東京都森林警備隊

至高の四駆「ゲレンデバーゲン」とメルセデスをこよなく愛する友人達の出撃基地

S・O・S(補遺・前編)

2008-03-31 23:59:35 | 森林航空隊
  国土交通省の外郭団体が、確率論的に「タイタニック」遭難を分析した研究を拝見したことがありますが、導き出された発生確率はなんと2%弱。概ね50航海(25往復)に1回の割合で遭難する、という高率でした。

 現代の航空機の事故発生率は、高目に見積って250000回に1回程度。毎日欠かさず搭乗しても700年に1回事故に遭遇するかどうか、という低率です。

 如何に現代の交通機関が安全かが解る比較です。



 「タイタニック」の遭難については、遠因として、

○当時の鉄鋼は、現在の品質で言えば「鋳鉄」に近く、脆く壊れやすいばかりか低温下では更に脆弱となる傾向があった。

○鋼板を溶接ではなくリベット留めしていたため、常に漏水対策が必要な構造だった。相手が氷と言えど、脆く硬い鉄板をリベット留めしている部分に衝撃が加わると浸水し易い。

○出航直後から石炭庫で火災が続いていた。本来は散水するなどして自然発火する危険性を削いでから補給するものを、スケジュールが押し詰まっていたため生のままの石炭を積み込み、案の定発火させてしまった。この影響で船体が鈍っていた可能性を否定できない。


 等々が指摘されています。
 「タイタニック」にまつわる「歴史の闇」としては、

○船主「ホワイトスターライン」は経営危機に陥っており、保険金詐欺を企んだ。

○「タイタニック」と瓜二つの兄弟船「オリンピック」が、竣工以来海難事故を頻発させており、新規の船舶保険引受を拒否されたばかりか、船体そのものも事故による破損と歪みで無価値に等しくなっていた。
 そこで入渠中の「オリンピック」と建造中の「タイタニック」を密かに摩り替え、船体価値の無い「オリンピック」を新造船「タイタニック」として就航させ、氷山にぶつけて葬り去った。無価値となった事故船の処分と保険金詐取を同時に成功させた。

○先に紹介した石炭発火や、石炭火災が沈没直前まで続いた(放置された?)のも、仕組まれた事故である。

○タイタニックを沈めた船長は、オリンピックの船長も務めていた。

○傍証として乗船予定だった大口スポンサー(実質的なオーナー)は、本人はもとより友人知人など関係者に至るまで直前にキャンセル。乗船していた社長は、一目散に救命ボートで逃げ出し生存。



(続く)

ユーザー車検のススメ(後編)

2008-03-30 14:07:51 | 自動車全般
 自動車検査場の予約状況にも波動があって、「週末」「月末」「年度末」は混むことが多いようです。これはディーラーや整備業者さんの都合に拠るもので、ユーザー車検受検が激増する訳ではないのですが、窓口や検査ラインは一緒なのでユーザー車検も混雑に巻き込まれることになります。

 ですから3月後半の木金などは非常に予約が取り辛くなります。

 また不具合があった場合の修正を、その日のうちに解消し再受検するためには、午前中に取り敢えず「ダメ出し」してもらった方がいいに決まっていますね。
 当然、午前中も混みあうことにあります。


 ユーザー車検受検者としては、午前中の受検は譲れないところですが、それ以外の「週末」「月末」「年度末」は是非とも避けたいところです。

 ネット予約が完了すると、受付確認のメールが送られてきます。大切に保存し、受検に際してはプリントアウトして持参しましょう。


 実際に車検を受ける直前に、コイン洗車場などでボディーをキレイにするとともに、下回りも入念に洗浄しましょう。下回りが泥塗れのままでは「後検査」でいいとは言え、整備する気を疑われかねませんし、検査官もスムーズにチェックできません。


 車検当日、持参する書類を確認し忘れ物の無きように。

○車検証(原則車内備え付け)
○自賠責保険証券(同上・現時点で有効なもの)
○自動車税納税証明書
(銀行等で納税時に受取る紙片・納付済みであれば検査場内の自動車税事務所に設置の自動交付機で再発行も可)
○整備記録簿(書式自由)
○リサイクル券(ゲレンデには不要?<笑>、いえ全車必要です)

 その他に、自動車検査場内で必要なOCRシートなどがありますが、これらは現地調達です。

 お財布には、

○自賠責保険料(車種・重量ごとに異なる。保険料は政府の「自賠責保険特別会計」で管理され、支払い状況・運用利益如何で保険料率は見直されるため、同じクルマであっても金額は毎回異なる場合がある)
○自動車重量税(同上。0.5tきざみ)
○書類代30円(先記OCRシート等。代書を依頼する場合は代書料別途。ただし記入見本が充実しており、依頼する理由も必要性も皆無)
○検査費用1500円(普通車の場合。小型車は1400円)


