキヨミ”の成分に滅法弱い。
その成分は分解されず、血液内を駆け巡るため、確実に元凶を壊せるだろう。
但し、“ツキヨミ”は珍しい鉱石だ。
そう簡単に見つかる訳もないし、見つかったところで、食事も睡眠もしない感染個体に、どうやって鉱石を食わせればいいのか。
何かの拍子に食わせるか、はたまた、弾丸に加工した“ツキヨミ”を撃って、無理矢理血液内に巡回させるか……。
新たな問題が浮上してくるが、可能性はゼロではない。
愛しのペットが暴走症になってしまっては可哀想だし、早急に解決策を練らねばならない。

「……この先は、血痕で見えなくなってる。多分この著者は、その感染個体に殺されでもしたんだろう。」
低く、抑揚のない声で呟くと、シンは本から手を離した。
窓から入り込んできたそよ風が、ページを僅かに浮かせる。
暗い雰囲気に、ややあって、シンの溜息が漏れた。
「ツキヨミ自体は、今の時代だと結構多くある。けど、その先がな……。」
そのまま伏せ、そよ風に吹かれるページを見つめた。
だが、アヤメが鼻先で本を閉め、ふっと顔をあげると、微笑みを見せてくれた。
「その時が来たら、にしましょう。次の感染個体がいつ出てくるか分からないし、もしかしたら、シンのリーダーがそのままやってくるかも知れない。探したり考えたりするより、来るのを待つ方が、精神的にも楽ですよ。ほら、ツキヨミだけ常備しておいて、子供達にこの事を伝えておく、とか……。」
そう、彼の頬に軽くすり寄せ、小さく肯いた。
母親らしい、芯の通った強さが表れだした彼女に、ふっと笑みを見せ、「そうだな。取り敢えずみんなに知らせておこう。」と、徐に立ち上がった。

@@@

巨大樹の出入り口の前で、シンは大声で得た情報をみんなに告げた。
真剣な空気は楽園を包み込み、狼である二匹、それとランや他の山犬、そして可能性のある狐達は、得体の知れない死体や場所に近づかないよう、気をつけることを、最後に高く吠えた。
そして、シンにしか言っていなかったアヤメの生い立ちも語り、その日は暫く、真剣な空気が頬を掠めた。
ツキヨミの捜索は後日する予定で、山猿達は更なる道具の研究に勤しみ、楽園の雰囲気は、徐々に変わりはじめた。
また、アヤメの腹も成長を続け、そろそろ産まれても可笑しくない状況に。
そんななか、捜索から帰ってきたシン達は、大量のツキヨミが入った袋を、どさどさと地面に置いた。
毛色が大人のそれに変わり出している彼は、前足で口を開けてみせた。
覗き込むハルとマナは、「わぁ。」と、可愛らしい、感嘆の声を漏らした。
基本的には安全で綺麗な鉱石だ。
それもあって、シンは袋の口を大きく広げたのだろう。
「触っても害はない。お前達のためにも、沢山採取してきたからな。」
疲れてはいるが、穏やかな面持ちを見せると、彼ら彼女らはツキヨミに群がった。
嘗ては希少な鉱石だった故に、その美しさは目を見張るほどのもの。
まるで星空の如く輝くツキヨミは、光の当て具合や角度によって、その再現不可能な表情を変えてくれる。
「凄いシランちゃんに似合ってる!」
ぴょこぴょこと跳ねるマナに、ふっとそちらに視線をやる。
ツキヨミの欠片を頭に乗せたシランが、耳を微かに伏せたまま、少し固まっていた。
上を見てはいるが、彼女からは何も見えないらしい。
「そうかなぁ……。」
と漏らしながら、眼を伏せた。
真っ白な毛色である彼女に、星空のような、宇宙のような鉱石はよく映える。
きちんと加工してやれば、更に似合うだろう。
そう思い、山猿のなかでそういうのが得意な子に、シンはひっそりとお願いした。
刹那。
「兄貴!」
ここ最近やってきたミミズクの一羽が、ばさばさと慌てた様子でやってきた。
何事だと顔をあげると、近くにいた熊の頭に止まり。
「“姉貴の子供が、産まれる!”」
と、大きい眼を更に見開き、翼をはためかせながら、告げた。
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5楽園

2019-09-17 22:30:11 | 小説
その日の夜中。
二匹の狼は、寄り添って眼を瞑っていた。
然し、眠りについている訳ではなく、小さな声で、語り合っていた。
「帰ったら、報告しますか?」
「……付き合ったってことを?」
「ええ。というか、私達野生からしたら、結婚みたいなものですけどね。」
「そうだな。俺達に恋人期間はないな……。けど、いいんじゃないか? 俺、お前が母親になるところ、見てみたいし。」
「……それって、エッチな事がしたいってことですか?」
「……オスは結局そこだから。」
「……そうですね。貴方になら、幾らでもされてあげますよ。」
ふっと眼を開け、微笑むアヤメに、動揺の一つもせず、瞼をあげる。
互いに見つめ合い、ややあって。
「こんな夜中にそんな事言って……やられてーのか?」
気怠げに問いかけた。
これに、少し間を置いて、「はい。」と、一つ。
それがキッカケとなり、シンは左前脚を首の方にやると、口を近づけた。
獣同士でも、キスというものをしてみたい。
その意思が二匹にあるお陰か、言葉も交わさず、舌を絡ませた。
狼の鼻息と、草原に滴り落ちる唾液。
月明かりは二匹を照らし、鈴虫達は静かに盛り上げた。
そして何時しか、シルエットは重なりあい、男女の睦言だけが、最終日を彩った。
翌日。
流石に子供達に夜中の事を教える訳には行かず、甘い時間は二匹だけの秘密にし、彼らは楽園へと歩み出した。
今回の成果はまぁまぁ。
と言っても、何かに役立つ程の発見はなく、調べ進めていたものに対する発見が、少しあった程度だ。
その調査中のものは、所謂歴史関係のもの。
特別役立つ、という訳ではなく、ただ山猿達が気になっている、というだけ。
それでも、成果はまぁまぁだったと言えるだろう。
無論、帰宅後暫くは、様々なことで賑わった。
主に、シンとアヤメの二匹が、正式に付き合った、という事に対して。
疲れてはいたが、それでも彼ら彼女らからの祝福は嬉しく、謎に喧しいシンとラン達四匹を見つめながら、アヤメは巨大樹の側にある、苔むした岩に対して、頭を垂れた。
岩の足元には、一輪の真新しい花が添えてあり、白い蝶々が一羽、それに止まった。
だがややあって、それは飛び立つ。
「アヤメ。」
真新しい花の側には、また一輪、違う種類の花が風に靡いていた。
シンの優しげな声音に、ふっと眼を開け、それを見た。
白く儚げな花と、黄色くハツラツとした花。
まるで夫婦のような姿に、口角をあげた。
「私の命の恩人であるサクラさんに、報告しようと思って。」
心地いいそよ風と、子供達の元気な声に気持ちを和らげながら、シンは彼女の隣に腰をおろした。
「喜んでるだろうな。っても、熊の母ちゃんにどやされない程、いいオスではないけど……。」
自嘲気味に言う彼に、微かに寄り添い。
「そんな事はありませんよ。あの子達をキチンと見てくれる、いい兄貴なんですから。」
幸福に満ち足りた声音で、呟いた。
それにシンは口角をあげ、ふっと、苔むした岩に視線をやった。
この楽園の創始者である、メスの大熊。
恐らく、子供好きで心の優しい、肝っ玉母ちゃんだったのだろう。
その優しさと心意気を踏みにじらないよう、住み心地のいい楽園にしようと、彼は心の奥底で、密かに決意した。

