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『カーネーション』総集編と戦争に反対した人々・蟹工船の小林多喜二も

2012-05-02 | 動画 ・ 文化芸能
 しんぶん赤旗2012・1・11(水)  テレビ・ラジオ欄(レーダー)より

  
 戦争と時代見つめる確かな仕掛け

 NHKの朝の連続テレビ小説「カーネーション」を見ていて、オッと思ったことがありました。

 昨年12月に放送された第12週。すでに太平洋戦争が始まり、糸子(尾野真千子)の夫・勝(駿河太郎)も兵隊に取られ、統制も強まってきた頃です。

 青年が官憲に追われるシーンがさしはさまれました。

 街の人の「アカや」という声。その声に反応した子どもが「アカって何?」

 糸子の答えは「赤に白混ぜたら何になる」でした。子どもが「もも色」と答えます。「もっと混ぜたら」「さくら色」。

 禅問答のようですが、「アカ」と呼ばれる人たちは特別な人ではないという意味と、とれました。

 短い場面でしたが、戦争でがんじがらめにされた国民の姿をより鮮明にしたのです。

 ヨーロッパでは戦争に反対する人々を描いたドラマはたくさんあります。しかし日本では、戦争の悲惨を描くことはあっても、戦争に反対した人々を描くことはまずありません。 それだけに光ったシーンでした。

 脚本は、原田芳雄・尾野真千子主演の「火の魚」で高い評価を受けた渡辺あや。1人の女性の成功物語を描きながら、戦争と時代を見つめる確かな仕掛けを潜ませています。
 
 幼馴染勘助(尾上寛之)の存在もその一つ。1937年、勘助が召集されます。戦時色は強まっていますが、庶民はごく普通の生活を送っています。糸子も、事業の拡大に懸命です。しかし翌年、戦場から帰ってきた勘助は別人のようになっていました。いまでいうPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。

 渡辺は勘助がどんな戦場体験をしてきたかは触れません。しかし勘助のおびえた、絶望的な姿を描くことで、当時の中国戦線で何があったのかを想像させ、この時代を深い位置からとらえさせるのです。

 勝、勘助、泰蔵兄ちゃん(須賀貴匡)は戦死し、戦後編が始まりました。渡辺は、3人の気持ちや、声を一切伝えることはありませんでした。何も描かないことが、死んでいった男たちの無念の大きさを語ります。ドラマの底に戦争の非合理が沈んでいるのです。

 戦後の復興。エネルギッシュな糸子、岸和田弁のたんかは変わりません。庶民の熱気があふれています。ひたすら前に進む糸子の生き様が心地よいのは、陰の部分もしっかり見つめた脚本の力にありそうです。 (荻)


 1・12(木)の潮流より↓

 (カーネーション)の主人公の魅力にも触れましょう。古い考え方やしきたりに囚われず、たんかを切って先を切り開こうと挑む彼女。潔く生きる姿に、「夢はみるものでなく、かなえるもの」という言葉を思い起こします。

 彼女は、カーネーションが好きです。枯れにくく、枯れてもまだしっかり立っている花だから、と。
 カーネーションは、江戸時代にオランダから日本に伝わってきました。

 カーネーションは、ナデシコ科ナデシコ属の花です。にほんでは、オランダナデシコとも呼ばれます。

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の沢穂希選手が、国際サッカー連盟の2011年女子世界最優秀選手に選ばれました。代表チームに入り18年。初のワールドカップ優勝をなしとげました。「夢は見るものではなく、かなえるもの」は、沢選手の信条です。

 表彰式で、男子最優秀選手のメッシ選手と並んで記念撮影におさまる姿がすがすがしい。「なでしこジャパン」も、「カーネーション」の主人公も、軍国日本がもてはやした、男性におとなしく従い、尽くす、「大和撫子」の像からほど遠い。

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 『カーネーション』の総集編をゴールデンウィークの憲法記念日に放送するそうです。
 関西地域で特に人気が高かったのか?、4月26日(木)関西限定で特番もあったようです。


 『カーネーション』前編 【NHK総合】5月3日(木・祝)AM8:20~9:48

          後編 【NHK総合】5月4日(金・祝)AM8:20~9:48

 *都合により放送時間が変更となる場合があります。ご了承下さい。(公式HPより)


 
 ついでに、戦前の激しい弾圧の中で節を曲げず命を落とした「アカ」の方々の一部、お名前を載せておきます(いつぞやの赤旗に載ってた分)。

 まず、そろって24歳の若さで亡くなった女性たち。

 伊藤千代子、高島満兎、田中サガヨ、飯島喜美 の4人。

 渡辺政之輔、川合義虎、市川正一、小林多喜二、野呂栄太郎、岩田義道、上田茂樹、国領五一郎など、
多くの活動家が弾圧で命を奪われた。


 この中の小林多喜二は、著書『蟹工船』が貧困と格差が広がる中、日本でも一大ブームとなりましたが、韓国、イタリア、フランス、スペインなどでも翻訳され、多数の読者を得ているそうです。

 スペインでは『蟹工船』が翻訳・刊行されて、1万人以上の読者を獲得、それをふまえて、多喜二の第2作の紹介として、昨年1月『党生活者』の翻訳・刊行になったとのこと(スペイン訳の書名は『同志』(エル・カマラダ))。