 その他、不合格になった部分の修正・改修費用の実費を準備しておきましょう。
 事前に「タイヤ交換」「ブレーキ調整」など、費用・時間・手間を要する整備を済ませているのであれば、引っ掛かる項目は「ライト光軸」程度。テスターを備えた整備工場が、検査場周辺に散在しており飛び込みでも調整して貰えます。費用は、千円数百円~数千円以内です。

 中編でも述べましたが検査費用については、その日のうちであれば再受検しても追加費用はかかりません。日が変わってしまうと再度1500円必要ですが、検査内容については15日以内であれば不合格になった部分だけを診られます。



 ユーザー車検の利点は、当に「検査費用」にあります。
 自賠責・重量税などの「法定費用」は民間車検でも同じ額かかりますが、検査費用部分については、安い「代行業者」を使っても1万円前後必要です。


 検査ラインは、自動車検査場が開いていればいつでも見学できるところが殆どです。事前にシミュレーションするのもいいですが、窓口職員・検査官は概ね親切に案内・誘導してくれますから、初心者でも十分受検できます。

 セルフ整備に1日、必要であれば外注整備に1日、そして車検受検に1日、それぞれ時間を割ける方は、費用を削減できるだけでなく、日本の車検制度の仕組みを理解し、愛車に対する責任感を強めるためにも、ユーザー車検をお奨めします。







ユーザー車検のススメ(中編)

2008-03-29 22:29:07 | 自動車全般
 ユーザー車検にしても、もちろん点検は必要です。
 一般的にネット上などで公表されている「点検整備記録簿」に沿って進めていきますが、その内容の殆どは、日ごろ使用している際に気づくものばかりです。

 大概の不具合・重要部品の磨耗・交換時期は、インパネ上の警告サインで示されます。

 ブレーキの効き、足回りのガタつきなどは、制動距離の長短・乗り心地の良し悪しから判断できるでしょう。

 タイヤの磨耗・オイル漏れの有無なども、スリップサインや日頃置いている駐車場の床面をチェックすればいいだけのことです。

 灯火の玉切れは、ブレーキランプ以外は一人でもチェックできますね。ブレーキランプも、家族・知人に協力してもらうか、ミラーガラスを用いている建物の外壁等を用いてチェックすることができるでしょう。



 個人的にあまりお奨めしませんが、とりあえず検査場に行ってみて、ダメ出しされた部分だけを修正する方法もあります。

 かつては「前整備・後検査」が絶対の大原則でしたが、1995年の規制緩和で「前検査・後整備」がOKになりました。
 検査ラインを通してみて、不具合箇所が続発かつ何ら手当てしていないのが明白な場合、検査官の心証はよろしくないものと想像しますが、「後整備しますから」と言い切ってしまえば法的には何ら問題ありません。

 ただし費用・時間・手間のかかるタイヤ交換やブレーキ調整を、後整備で行うのは予想外の出費や交換・整備時間を要する可能性があり、その日のうちに車検を終わらせられないリスクを負います。
 余暇が無尽蔵にある方はともかく、効率的な受検のためにも最低限の前整備を心掛けましょう。


 点検・整備と並行して、自動車検査場に検査の予約を入れます。
 電話予約とネット予約があり、ネット予約では事前に予約状況の確認ができます。

 かつてはネット予約も自動車検査場毎のHPからアクセスして手配していましたが、現在は国土交通省が一括して予約の受付をするサイトができているようです。

 予約は「午前1ラウンド」「午前2ラウンド」「午後3ラウンド」「午後4ラウンド」の4枠となっていて、それぞれ9:00~/10:30~/13:00/14:30~です。
 一応、時間を決められてはいますが、午前をすっぽかして午後に回ったり、午後予約を入れているのに午前中に顔を出したりしない限り、若干の早出・遅刻は許容されていみたいです。

 検査場としてはある程度歩留まりを考えて予約を取っているのかもしれませんが、そうは言っても予約一杯で受検を断る日もありますので、予約を取ったらできるだけ時間通りに、最低限絶対に欠席しないよう、日程を調整しましょう。

 なお、午前中に受検して不合格。再度チェックして受検しても不合格となって、お昼を回ってしまった場合は、当然午後の検査にもチャレンジできます。
 その日の内であれば、何度受検しても追加費用はかかりません。再受検の予約も不要です。



(続く)

ユーザー車検のススメ(前編)

2008-03-28 00:34:59 | 自動車全般
 昨年12月、師走の忙しい中ゲレンデの車検を済ませてきました。拙稿「タイヤ交換」でも少し触れましたが、ユーザー車検です。