@@@

みな親しく、みな愛し合って、日々を過ごしていった。
喧嘩をしても、シンとアヤメの仲裁が大きく作用し、すぐに仲直りをしたり。
例え妙な輩がやって来ても、二匹が追い払ってくれたり。
一匹一匹、真摯に向き合い、接してくれる兄と姉のお陰で、楽園内の幸福度は、日に日に増していった。
「シンにぃー、マルがイジメてくるー。」
そう言って、彼の部屋にふらふらとやってきたランに、驚きながらも、落ち着いた様子で近づいた。
「マルがお前を? 言葉でか?」
「うんー。凄い弄ってくるっていうかさぁ……。」
「なるほど。詳しい話は本人から聞き出すか。」
「シンにぃが相手だと、すぐに泣きべそかきそう。」
「アハハ、通用せんがな。」
などと、軽く会話を交わしながら、巨大樹をおり、そのマルを呼び出したあと、シンは落ち着いた様子で話を進めた。
結果、静かに説教されたマルは、ランに謝り、一件落着となった。
相手の立場になって考える、そのことをしながら話を進めるため、互いに感情的にならずに事が済む。
群れの中で、散々馬鹿をやらかしてきたシンだからこその、解決方法だった。
「どうしよう……。」
巨大樹の側で、背中を丸める真っ白な狐。
何やら困っている様子の彼女に、シンは駆け足で近寄った。
「困り事か?」
ひょっこりと後ろから覗き込むと、そこには壊れた花瓶があった。
シランは彼を一瞥すると、それに視線をおとし。
「はしゃいでたら、誤って壊しちゃって……。コバルト君の物なのに……。」
深く溜息を吐いた。
よくある問題に、シンは花瓶に近づき、鼻先で軽くつついた。
「仕方ない。俺らじゃ直せないし、素直に謝るしかないさ。大丈夫、アイツは怒らねぇよ。」
そして微笑みを見せると、シランは少し表情を和らげ、こくりと肯いた。
山猿のオスであるコバルトを呼び、きちんと謝ると、彼は悲しそうな表情を見せながらも、大丈夫だよと笑顔を見せた。
その後は友達同士らしく話し出し、シンが他の子の困り事を聞いているあいだ、二匹は早速走り回っていた。
花瓶の事は、その日の夜、コバルトを連れて、少し無愛想な山猿のボス格に頼み込み、特別に造ってもらうことになった。
気弱な彼では絶対に出来ないことを、シンが代わりにする。
群れの中で何度も代わりになってくれた、一匹の姉の事を思い出しながら、彼は自らその役を買って出たのだろう。
今や頼れる存在であるシンも、少し前まではただの子供だった。
いや、今でも、子供のままである。
大人達の中では、その大人びた性格が災いとなり、悪い意味で対等に扱われ続け。
子供達の中では、逆に母親達から感謝される存在となり。
彼自身は、少し辟易としていた。
自分の性格に、自分の馬鹿さ加減に。
だからこそ、今の生活は楽しく、より客観的に自分を見つめる事が出来る。
リーダーが暴走したこと、これは良い事でもあり、悪い事でもある。
それはシンだけでなく、同じ境遇のアヤメにとっても、良い事でありながら、悪い事でもあるのだろう。
悲しい事もある反面、楽しい事もどこかに必ずある。
普段快活とした表情のシンも、この日は少しナイーブなのか、アヤメの胸に頭を押し当て、眼を瞑っていた。
真っ白な狼の前脚は、そんな彼の首もとを優しく抱き止め、同じく瞼を閉じていた。
打ちひしがれる事はあっても、彼ら彼女らには悟られたくない。
変に気負わせたくない。
変に気を使わせたくない。
こんな馬鹿兄貴の事は心配せず、自分の道を歩んでいってほしい。
そんな思いを抱えながら、二匹は眠りについた。
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4楽園