【 戦前の先達たちが苦闘の中から生み出した芸術作品が、時を超えて21世紀に、日本だけでなく世界各国に広がり、貧困や格差とたたかう人々を励ましているのは、本当にうれしいことです。】←志位委員長談。

 

  

映画『オレンジと太陽』予告編 イギリス・児童移民(連行)の実話 英ジム・ローチ監督

2012-05-02 | 動画 ・ 文化芸能
映画『オレンジと太陽』予告編


良い映画なんでしょう。映画自体は観てみたいと思いました。ただ、この宣伝動画を観て、なんというか「感動」なの!?と思い、少し観る気が失せた感じはしました。

 
 なんという映画だろうか。ヨーロッパ映画はまた一本の名作を生んだ。ジム・ローチ監督の初監督作品「オレンジと太陽」である。

 イギリス政府は19世紀からごく最近の1970年まで、驚くべき数の施設の子供たちをオーストラリアなどへ【移民】していた。親にも知らせず、強制的に・・・。

 映画「オレンジと太陽」は、このイギリス最大の国家的スキャンダル【児童移民】の真実を明らかにした実在の女性、マーガレット・ハンフリーズの物語である。

 マーガレット・ハンフリーズ(エミリー・ワトソン)は、イギリスのノッティンガムでソーシャルワーカーとして働いていた。
ある日マーガレットは、見知らぬ女性に「私が誰なのか知りたい。幼い頃に、たくさんの子供たちと一緒に船でオーストラリアに送られたのよ」と訴えられた。自分が誰なのか、母親がどこにいるのかも判らない、と言う。

 子供だけがオーストラリアに送られたなどという話を信じられなかったマーガレットだが、ある集まりでも同じように「弟がオーストラリアに連れて行かれた」という話を聞く。

 調査を始めたマーガレットは、やがて強制的にオーストラリアに送られた子供たちがいることを知った。そして、その児童移民がイギリス政府によって行われていたことも。

 マーガレットはオーストラリアに渡り、オーストラリアで子供たちを【保護】してきた慈善団体の集会に参加する。そこで大勢の人たちから家族を捜して、と頼まれた。

 親は死んだと騙されて船に乗せられ、【太陽が輝く美しい国で毎朝オレンジをもいで食べるんだ】と言われて連れて行かれた子供たちを待っていたのは、過酷な労働と虐待、性的暴行だったのだ。しかもその虐待には、慈善団体や教会までもが関わっていた。

 彼女の調査はしだいに大きな運動となっていったが、彼女への誹謗や脅迫行為も日増しに強まり、目隠しされた【市民】、歪められた【善意】が彼女を痛めつける―。


 この胸の張り裂けそうな実話を、ジム・ローチ監督は声高に告発するのではなく、Who am Ⅰ?(私は誰?)の問いかけに向かい合い、節度をもった静かな語り口で描いて見せる。

初監督とは思えない、熟練の技だ。ジム・ローチ監督は、イギリス映画の名匠ケン・ローチ監督の息子だというが、監督一作目にして父に並んだ。

 マーガレット・ハンフリーズを演ずるのは、1996年「奇跡の海」で女優賞を総なめにし、最新作「戦火の馬」でも話題の演技派女優エミリー・ワトソンだ。脅迫や中傷に傷つきながらも信念を貫いたマーガレットという女性を見事に演じきった。

 児童移民の一人であるレン(デイヴィッド・ウェナム)とマーガレットの関係も深く、刺激的で、観る者をドラマ世界に強く引き込む。

 恥知らずで忌まわしい児童移民の国家事業は、1970年まで続いていた。児童移民の数は、なんと13万人を越えるという。

 この映画の撮影中だった2009年11月16日、オーストラリアのケヴィン・ラッド首相は【忘れ去られた子供たち】に正式に謝罪し、2010年2月24日にはイギリス首相が児童移民の事実を認めて正式に謝罪したが、オーストラリアがイギリスからの児童移民を促進した背景には、
太平洋戦争中、日本軍がオーストラリア各地を攻撃したことによって、アジアからの防護が叫ばれたことがあったのだという。
この事件は、我々日本人にとって無関係ではなかったのだ。

 私は本誌に映画紹介を書くにあたって、昨年から何本ものヨーロッパ映画を見てきた。本誌に映画紹介を書いた作品だけでも「木漏れ日の家で」「やがて来る者へ」「少年と自転車」、そして「オレンジと太陽」。
こうしたハードな社会的テーマをもった名作が次々に作り出されるヨーロッパ映画界の底の深さに、私は驚嘆するばかりである。

 「オレンジと太陽」は、すでに4月14日から東京・岩波ホールでロードショー公開されており、順次全国で公開される予定だ。しかし公開が予定されている劇場の数は少ない。

 この映画がまず東京でヒットし、全国各地の映画館で上映され、多くの映画ファンにこの映画を見る機会が与えられることを、私は切に願う。

【学習の友 5月号】(たかはし・くにお/映演労連フリーユニオン委員長)。
オレンジと太陽
http://oranges-movie.com/