 「車検」は大きく分けて、指定工場(いわゆる民間車検場)で受検する場合と自動車検査場で受検する場合があります。
 指定工場の場合は、検査一切を工場内部で行い、国は書類審査のみ行います。
 自動車検査場の場合は、指定工場ではない業者(認証工場または認定工場。点検整備はできても検査はできない)が整備後にクルマを持ち込んでくるパターンと、ユーザー自らクルマを持ち込んでくるパターンがあります。ユーザー車検はもちろん後者です。


 民間車検を手掛ける指定工場は、検査機器一式を備え、国土交通省の審査を経て「民間車検場」として指定され、検査業務を行います。本来検査には通らない後付けパーツ類を「一旦外した」ことにして検査を通してくれたりするなど、若干融通が利く部分がありますが、「指定工場」たるためのコスト(検査機器の購入/維持費・国土交通省への申請に係る人件費など)を車検費用に上乗せしないと事業として成り立たないため、民間車検の費用は必然的に高くなります。

 また当然のこととして法定費用・検査費用とは別に、整備・部品交換にかかった実費を請求されます。
 それが純粋に車検を通すために、必要欠くべからざる整備費用であれば何ら問題はないのですが、過剰あるいは不要な整備をし検査費用を膨らませる業者がいないでもありません。


 指定工場ではない業者の場合は、検査そのものは自動車検査場に持ち込むため、検査機器の調達・維持コストは掛かっていませんが、一方で「持ち込む」コストが掛かってきます。
 慣れた業者さんでも、自動車検査場での検査には小一時間かかりますし、キャリアで運搬しない限り一人一台しか持ち込めません。検査場が近くにあるとも限りませんから往復の時間も拘束されます。当然その分の人件費を計上しなければ、業者としてはやっていけません。当然、車検費用に上乗せされます。
 過剰整備の問題も、指定工場と同様に懸念が残ります。

※業者の持込台数にも制限があるようで、キャリアがあるからといって際限なく持ち込めるわけではなく、陸運局での予約の段階で跳ねられるそうです。


 そして最後に、ユーザー自らが自動車検査場に持ち込む「ユーザー車検」です。


 日本の車検制度を規定している「道路運送車輌法」の記述に拠れば、「当該自動車の使用者は~」と、主語が「使用者」になっています。

 本筋論で言えば、ディーラーや代行業者は単なる「代理人」であって、道路運送車輌法の精神は使用者自ら受検すること、つまり「ユーザー車検」を求めているわけです。





(続く)






未来行き超特急(後編)

2008-03-27 19:20:17 | 森林鉄道警察隊
 もともと「マグレブ」とは「Magnetic Levitation」(→磁気浮上)を省略した愛称です。前・中編でご紹介したとおり「リニアモーター」という名称では、浮上走行するか否かを定義できないために、磁気浮上して高速走行するシステムを別途「マグレブ」としています。 

 「マグレブ」は「リニアモーター」の範疇に含まれますが、「リニアモーター」であるからといって必ず「マグレブ」であるとは限らない、という関係です。



 世界的には、大きく分けて「トランスラピッド方式」「HSST方式」、そして「JR方式」の3つが実用化ないし実用化を目指して実験・開発中です。

 それぞれに一長一短ありますが、やはり最も先進的かつ応用度が高いのはJR方式ではないでしょうか。日本にとっては、完全国産技術だけで開発を進めていることも大きな強みです。
 私は生憎試乗したことが無いので、機会を見て山梨の実験線にも行ってみたいと思っています。

 HSST方式は、もともと日本航空が主導し空港アクセス輸送に活用すべく開発が始まった方式。航空機技術と、ドイツで基礎研究が始まっていた磁気浮上方式を組み合わされています。よって車体を浮上させる部分の構造は、後述のトランスラピッド方式と似通った部分があります。
 最高速度は300km/hを目指していましたが、今のところ実用化されている「東部丘陵線」でも100km/h程度。何よりキャパシティーが小さく、大量輸送機関としては不向きではないかとされています。


 トランスラピッド方式は、ドイツが主導して世界に売り込んでいる方式。常時浮上させている方式のため、車輌側にタイヤなど接触走行する装置が不要で、車体構造を簡単にできる利点があります。

 トランスラピッド方式は私も「上海トランスラピッド」で実際に乗車したことがありますが、確かに車体は「簡素」を通り越して「貧相」にも見える造りでした。
 もし万が一、脱線するなどして他の物体に激突したらひとたまりもないな~という印象は、現実に作業用車輌との衝突事故を起こしたドイツの実験線での事例を見るまでもなく、といった感じです。