2019-09-17 22:29:20 | 小説
人類は数百年前に滅んだ。
食糧不足や戦争、AIによる反乱など、様々な要因が重なり、彼らは消滅した。
当時の本や建物などは未だに残っており、定期的に探索に出掛けているのだそう。
調査班は主に山猿達だが、毎回護衛の猛獣がついていく。
無論、今回は。
「後のことは、任せましたよ。」
狼である、アヤメとシンが、ついていくことになった。
リーダーでもある二匹に変わって、次に年上であるヒグマに、残った子らの事をよろしく頼むと、それぞれ肯いた。
そして出発前、数日の別れに、互いに声を掛け合い、彼らは旅に出た。
山猿達を先頭に、ひたすら歩いてゆく。
楽園の西側は草原が続いており、これと言って苦痛はないが、シンは少し退屈を感じていた。
調査班の護衛なんて、する事ないだろう、と。
欠伸を漏らしていた。
だが、嘗ての遺跡を調査している間、彼の側に、アヤメがやってきた。
どこか穏やかな面持ちに、シンは鋭い目つきのまま、左を一瞥した。
「どうした。お前も暇なのか。」
警戒モードの狼に、少し笑い声を漏らし、「ええ、貴方と話したくて。」わざとらしく、言った。
ぴくりと耳が反応するが、面持ちは変わらない。
「そうか。っても、いつものように元気には話せんぞ。」
そんなシンに、アヤメは一歩二歩と近づき、すぐ側で腰をおろした。
「そんなに気張らなくても。大丈夫ですよ、調査班のみんなだって、凄く弱い訳じゃないし。」
くすくすと笑う声に、流石に恥ずかしくなったのか、少し顔を振ると、ぎこちなく腰をおろした。
「……たまに読んでいるでしょう、人類が残した本を。」
静かに話し出すその声に、彼は左を少し見たあと、辺りを見渡しながら肯いた。
「ああ、お前の部屋に行くと、大体読んでるやつな。」
「ええ、その大体読んでるやつ。それの中にね、恋愛について書いてあるページがあるのですよ。」
「恋愛? それがどうした。」
ふっと、左を向く。
真っ白な狼は、遠くを見つめたまま、口角をあげた。
「私、体験してみたいんです。恋愛を。」
唐突な言葉に、彼の心臓は波打つ。
もう既に彼女に惚れているシンにとって、その言葉は動揺して然るべきもの。
だが、次のアヤメの台詞で、彼は更に動揺することになる。
「でも、もしかしたら、私……既に恋愛を体験してるかも。」
途端、ばっと立ち上がり、四肢を踏ん張って、眼を見開いた。
その妙な反応に、彼女は視線をやると、くすりと笑みを見せた。
「私もみんなも、既に気づいていますよ。貴方が私に好意を寄せていることに。」
今度は顔を真っ赤にし、あからさまに動揺し始めた。
「え、いや、その……。」
耳は垂れ、尻尾も垂れる。
挙げ句の果てには、顔さえもうなだれた。
そんな彼の反応に、くすくすと笑いながら、彼女は向き直ると、静かに言った。
「私も、貴方の事が好きです。こんな私で良ければ、付き合って頂けませんか?」
少し堅苦しいその言葉に、シンの動きはぴたりと止まり。
ややあって、すっと座り直すと。
「あ、当たり前だ。お前を一生……幸せにしてやる。」
頬を赤らめたまま、顔をあげた。
今までどうして告白してこなかったのか。
そのことが疑問になるくらい、二匹の距離は近かった。
まるで夫婦ようなやり取りをすることもあれば、互いに頬を舐め合うこともあれば、寄り添って居眠りをすることもあれば……。
然しそれは、言葉がいらずとも相思相愛になっていたから、距離が近かったのだろう。
勿論、互いにきちんと言ったあとも、二匹はつかず離れず、山猿達と一緒に、旅を続けた。
退屈だと思っていたそれも、彼女がいればどうという事はなく、二日目の夜に彼らに打ち明けると、またもや軽い宴になってしまった。
ただやはり、シンがアヤメを好いている事はみな知っていたようで、それを言われた彼は、「俺って表に出やすいタイプだからな。」と開き直っていた。
みな知っていた、という事は、マナ達も彼の好意には気づいていたのだろう。
二匹が旅に出た楽園内では、ラン、マナ、ハル、シランの四匹で、集まって喋ることが多くなった。
そのなかで、彼女達がシンに微かな好意を寄せている事を打ち明け、然し彼本人はアヤメ一筋な事にも気づいており、少し複雑な気持ちのままだと、溜息を漏らした。
ランの「シンにぃ、優しいからねぇ……。」という呟きに、彼女らは「だよねぇ……。」と声を揃えた。
然し、話していくうちに、二匹を応援していこう、という流れになり。
最終的にみな元気になると、その二匹と同じく、眠りについた。

@@@

アヤメは、母親に捨てられた子だった。
「赤ん坊の時は、まだ育ててくれたらしいんです。けど、肉を食べ始めた頃から、急に突き放されて……。結局、群れのおばさん達に育てられたんですが、まだ自立するには早い頃、“リーダーが暴れ出して、群れのみんなを全滅させてしまったんです。”行き場のなくなった私は、彷徨いました。大変な思いもしたし、何よりそのリーダーは自我を失って、同じく彷徨い歩いてましたから。けど、あの楽園を創った、メスの大熊に助けられて……私は今、ここにいます。リーダーはその後、一匹で餓死しましたが、雪原だったため、死体を見つけることは出来ませんでした。」
最終日の夜、彼女は初めて、自分の生い立ちを口に出した。
そのなかで、幾つか気になる事がありつつも、シンは彼女の頬に軽く鼻をこすり、暫く無言で、静かに慰めてやった。
山猿達も口を閉ざし、二匹をぼんやりと見守った。
そしてややあって、彼は問いかける。
「リーダーが暴れ出した、って……。」
だが、最初から分かっていたのか、アヤメはこくりと肯くと、また語り出した。
「そう、シンと同じ。だから最初に話を聞いた時、凄く驚いたんですよ。然もまた狼のリーダー。それに……私のリーダーが餓死した場所は、シンの群れがいた雪原地帯……。偶然にも程があるというか、どうしてこうも、自我を失って暴れ出す狼が二匹もいるのか。色々と探ってはいるんですが、全く……。」
俯くその姿に、シンは眼を伏せ、ゆっくりと口を開いた。
「昔、狂犬病という病気があったらしい。もしかしたら、似たようなウイルスだか細菌だかが、蔓延してるのかも知れない。」
「狂犬病……聞いた事があります。確かに、その類かも知れません。となると、もしかして私のリーダーのせいで、シンのリーダーが……?」
自分を責めようとする声音に、慌ててかぶりを振った。
「誰のせいでもない。だから気に病むな。」
月明かりと炎に照らされた左目は、静かに彼女を宥めた。
「すみません、つい……。」と肩を落とす姿に、ややあって山猿達に向き直り、少し無理矢理口角をあげ。
「明日が帰る日だ。今日は早めに寝よう。」
肯いた。
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MHWI 現時点での感想