 「上海~」の最高速度は430km/hだそうですが、私の乗車した便は生憎300km/hでの運行便だったため、本当の実力は体験していません。300km/hレベルであれば、日本の新幹線や仏TGVで経験済みですし。
 

 パワーエレクトロニクスの進歩で、鉄軌道方式の限界も、現在では500km/hレベルに達しています。
 従来システムと互換性が無いことや、莫大な建設費が必要なことから、日本と並ぶ「リニア大国」であるドイツでは、トランスラピッド方式の実用化計画化すらできていません。

 本当の意味で、未来行き超特急に乗車できるのは、JR方式による「中央新幹線」の開業まで待たないといけないのかもしれません。




未来行き超特急(中編)

2008-03-26 23:23:54 | 森林鉄道警察隊
 「リニア地下鉄」のレールと車輪はあくまで車体を支え、一定の速度以下で作動する空気ブレーキを機能させるだけです。

 通常の鉄道は、レールと車輪との摩擦力に依存して走行しており、急勾配や雨・雪など気象条件でレールの摩擦が小さくなると空転ないしスリップします。

 「リニア地下鉄」の動力源・動力伝達、そして停止時の制動は、レールおよびレールと車輪に生じる摩擦力に依存していませんから、どんなに悪条件でもリニアモーターが反応している限り前進できます。


 また在来構造の電車は、床下の「台車」部分に円筒形のモーターを仕込み、動力伝達のためのギヤ装置・制御のための高圧電気機器を搭載している都合上、床を極端に低くできません。

 「リニア地下鉄」も、車輪を用いている都合上、床を低くすることには限界があります。理屈の上ではごく小径の車輪を用いれば、限りなく低床構造の電車を製作することは可能ですが、そうすると車輪の回転数が上がってしまい、ベアリングなど軸受部分に負担が掛かりすぎてしまいます。

 かつて国鉄が、11トントラックをシャシごと載せられる貨車「チサ9000」を試作しました。11トントラックを積載した状態で車輌限界内に収めるために、床面高さ50㎝・車輪径35㎝という超低床車でしたが、この貨車が走行すると、車輪の回転数は新幹線の全速状態をも超えてしまい、故障が頻発。トラックの搭載方法にも問題があり、結局実用化されませんでした。


 とはいえ、円筒形のモーターではなく平型の「リニアモーター」を装備し、ギヤ装置を省略することで、床面高さをかなり低くすることができます。

 このことは、地下鉄においては大きな意味を持ちます。トンネル断面や構造物の規模を小さくできるのです。断面が小さければ、建設費も削減できます。
 都営大江戸線の例では、在来の方式で建設された新宿線との比較で、トンネル断面積は半分ちょっと。その分材料の節約や、掘り出される残土の減少になるわけです。


 他にも、床下・台車に装備される機器の多い在来車輌では導入が困難だった「ステアリング機構」を、リニア地下鉄では組み込んだりしています。

 後発の地下鉄路線は、ただでさえ複雑な都市の地下を、更に既設路線の避けて縫うようにして建設せざるを得ないため、急勾配や急カーブが連続する線形になりがち。そんな大都市の新設路線には打ってつけのシステムです。



 では、磁気で浮上し超高速走行可能な「マグレブ」の状況は、どうなんでしょう。


(続く)





未来行き超特急(前編)

2008-03-25 22:03:25 | 森林鉄道警察隊
 先だってJR東海が、自社調達の資金だけで「中央新幹線」、即ちリニアモーターカー新路線建設の構想をぶち上げましたね。

 電磁波の影響や、超電導物質の開発など、技術的・コスト的な課題はまだまだ残されていますが、「夢の乗り物」が決して夢ではないことを実感させるニュースでした。


 上海では日本より一足先に、リニアモーターカーの営業路線が開業しています。
 ドイツで開発された「トランスラピッド」方式を採用した、空港連絡鉄道「Shanghai Maglev」です。商業ベースの営業路線としては世界初の「リニアモーターカー」です。



 実は「リニアモーター」というのは和製英語で、「直線化した(Liner)モーター(motor)」という意味です。

 「直線化」とは、モーターの固定子(外枠部分)と回転子(内側の回転する部分)の磁石を、それぞれ平面上に直線に並べるイメージです。
 例えば、東京-大阪間約550kmをリニアモーターカーで結ぶとすれば、直径175kmもの巨大な小惑星並みの大きさのモーターを切り開き、固定子の磁石を東京から大阪まで引き延ばして行くことになります。

 回転子の磁石部分は、その上を走る車輌の床下に取り付けます。これは550km分必要なわけではなく、列車の長さ分あれば十分です。

 