2019-09-16 18:33:23 | ゲーム関係
ついこの間発売された、大型追加ダウンロードコンテンツ、モンスターハンターワールドのアイスボーン。

メインであるイヴェルカーナの初任務の一歩手前までやりましたが、取り敢えず現時点での感想をつらつらと。


ベータ版もやったことがあるんですが、クラッチクローを取り入れたアクションは爽快感があって、タイミングを見計らったぶっ飛ばし攻撃は、壁とかに当たると凄い「よっしゃ!」って感じがします。

語彙力? そんなもんはないない。

僕はハンマーをメイン武器にしてるんですが、クラッチクローからの攻撃は頭に当てるとやっぱり気持ちいいですね。

因みに、クラッチクローはL2からの○ボタンで発射でき、距離が届けばモンスターに張り付けます。

但し、攻撃中、アクション中だとダメージを受け、飛ばされます。

なので攻撃、ぶっ飛ばしなどは隙がある時にやるのが一番ですね。

最初はクラッチクローをよく使ってましたが、今はサポートのような感じで時々使っている程度です。基本ハンマーで通常攻撃。

あと、乗り中で同じようにクラッチクローを発射すると、そのまま張り付き状態に移行できます。

この方法でよくぶっ飛ばしをやってますね。

隙があるし、確実に張り付けるので。

あと乗り中、モンスターがハンターを振り落とすために、壁の近くに近寄ったりするので、当てやすくはあります。

もう少し言えば……。

移動中、食事中などは、張り付いて攻撃しても怯みません。

また、ぶっ飛ばしは頭にしか効かず、基本的に通常状態でないとぶっ飛ばせません。怒り状態だとクロー攻撃もぶっ飛ばしも効きませんね。

はい。

なんかクラッチクローの説明みたいになっちゃったけど、普通に楽しいです。

狙ってやるのは難しいんですが、壁とかにぶち当てると、最低でも200ダメージは入るので、成功させた方が一気にモンスターの体力を下げれますね。難しいんですけど。

他にも新要素は色々ありますが、雪原地帯で防具や武器に雪がつくのは、何気に興奮しましたね。

すげー! って。

転んだりすると全身につくし、武器にも違和感なくついてるので、本当に感動しました。

何というか、セリエナ(アイスボーンでの新拠点)のNPC達の作り込みとか、小型モンスター(ウルグ)や環境生物(ギンセンザル)の設定の濃さとか、今作は全体的に細かい所まで凝っていて、まさしくモンハンの世界に飛び込んだような気になれます。

大型モンスターたち、特に歴代たちの細かな動きやグラフィックにも磨きがかかっていて、初めて出会った時はテンションが爆上がりしましたよ。

みんな既存モンスターと対峙し、歴代らしい威圧感で登場する(ムービーで)ので、余計に興奮しました。

けどまだジンオウガ君と出会ってない……。

今のところ僕は、ベリオロス、ナルガクルガ、ディノバルド、ティガレックス、ブラキディオスにしか出会っていないので。

あ、みんなワールドバージョンのBGMになってますが、普通にテンションあがりますよ。

グラフィックやモーションも、それぞれの個性が更に際立っていますしね。

因みに僕的には、ナルガが一番手ごわかったです。

速すぎてカメラが追いつかなかった……(ボタン押してモンスターに向くタイプです)。

難しかった順で言えば……。

ナルガ、ブラキ、ベリオ(最後の所で一回乙って、そこで初めてミツムシの新技がどういうものか分かった)、ティガ、ディノ、ですね。

そうそう、ミツムシの新技。

ど根性。

あれ、ハンターの体力がゼロになると、オトモが助けてくれるんですよ。

ミツムシを使って。

ミツムシはまぁ、回復系の道具なんですが、蜜でハンターを包み込んで、ゼロからある程度まで回復させる技なんです。

簡単に言えば……死ぬ寸前の蘇生?

あんまり死なないので分からないんですけど、多分一回だけだと思います。

でないとゲーム性がないからね。

まぁ、ベリオでやられて、「あ、やられた。」って思って気ぃ抜いたら、「死なせないにゃ!」って言いながらミツムシと共にやってきて、なんかよー分からん、緑色のスライムみたいなのに包まれて、体力がぬいーんとちょっとだけ回復して、「ふぁ?! ど根性ってこれか!!」って驚いて、慌てて起き上がって回復薬飲みながら立て直しましたよ。

本当にビックリした。

ど根性……そうだな、ど根性だよ……。

なんというか、マスター級だからこその技ですよね。

言うほど死ぬ事がない僕でも、最期の気力で暴れ出したベリオにやられたし。実質。

ミツムシ使う人急増しそうだなぁと、少し思いました。

とまぁ、言い出すとキリがないぐらいにボリュームたっぷりなアイスボーン。

復活モンスターも強化されて戻ってきて、興奮できる場面も多く、様々な遊び方や狩猟スタイルが出来るので、ワールドを持っている方も持っていない方も是非。

コンビニにもカードが売ってありますし、ワールドとアイスボーンがセットになったパッケージも出されてます。

マジで楽しいです。

はい。

楽しいぃいい!!!!!
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女子校の女王様(笑)