 と、「リニアモーター」で定義されるのは、ここまでです。
 重要な部分が欠けている気がしますね。そう、「浮上」です。

 日本人は「二リアモーターカー」というと、つい「浮上しながら時速500km以上で走行する未来の新幹線」と考えてしまいます。
 それは半分正解、半分間違いです。


 「リニアモーター」は、あくまで動力としてのモーターが「直線化」されているものを指すのであって、浮上式鉄道であるとは限りません。
 具体的には、大阪市営地下鉄鶴見緑地線や、東京都営地下鉄大江戸線、そして現在建設中の仙台市営地下鉄東西線なども「リニアモーター」に当て嵌まります。

 これら「ミニ地下鉄」は、車体を支える走行装置は従来の鉄道と同じ「鉄製レールと車輪」の組合せで、前進する動力に「リニアモーター」を用いています。

 鶴見緑地線や大江戸線に実際に乗られた方は、レールの間に金属の箱が埋め込まれているのを見たことがあるでしょう。このなかに磁石が仕込んであり、同じく電車の床下に仕込んである磁石と反応して前進・後進をさせています。


(続く)



 

S・O・S(後編)

2008-03-24 00:46:53 | 森林航空隊
 細く長い、でも致命的な損傷から浸水が始まり、沈没に至るまでのドラマは、皆さんが映画で鑑賞されての通りです。

 浮沈船と喧伝された豪華客船は、氷山との接触から3時間足らずで氷海の水泡と消えました。



 氷海での高速運行という無謀さ、船体の脆さ、近隣に無線を受信可能な船舶がいなかった不運さを抜きにしても、悲劇を防げたであろう「~たら・~れば」は数多くあります。
 その一つが、危機管理対応の拙さ。氷山を回避する操船法や氷山との接触後の対応には、今でも批判する意見が多数あります。

 見張りが氷山を発見し、ブリッジは転舵と減速を同時に発令しましたが、減速すると舵の効きが悪くなる特性を考慮すれば、減速せずに転舵していれば十分避けられたのではないか、と言われています。
 
 また、無為に機関を停止し座して沈没を待つだけではなく、救難信号を受信した船の位置を把握し、その船の方向に舵を切って全速航行していれば、沈没前に救助船と邂逅できたかもしれません。
 タイタニックは船首側が損傷しましたから、全速前進では浸水を加速させてしまうリスクが考えられます。そうであれば「全速後進」をかければ、速度は出ませんが一方で浸水を遅らせられます。
 沈没に間に合わなかったとしても、少なくとも互いに近付く行動をしていれば救助までの時間を短縮できたはずで、死者をもっと少なくできた可能性があります。

 

 あらゆるテクノロジーが進化していくにあたって、必ず犠牲は発生してしまいます。悲しいかな、犠牲そのものを防ぐ手立ては、私たちにありません。

 ただひとつ、できることは「教訓を得る」ことだけ。同じ悲劇を繰り返すまじと、テクノロジーを更に進歩させ、犠牲に報いることのみです。



 安全な交通機関・輸送手段による便益を享受している私たちですが、その轍の下・水面・雲上には無数の屍が横たわり、死者の魂が漂っていることを、忘れてはなりません。






S・O・S(中編)

2008-03-23 22:02:49 | 森林航空隊
 では、なぜ「SOSはタイタニックが初めて」という誤解が広まっていったのかというとこの話、半分間違っていますが、半分は合っているからなんです。

 タイタニック号の無線機は、当時の主流であった「マルコーニ」社のもの。通信士もマルコーニからの派遣社員でした。
 氷山への接触後、浸水が増大し危機的状況が明白になる中で救難信号を発信せざるを得なくなりますが、「マルコーニ」式の通信に慣れている通信士(というか、先に記したとおりマルコーニ社の社員)は当然「CQD」を発信します。

 暫く発信を続けても反応がなく、有っても予想沈没時刻には間に合わない位置にある船舶のみ。通信士は「CQD」の発信と平行して「SOS」の発信も始めます。

 これが、初めて「マルコーニ」社の無線機から発信された「SOS」だったのです。
 



 ちなみに、敢えて「氷山への接触」と記しましたが、「氷山への衝突」と記述している文献ないし資料も多く見られます。
 もし正面から衝突していた場合、衝突の衝撃で死傷者がでた可能性はありますが、むしろ沈没は免れたのではないかと思われます。

 映画などでも描写されていますが、「タイタニック」は船内を区切る水密区画のうち、4つまで浸水しても沈没しない設計になっていました。
 正面衝突した場合は、船首部分1~2区画の破壊は免れ得ないでしょうが、それだけなら航行不能に陥る可能性はあっても沈没することはありません。

 実際の「タイタニック」は、氷山を発見して減速・取舵を切り、正面衝突は回避しました。お陰で、その時点での怪我人はゼロ。氷山と接触したことすら気付かなかった乗客も居たと言います。


 正面衝突は回避しましたが、水面下の船腹に長い傷を負っていました。衝撃が少なかっただけあって、傷の総面積は人間一人の体表面積程度と見積もられています。この点、実際の沈船を検証した結果でも裏付けを得られたようです。

 しかし、傷の長さは約90m。「タイタニック」の防水区画5つを貫いて伸びていました。





(続く)



S・O・S(前編)

2008-03-22 01:57:34 | 森林航空隊
・・・---・・・ ・・・---・・・

 キーボードタッチのミスではありません。
 モールス信号で「・・・」(→単点3つ)は「S」、「---」(→長点3つ)は「O」を表します。
 もうお分かりですね。緊急救難時に発信する「SOS」です。


 今年2008年は、「SOS」を万国共通の救難信号とした「万国無線電信会議」(ベルリン会議)の決定を、日本を含めた世界各国が批准し、正式に採用されてから丁度100年になります。



 もともと緊急救難信号は「SOS」ではなく「CQD」というコードが用いられていました。当時はまだ船舶航行の国際ルールが厳密に制定されておらず、このコードは無線機器メーカー「マルコーニ」社が提案し、同社の無線機を搭載した船舶に広まっていったものです。
 今で言うところの「デファクトスタンダード」というヤツですね。

 パソコンのOSが、一企業の製品で席巻されその仕様が事実上の「国際標準」となってしまったように、当時のハイテクであった無線機の独占供給メーカーが、通信士のレクチャーまで手掛けていたために「デファクトスタンダード」となったようです。


 SOSは単なるモールス符号の組合せであって、本来特別な意味はありません。
 長短3回ずつの繰返しで打電し易い、というのが採用した理由です。

 よく誤解されるのが、「Save Our Ship」ないし「Save Our Soules」のイニシャルを取ったという話です。これは「SOS」が正式に国際救難信号として定着してから、後付けで単語を当て嵌めただけ。初めに上記の英文ありき、ではありません。



 また海事関係者の間でも多い誤解が、「世界で最初にSOSを発したのはタイタニック号である」という話です。

 タイタニック号の遭難事故は1912年。救難信号として国際的に「SOS」を決定してから4年後のことです。

 タイタニック号の遭難時点では既に国際救難信号として「SOS」が認知されており、「SOS」採択の翌年に発生した海難事故で、既に「SOS」は発信されています。 


(続く)

飛行機好きの視点(後編)

2008-03-21 12:42:42 | 森林航空隊
 一方のDC-10は、現在は統合された旧日本航空・日本エアシステム両社で採用され、国内・国際両線で大活躍。 
 
 その後日本航空は、DC-10の後継機MD-11を10機導入。機材の愛称を「J-Bird」と名づけ、更に機体個々に日本で観察できる貴重な鳥の名前を記しました。

 727の世代までは、日本赤軍のハイジャック事件で有名になった「よど号」(→淀:河川名)など、個々の機体に愛称が付けられていました。機体数が増えたことで個別愛称は廃止されしたが、MD-11「J-Bird」は、久々の機体愛称の復活としても話題になりました。

 DC-10はロッキードとの苛烈な競争には打ち勝ったものの、機体の欠陥や整備ミスに因る重大事故が頻発、機材としての信頼性は決して高くありませんでした。
 一方の「トライスター」は、機体側の原因に因る墜落事故は皆無。生産機数が少なく現時点で殆どの機が退役しているとはいえ、皮肉としか云いようがありません。

 後継のMD-11にしても操縦系が敏感すぎることが災いして、操縦ミスによる墜落事故が発生。そもそも三発機は中編で紹介した欠点に加え、油圧系統が集中する機体尾部にエンジンがある構造上、エンジントラブルが即油圧トラブルに直結しやすい問題点を抱えていました。

 そして決定的だったのは、マクドネル・ダグラスのボーイング社吸収合併でした。
 777と競合するMD-11生産ラインの維持は、ボーイングにとって経営資源の無駄遣いでしかなく、MD-11は初号機ロールアウト後僅か10年で生産が打ち切られてしまいます。 


 日本航空のMD-11「J-Bird」も、近距離国際線を中心に運用されてきましたが僅か9年ほどで売却され、DC-10よりも先に姿を消しました。
 残ったDC-10も2005年までに総て退役し、一部の外国乗入れ便を除き日本の空から三発旅客機が姿を消してしまいました。