2019-09-16 09:10:54 | 小説
私がいるクラスには、自称小悪魔な女がいる。
取り巻きがいつもいて、人を弄ぶのが大好きな奴だ。
「ねぇー、コイツバカすぎねぇ?」
ああほら、また始まった。
Twitterでいい餌を見つけると、取り巻き達に話しかける体で、大声で様々なことをまくし立てる。
煩いし気分悪いし、正直耳栓したい。
バカ、クズ、カス、雑魚、童貞。
彼女がよく使う暴言達だ。
何かあればバカと言い。
何かあればクズと言い。
何かあれば雑魚と言う。
そして男が相手だと、気に入らないという理由だけで、童貞呼ばわり。
然もキレたり興奮したりすると、クズカス雑魚のオンパレード。
大声でわめき散らすから、被害者じゃなくても気分が悪くなってくる。
別に言いたいこと言うとか、やりたいことやるとか、基本自由だし、私達がとやかく言う筋合いなんてないけど……。
アンタ一人の世界じゃないんだよって、強く言いたくなる。
なんでああいう奴らって理解しようともしないのかな。
本当、傍迷惑。
なんて言ってたら、影の薄い私に、そいつの眼が動いた。
「神谷さーん。」
放課後、帰る準備をしていたら、後ろから声をかけられた。
軽い、苛つく声音に、私は振り返らず、そのまま手を動かし続けた。
「……は? 無視? ウケる。」
けたけたと馬鹿っぽい笑い声に、最後に鞄をしめ、肩にかけながら、扉の方へ。
するとピタリと笑い声がとまり。
「お前女好きなんだろ。」
低く突き刺すような声音で、言ってきた。
思わず、足がとまってしまう。
「じゃあさ、女なのに女の身体に興奮とかするわけ?」
嘲笑混じりの台詞に、私は胸中で溜息を吐いた。
誰だよ、私が生粋のレズビアンだって垂れ流したの。
アイツか?
「……相変わらず面白くねぇ奴だな。」
いいよもう、私も帰んなきゃいけないし。
その言葉に、私の足は再度動き出した。
無言で扉を開け、廊下に踏み出した時に聞こえてきた、露骨な舌打ちには、流石に眉間に皺がよった。
けど面倒くさいし、私はその日そのまま、早足で家に帰った。
彼女は炎上を好む最悪な人間。
自称小悪魔であり、自称魔女でもある。
嫌われるのを覚悟で、簡単に人を傷つけているらしい。
その自己中心的な思考回路が、全く理解出来ない。
いや、私だって炎上ネタは好きだし、そういうのを取り上げる動画配信者とか、フォローしてる。
でも彼女とは根本的に何もかもが違う。
その動画配信者は、病気やマイノリティ、障害などを否定しないし、弄りもしない。
何というか、ダークヒーローのような人だ。
対して彼女はただの害悪。
気に入らなければ、面白ければ、障害者だろうとマイノリティだろうと攻撃し、相手が止めてと言っても弄り続ける。
差別も平気でするし、偏見だらけで何も考えやしない。
寧ろ倒される側の人間だ、と思っても、彼女はそうなりたいが為にやっている。
悪役を常日頃から演じたいが為に、やっている。
傍迷惑だ。
憧れは妄想の中だけに止めてくれ、と思いつつ、いつも通りに学校へ。
特に何も変化はないが、私は気配を感じ取り、振り返った。
教室の後ろの真ん中。
そこで、例の彼女がくすくすと笑いながら、私を見ていた。
見下すその目つきに、溜息を吐き、自分の机に向き直った。
鞄から教科書の類を引っ張り出し、なかに入れる。
はずだった。
何かにぶつかり、更に中で机に当たる音が鼓膜を揺らした。
何だろう、何か入れてたっけ。
そう思いながら、机の上に置き、覗き込んだ。
ら。
「は……?」
一冊の雑誌。
然も僅かに見える中身や表紙は、成人用の雑誌……所謂エロ本と全く同じ。
姿勢を正し、何事もないように、すっとそれを掴む。
そして、僅かに顔を覗かせた。
女性の裸体。
エロ用語。
それら興奮を煽る表紙が少し見えただけで、思春期の私は胸中で反応してしまった。
慌てて机の中に戻し、一つ大きく溜息を吐いた。
刹那。
「ねー、あの人今ぁ、机の中からエロ本出したんだけどー。有り得なくなぁい?」
あの嫌な声が、大声で鳴り響いた。
ばっと勢いよく振り返ると、彼女と取り巻き達は、くすくすと嫌らしく笑っていた。
そして他の女子達の視線が、私に来る。
男子がいないだけ、マシ何だろうか。
いや、寧ろこういう時は男子がいた方が……良かったんじゃないか。
その日の朝、先生が来るまで、私は何度も怒鳴り、何度も彼女を指差した。
幻滅しただの、女子なのになんでだの、そんな言葉に頭を抱えながら、彼女が犯人だと声を荒げた。
けど、ソイツはのらりくらりとかわし、得意気な顔で、私を見下していた。