 旅客機としては短命に終わってしまったDC-10/MD-11。しかし、高い推力と横幅の広いボディーは貨物機として打ってつけで、「FedEx」や「UPS」の航空貨物便機材としては、いまでも主力機の座を維持しています。
 日本の空港でも貨物エリアに駐機している姿を、頻繁に見ることができます。

 また、アメリカ空軍の空中給油機KC-10「エクステンダー」はDC-10ベース。こちらも横田基地や、正・副大統領、国務長官などアメリカ政府要人の専用機に随伴して羽田空港の貴賓室近くに駐機していることがあります。



 東京の玄関口である羽田空港は原則的に民間機専用ですが、外交上の都合で軍用機が離着陸・駐機することが皆無ではありません。

 もっとも、日本の「政府専用機」B-747ダッシュ400も所属は航空自衛隊ですから、「自衛隊機」になりますけどね。




飛行機好きの視点(中編)

2008-03-20 00:52:51 | 森林航空隊
 エンジン二機で双発、ジャンボ機は四発、ではその中間の三発は、、、当然あります。

 
 最も数が多かったのは、やはりボーイング社製の「727」、次いで現在はボーイングに吸収されてしまった旧マクドネル・ダグラスの「DC-10」、その後継機でグラスコクピット化された「MD-11」、そして戦後最大の疑獄事件で有名になってしまったロッキード1011「トライスター」などです。

 MD-11/DC-10は垂直尾翼を貫通する形で、「727」「トライスター」は機体尾部に第3エンジンが配置されています。727・トライスターも垂直尾翼部分にエンジンがあるように見えますが、あれは空気取入れ口で、S字に曲がったダクトを通して空気をエンジンに導きます。



 ジェット機黎明期の国策で、機材統一のためJAL・JDA(日本国内航空、後のTDA→JAS)・ANAの大手3社が総て「727」を採用していましたが、所詮はナローボディー機。航空輸送需要が拡大し、飛行延長も増大を続ける中、日本航空はDC-10を、全日空はトライスターを導入して主力機の座に据えました。

 三発機は、双発機の飛行航路を規制する「ETOPS」(拙稿「双発機全盛時代」参照)の適用を受けないため、国際・国内線を問わず運用できます。
 また、ワイドボディー機になりエンジンの推力が向上したことから、旧型機にはないペイロードと、居住性の拡大を実現したのです。


 ところが、「三発機全盛時代」は長くは続きません。
 航空需要の拡大は止まるところを知らず、既にDC-10やトライスターの手に負えるところではなくなっていました。
 日航・全日空ともB-747「ジャンボ」の日本国内線向け仕様「SR」を導入、主力機の座はあっさりと陥落します。

 三発機はそのレイアウトの都合上、正面からの投影面積が大きく、即ち空気抵抗が大きくなるため燃料を大量に消費します。
 またエンジン推力の拡大にも限界があり、ボディーのストレッチや拡大によるキャパシティー向上も、双発機や四発機ほど自由度が高くありません。



 全日空の「トライスター」は、世界初「ハイテク旅客機」の名に恥じない名機でしたが、DC-10との激しい競争からダンピング合戦・導入国要人への接待、果ては巨額の贈賄が飛び交う状態になり、日本では首相経験者の逮捕にまで至ったのはご承知の通りです。
 
 機体性能的には勝っていたものの、サポート体制や機体バリエーションに勝るDC-10に破れ、ロッキードは旅客機生産から撤退。
 全日空機も、1995年までに全機が退役します。

 
 政治スキャンダルに巻き込まれながらも、日本の空で第一線を守り続けた「トライスター」。退役した1995年は、奇しくも「ロッキード事件」で逮捕された田中角栄元首相の没年と重なりました。

 最後の最後まで、清冽な蒼空を目指しながら汚い世界と決別できなかった「悲運の名機」でした。



(続く)






飛行機好きの視点(前編)

2008-03-19 00:00:09 | 森林航空隊
 「学者」と「オタク」の違いはどこにあるのか。
 あくまで私の勝手な分析に拠ると、こうなります。


 「学者」は研究対象物に見られる多少の差異に着目しつつも、理論的に体系立てて類型化していきます。

 「オタク」は、興味の対象に見られる差異そのものに着目し、類型化されない珍しいものを探して回ります。


 では、私はどうかと問われれば・・・・・・・。多分、後者です(苦笑)。



 空港に屯する様々なジェット機。
 趣味的に見ると、双発ジェット機ってみんな同じに見えてしまうんです。だから正直、面白くない。

 大きさが二回り以上も異なる767と777ですが、広大な滑走路上で見ると大きさの差が把握できないため、ちょっと見では区別できません。

 もっと言えば、エアバス機とB-767もプロポーションがよく似ているため、こちらも区別が付きづらい。
 かつて日本国内でのエアバス機ユーザーは、全日空のA321を除き「日本エアシステム」(→旧東亜国内航空)だけだったので、暖色系の鮮やかな塗色で区別できましたが、日本航空との経営統合で塗色も統一されてしまったので益々ややこしくなってしまいました。


 777・767・A300の区別のポイントをご紹介しましょう。

○777
 おでこ(コクピット窓上辺から機体頭頂部にかけてのカーブ)が長く広い
 ランディングギアのタイヤが三軸(真横から見るとタイヤが三つ)

○A300
 垂直尾翼と胴体が接続する部分が水平
 ランディングギアのタイヤが二軸

○767
 垂直尾翼と胴体が接続する部分が、後端に向かって下がっている
 ランディングギアのタイヤが二軸


 イメージ、掴めますか?
 今度空港に出掛けられた折にでも、確認してみてください。


 拙稿「双発機全盛時代」で触れましたが、今後は経済性の高い双発ジェット機が主流となっていくでしょう。日本ではマイノリティーのエアバス機はともかく、当面777・767の天下に、787「ドリームライナー」が割って入る状況が続きそうです。
 

(続く)


ぶーちゃ!

2008-03-18 00:00:05 | 育児
「ぶーちゃ!」
「そうだね、ブルドーザーにバックホウ、きいろぶーちゃだぁ」



「ぶちゃ、ぶーちゃ!!」
「そうだね、ママの赤プリウス。あかぶーちゃだぁ」



「ぶちゃ、ぶちゃ、ぶーちゃ!!!」
「そうだね、パパのゲレンデ。あおぶーちゃだぁ」






 間もなく1歳半になる我が子。
 周りの大人が驚くくらい、クルマ好き。明らかに父親からの遺伝と呆れられている(恥)。

 クルマの絵本を読ませていると、それだけでご機嫌。
 ミニカーを握らせていると、いつまでも一人遊び。
 クルマの多い通りに出ると、それはもう大興奮。

 先が思い遣られますなぁ。。。。。



美しいのはいいとして

2008-03-17 00:03:04 | アート
 仙台の年末は、市内中心部定禅寺通周辺で開催される「光のページェント」はじめ、大通りの電飾で彩られます。広いケヤキの並木道は光輝き、年末の多忙にくたびれはてたオジサンにとっても、ファンタジックな光景です。


 イヴェントの来歴を紐解けば、結構歴史のある催しであることを最近知りました。最近似たようなイルミネーション・イベントが多いため、ひょっとしたら仙台のほうが「パクった」と思われているかも知れません。
 神戸ルミナリエは震災復興を願って、東京ミレナリオはミレニアムを記念したイヴェントで、いずれも歴史は浅いですがマスコミの扱いが大きい所為か、これらの方が全国区になっている印象です。



 「よさこい」といえば土佐高知
 「ソーラン」といえば蝦夷北海道
 「阿波踊り」といえば阿波徳島


 もちろん其々の「本場」では最大最高のイヴェントですが、最近はこれらのイヴェントも全国区になってしまっていて、意外な街で上記お祭りのポスターを見かけることがあります。場所によっては「よさこいソーラン」なんていう「合わせ技」もあるようです。
 
 たまたま立ち寄った先で、巡り会わせで年に一度のお祭りの日に逗留する幸運に恵まれたとしても、お祭りの内容がどこでもやっているようなものだったり、別に「本場」が存在するようなイヴェントだったりすると、正直がっかりします。

 まるで、お釈迦様の手の内から抜け出られなかった孫悟空のような気分です。



 電飾にしても阿波踊りにしても、街興しの起爆剤やお祭りを盛り上げるコンテンツとしては、申し分の無いものだと思います。
 地元の住人の立場からして、一時的にせよ街が綺麗に彩られたり、週末に楽しい祭りに参加できることは、決して悪いことではありません。

 ただし、もはや「どこでもやっているイヴェント」となってしまうと、新鮮味も薄れつまらないものに成り果ててしまうのは時間の問題でしょう。


 何事にも、オリジナルのコンテンツをゼロベースで創り上げるというのは、非常な苦労と苦痛と苦悩が伴うものです。
 イヴェントごとも、行政が関わってきたり、商店街や自治会といった地元団体の支援・後援を受けていると、「失敗が許されない」というプレッシャーもあるかと思います。

 元々とその地域の「オリジナル」であったものが、他地域にパクられてしまい、悔しいかな結局は共倒れしてしまうことも、あるかも知れません。



 いきなり「全く新しいことをやってくれ」と頼むつもりはありません。
 それでも、多少なりともオリジナリティーを醸し出す努力、そのオリジナリティーを維持する努力を、欠かさないで欲しいのです。