その日から、私の居場所はなくなった。
先生に何度言っても聞いてくれず、謎に説教されて、謎に同情されて終わった。
そして一夜にして、私がレズビアンだと言う事がみんなに広まり、更に避けられる結果となった。
コイツらはみんな馬鹿で低脳だ。
偏見ばっかのゴミクズ。
そんな罵詈雑言を、ずーっと胸中で吐き捨てていたら、トイレの中で、嫌な会話を聞いてしまった。
「ねね、あの彼氏とはどうなの?」
「え? 別れた。」
「はぁ? あんなにイケメンだったのに? メチャクチャ愛されてたじゃん、アンタ。」
「いやだって、気持ち悪かったんだもん。勘違いしちゃってさ、ちょっと好きだって言ったら、彼氏面しだしてさ。」
「彼氏面? じゃあなに、付き合ってなかったってこと?」
「うん。」
「は? まじ?」
「まじ。なんかさぁ、調子乗っちゃってさぁ。私、恋愛とか性欲とかよく分かんないからさぁ、余計気持ち悪かったー。」
「アッハハ! 言えてるー。ちょっとやばかったよねー。」
「でしょ? ほんっと最悪だったぁ。」
いや、テメェも彼氏にデレデレだっただろうが……。
それが、私の第一の感想だった。
悲劇のヒロインを気取っているつもりなのだろう。
その彼氏と友達である私は、全て知っている。
悪くもないのに土下座までした彼の様子は、大分鬱々としたものだった。
なのにこの女は、と思っていたら、当の本人は既におらず、残った女子生徒が、「なにアイツ。隼人の身にもなれよ。」と舌打ちをかましていた。
本当、女って面倒くさい。
どこで何を言ってるのか、全然分からないし、案の定アイツは悲劇のヒロイン様を抱き込んで、彼のTwitterに油と火を投下していた。
ハッキリしてないし、裏で繋がってるし、簡単に偽るし。
凄くもどかしい。
みんなズバズバやればいいのに。
勿論モラルとマナーは守って。
ちょっと怪しかった女子生徒にも、堪えきれなくなった私は、「貴方のこと、信用してませんから。何がしたいのか知らないけど。」と、軽く突き放した。
そしたらぱったり、私の所には来なくなった。
露骨で嫌らしい。
本当、気分が悪い。
なんて思って、心地よくない学校に通い続けた。
みんなからは避けられ、彼女からは弄られ、今まで無口を貫き続けていた私も、とうとう怒鳴り散らすようになっていった。
そんな私を見て、ソイツは嗤う。
そう、嗤うだけ。
何も考えない、何も変えようとしない。
苛立つ態度に、私のストレスは溜まっていった。
無論、ヘイトも重なっていく。
「神谷さんは、小川のことどう思ってるの?」
「ただの害悪だと思ってる。何か若干ズレてるし、ヒステリックになりやすいし、関わってもろくな事にはならないよ。アイツよく、お前障害者かよって言うけど、アイツも人のこといえないよね。」
なんて、人通りの少ない踊り場で、一人の女子生徒を相手に口を滑らせた。
そう、滑らせたんだ。
翌日、ダルそうに教室に入ると、彼女が早足でやってき、何だと思う間に胸ぐらを掴んできた。
その怒り狂った面持ちに、面食らう。
「何が害悪だよこのクズ! 頭おかしいのはテメェだろうがよ!」
耳を劈く怒鳴り声、その内容に、私は踊り場にいた女を、瞬時に睨みつけた。
だがふっと眼を逸らされ、胸中で舌打ちをかます。
その私の態度が気にくわなかったのか、彼女……小川は、更にまくし立ててきた。
キレたり興奮したりすると、誰も手をつけられなくなる。
冷静な判断も出来ず、あくまでも自分が上である事だけは忘れず、見下しながら喚いてくる。
ヒステリックなオバサンと何も変わんねーな、と思いつつ、逆に怒りも湧いてこない私は、「取り敢えず落ち着いて。」と彼女を宥めた。
だが一向に落ち着く様子はなく、結局その日も、先生が来るまで喧しかった。
面倒くささは、限度を超えるとストレスになる。
思ったよりも長引いた喧嘩に、思ったよりもダメージを受けていたらしい。
食欲もなく、吐き気もしだし、気弱な母親に妙な心配をかけてしまった。
それにしても、なんで悪役を演じているのに、いざ自分が悪く言われたら、ヒステリックに喚き散らすのだろう。
嫌われて当然なのに。
彼女はそのことを承知の上で、悪く言われるような事をしてきたんじゃないのか?
私も私だが、あの女も自業自得だ。
結局痛々しいヒステリックなババアだった、という話。
まぁ、この程度じゃ懲りないだろう。
何せあんなに、得意気に悪役を気取っていたのだから。
なんて私の思いは、容易く打ち砕かれた。
小川は、この程度の事でダメージを負ったらしく、暫く大人しくすると言ったらしい。
翌日は体調不良が続いてしまい、学校は休んだが、グループラインでその話が舞い込んできた。
勿論、小川がグループにいない事をいい事に、あれこれと嘲笑っていたが。
まぁ、所詮はその程度だった、という事だろうか。
いざ自分が攻撃されたら、暴言を吐き散らしてヒステリックに喚く。
色々と残念な人間だし、女の嫌な部分がバッチリと見えてしまった気がして、私はベッドに横たわりながら、大きく溜息を吐いた。
やっぱり愛すべきなのは、こんなクズばっかの同級生達じゃなくて、良識のある後輩達だな。
なんて思いながら、Twitterを見ていたら。
例の彼氏を傷つけた女が、今更しつこく、彼を攻撃していた。
あーあ、こりゃもう完全に、自分が被害者だと思ってるパターンだわ、と思いつつ、疲れ果てた私は、そのまま眠りについた。



あとがき

今まで出会った人たち、体験談、よくある話、僕が出会ったことのある不良女子など、様々なことを使い、疑似体験し、それを文字に書き起こせれないか、という実験のようなものです。

なので本当は何も分かっていませんし、それ故に主人公が大分サバサバとした性格になっています。

誰かを攻撃したい訳でも、貶めたい訳でもありません。

コメント

3楽園

2019-09-12 18:59:58 | 小説
楽園の山猿達は、とにかく器用だった。
嘗ての人類が残したとされる料理器具を作ったり、そこから更に、様々なものを作り出したり。
お陰で、楽園の動物達は、毎日豪華な食事にありつけた。
調達係や狩猟係など、意外と細かく分けられているため、食糧不足になることもなく、今日の昼食も、みなで楽しく平らげた。
あと、巨大樹の側で軽く眠っていたシンに、一匹の山猫がやってきた。
先程のハルだ。
少し華奢で可愛らしい顔立ちの彼女は、起こさないように、狼の側に腰をおろした。
だが、眼を瞑ったまま。
「きちんと食べれたか?」
と訊かれ、ぴくりと耳が反応した。
然しそのまま寝っ転がり。
「うん、おいしかったぁ。」
くねくねと身体を動かした。
暖かな日差しと、気持ちのいい草原。
ずっと雪原で暮らしていたシンにとって、とても居心地のいい場所だ。
「……ねぇ、シンお兄ちゃんって、アヤメお姉ちゃんのこと、好きなの?」
などと微睡んでいたが、ハルからの予想外な質問に、ぴくりと顔をあげ、眼を見開きながら、あからさまに慌てだした。
「べ、別に好きでも何でもねぇし、ただ、なんか、落ち着くっていうか、一緒にいたいっていうか……。」
そんなシンの様子に、にやりと笑みを見せ。
「好きなんだ、アヤメお姉ちゃんの事が。」
強面に顔を近づけた。
その事に対してもどきまぎしながら、ふっと顔を逸らし、「ちげぇから……。」と呟いた。
普段大胆なくせにと、にやにやしながら顔を離し、そのまま伏せた。
猫の手と狼の手は近く、すぐに触れられる位置にあった。
「……お兄ちゃん、カッコいいもんね。」
小さく呟かれたそれに、左目で彼女に視線をやる。
だが返される事はなく、手を見つめたまま。
「本当、来てくれてありがとうね。って言っても……来たくて来た訳じゃないもんね……。」
沈んだ声音に、狼の手が動いた。
左の前脚が、彼女の揃えた手に重なり、ややあって、首筋を舐められた。
ふっと眼を丸くしてそちらを見ると、柔和に微笑んだ狼がおり、「寧ろ良かったよ。色々と辛かったけど、仕方のないことだしさ。」慰めるように、肯いた。
その姿に、ハルも笑顔を取り戻し、矢庭に立ち上がると、今度は彼女が彼の首筋を舐めた。
毛繕いに関しては、猫の方が得意だ。
その優しさと心地よさに、また顔をさげると、静かに眼を瞑った。

@@@

鹿のマナは、母親からはぐれた所を、狼であるアヤメに助けられた。
本来は食う食われるの立場だが、アヤメは自分の生い立ちに彼女を重ね合わせた。
故に、食われる側のマナでも、捕食者が多い楽園では、気ままに駆け回る事ができた。
それはシンが来てからも保証される、というより、更により、保証される事となった。
楽園の動物に紛れ込んだ、狡猾な狼の一匹が、彼女をターゲットにした。
だが、殆どの弟妹達を記憶していたシンによって、月明かりのなか、暴かれることとなり。
激しい口論の末、その狼は尻尾を巻いて逃げていった。
その口論のなか、「弱者達の溜まり場」「全員生きるに値しない」「傷の舐め合いだ」などと吐き捨てていたことに、大きく溜息を吐いたあと、シンは大きく吠えた。
「いざ自分が同じ事になったらわんわん泣いて助けを求めるような輩だ! 気にせず、俺達は俺達の道を歩もう! 大丈夫だ! ここには俺がいる!」
遠吠えのような鼓舞に、沈みきっていた動物達は笑顔を取り戻し、その夜は祭りのような、宴のような賑やかさが楽園を包み込んだ。
そして翌日、マナはお礼を言いに、彼のもとへ。
「にぃに。」
狼に鹿が近づく、その光景だけを見れば、危険窮まりないもの。
然し、シンの面持ちは優しく、「ん?」と小首を傾げた。
「昨日の……ありがとーね。凄くカッコ良かった!」
そう言いながら、ぴょこぴょこと跳ねるマナ。
愛くるしいその姿に、狼は破顔した。
「可愛い妹のためなんだ。何度だって助けてやる。」
頼もしい台詞に、マナは脚を止めると、少し俯いた。
その頬は、微かに赤く。
だが気づいているのかいないのか、シンは彼女に近づくと、軽く、頬を合わせた。
火照った頬に、大きな頬が重なる。
ふっと眼を丸くするマナに、そのまま声帯を震わせた。
「お前も、アイツらも、全員俺が守ってやる。たまにアヤメにお叱りを受けるような馬鹿だが……それでも、な。」
落ち着いた声音は、垂れた耳に直接響き、マナは危うく、膝から崩れ落ちるところだった。
だが何とか踏ん張り、悟られないように、笑みを見せた。
「ありがとう……。」
大好き、などとは言えず、ゆっくりと離れ、互いに微笑みあうと、爆発する寸前で、マナは軽々と去っていった。
その後ろ姿を見つめるシンは、自覚があるのかないのか、一つ欠伸をもらすと、頼まれていた小枝を取りに、徐に歩き出した。
コメント

5の1 ネコやねんラジオ 僕的にはー……

2019-09-12 11:45:21 | 呟き
5の1 ネコやねんラジオ 僕的にはー……


コラボラジオですー。

何気に初ですね。

質問して答えるっていうパターンは。

かと言って僕の方は何も無いという……はい。

コメント (1)

チョきのラジオー

2019-09-11 19:08:27 | 呟き
見ないとハンマー攻めの餌食にします


これ、名前弄ってるけど……いつかレパートリーなくなって元に戻りそうだな。

というわけで、リクエストは「クラスの空気に慣れず、体調不良になりやすいけどどうしたらいい?」って感じですかな。

まぁ、僕の場合は小学校+先生方が積極的だから、参考にならない部分もあるだろうけど、不登校や義務教育、またひきこもり云々についても語ろうかなと思います。多分。しらね。

あと僕の回答が役立っているようで。

嬉しいです。

次のラジオはいつだろうな……。

やりたかったゲームやり始めたからな……。

たのしい、ゲームたのしい。

たのしいよおおお!!!!
コメント (2)

2楽園

2019-09-11 15:56:34 | 小説
シンの傷は、すぐに治った。
だが右目は潰れたままで、縦に残った傷痕が痛々しい。
もっと治せる方法があればと、彼ら彼女らは唸っていたが、別に支障はないと微笑んでやると、最終的には笑顔を取り戻してくれた。
みな元気で、然しどこか、強い生命力を感じる。
シンは、彼らと一緒に生きていくことに決め、遠い仲間達に、時々想いを馳せ、何となくその事を告げた。
許してくれるのか、それはいつまで経っても謎のままだが、気にしていては生き残っていけない。
どうやらこの楽園では、アヤメが一番年上だったらしい。
だが更に上のシンが加わった事で、自然と呼び名が変わっていった。
「シンにぃ!」
焚き火用の木を運んでいると、少年らしい声が彼を引き止めた。
駆けて来るのは、山犬のラン。
手先が起用な山猿が作ったロープを口から離し、小首を傾げてみせた。
「どうした?」
すると、ランはふさふさと尻尾を振りながら、背中を見せてきた。
そちらに視線をやる。
と、彼の左目が驚きに染まり、ややあって笑顔を見せた。
「お前、これ。」
嬉しそうなシンに、ランも笑みを見せて肯いた。
「うんっ、アヤメモドキ。意外と近くにあったんだぁ。」
ぴょんぴょん跳ねたい気持ちを抑え込んでいるのか、前脚で足踏みし、早く早くと彼を促した。
アヤメモドキ。
アヤメの花や色が中に取り込まれた、謎の透明な石の事。
他にも、桜やタンポポが入った石もあり、それらは全て、花の名前のあとに、モドキが付けられている。
形のいい、綺麗な石を選んできてくれたようで、シンは軽く咥えると、ふごふごとお礼の言葉を言い残し、走り去っていった。
ランはやっとこさぴょんぴょん跳ね、ややあって、彼が残していった荷物に気がついた。
焚き火用の枝がこんもりと乗せられた、山猿特製のソリ。
折角だし、持って行こうかと、ロープを咥え、歩き出した。
が。
「ふごっ?!」
全く前に進む気配はなく、若干仰け反りながら、ぴくぴくと右前脚を出す。
だがそのまま固まってしまい、丸太を運んでいた小熊に気づかれるまで、静かに奮闘していた。
一方、シンは、巨大な木のなかに入り、器用に作られた螺旋階段を、駆けあがっていった。
楽園にある巨大な木のなかは空洞で、建築や工作、料理など、人間と同じように様々な事が出来る山猿達によって、上手い具合に加工されている。
壁側には螺旋階段。
中心には、それぞれの部屋があり、一番下は、ロビーのような、集会所のような作りになっている。
その最上階付近にある部屋に、彼女はいた。
木の扉を、左足で軽く押し、ゆっくりと中へ。
床に伏せながら、大分古い本を読む彼女、アヤメに、シンはそっと石を床に転がした。
ころころと小気味よい音を起て、こつんと、伏せた左前脚に当たった。
ふっと、紅く綺麗な眼が、そちらに行き。
「これって……アヤメモドキ?」
ややあって、彼を見上げた。
少し眠たげな面持ちにどぎまぎしながら、こくこくと肯いた。
「前に欲しいって言ってたからさ、探してたんだよ。けど結局見つからなくて断念してたら、さっきランが、見つけてくれて……。」
自分の取り柄にせず、素直に告げる隻眼の狼に、アヤメはふっと微笑みを見せ、徐に立ち上がると、石を軽く咥えた。
そして、窓際にある、水の入ったガラス瓶に、巧くそれを入れた。
ぽちゃん。
陽光を反射するアヤメモドキは、水のなかでは浮遊する。
その綺麗な姿に、彼女もシンも、言葉を失った。
だが、ややあって。
「ありがとうございます。ラン君にも、伝えておいてください。」
朗らかな笑みを浮かべながら、振り返った。

@@@

シンにぃ、シンお兄ちゃん、兄さん、にぃに……。
いつしか彼は、彼ら彼女らの兄として、支えて行くことになった。
そして、そんなシンを献身的にサポートするアヤメも、姉のような存在になり、日々を重ねていくうちに、立派な家族になってしまった。
だが、今までリーダーやボスがいなかった楽園にとって、二匹の存在は大きく、更に幸せな日々を送っていた。
「にいさーん。」
そんなある日、真っ白な狐、シランが、とたとたとシンのもとへやってきた。
彼の前で立ち止まると、少し困った面持ちで。
「ちょっと、困ってることがあるの……。」
上目遣いに促した。
狼であり、更に知識もあるシンは、よく頼られる存在だ。
無論、アヤメも頼られる程の力量を持っているが、自然と彼に頼み事をする風潮になっている。
それが面倒くさい、という訳ではなく、寧ろ喜んで引き受けるため、少年少女達も頼みやすいのだろう。
そして何より、本当に無理な時や嫌な時、内容的に可笑しな時は、シッカリと、やんわりとだがかぶりを振ってくれる。
だから気兼ねなく、節度を持って、様々な頼み事を彼にお願いする。
どうやらシランの困り事と言うのは、少し厄介なものらしい。
楽園の東側、砂漠と繋がるその境界線で、山猫のハルと、鹿のマナが、変な輩に絡まれている、と。
シランだけ抜け出せたのだが、相手は草食獣とは言えオス。
彼女らでは何も出来ない、となり、慌ててシンのもとにやってきたのだとか。
そして、そのオス達というのは。
「なぁ、いいだろー? 一緒に木の実でも食べようぜー。」
「おうおう、絶対楽しいってー。」
謎にチャラいリスだった。
そんな彼らに気圧される山猫と鹿を見つめながら、シンは隣にいるシランに、視線をやらずに問いかけた。
「なぁ、マジで何も出来ないのか?」
彼の反応は尤もだ、という風に、狐は溜息を吐いた。
「意外と手強くて……。ごめんなさい、私がいながら。」
捕食者である自分の不甲斐なさに、彼女はそう呟く。
だが、前脚を軽く叩かれ、えっと顔をあげると、既に狼の背があった。
落ち着いた様子で近づいてゆくその姿に、シランはただ無言で見つめ続けた。
「どーも?」
低く、少し大きく、彼はリス達に話しかけた。
ハルとマナは、頼れる兄貴の登場に安堵の表情を見せ、一歩二歩と下がった。
無論、隻眼の狼に話しかけられた小動物達は、急にどきまぎしはじめ。
「な、なんですかい? もしや、アンタの……。」
リーダーらしき一匹が、そう言いかけた。
だが、シンの笑い声がそれを制し、ややあって、彼らに向き直ると。
「楽園の子らに手は出さんでくれますかねぇ。最近、肉の在庫が乏しいもんで。」
威圧感を含んだ声音で、言った。
肉の在庫が乏しい、その言葉に、自分達が食われると悟ったリス達は、「す、すんませんでしたー!」と、騒がしく去っていった。
その後ろ姿に軽く溜息を吐き、ハルとマナに向き直ると、柔らかな笑みを見せた。
「帰ろう。そろそろ飯の時間だ。またアヤメにどやされる。」
コメント

男に基本厳しいのって

2019-09-10 19:46:08 | 呟き
おかしい事なんでしょうか?

男はすぐに争いに持っていくとか、同性とはよく喧嘩するとか、なんか常に張り合ってるーって感じのことを聞いたんですけど……。

僕が基本男に厳しかったり、敵対心持ってたり、なんかどことなく大事にしてない感じがするのって……差別とかそういうのじゃないですよね?

身体が女なので、その辺りが分からないというか、少し不安なんですよ。

だからちょっと、ブログに舞い戻ってきました。

男には少し厳しく、女子供には優しいっていう心持ちのままでいいんでしょうか。

何か錯覚してる訳でもなく、どう考えてもそうなってるんですよ。僕のなかで。

だから否定されても、結局は変えられないんですが……まぁでも、少し気になってしまって。

すみません、突き放してる感じで。

不愉快にさせてしまっているようでしたら、謝ります。
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