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古墳少女佑奈4  その5

2006年09月21日 13時52分10秒 | 上月佑奈
古 墳 少 女 佑 奈4  その5

第5章 佑奈の乱闘

 上月佑奈の不倶戴天の敵であった原絵里香という3年生は高田瑞穂に秘密を暴露されて顔をつぶされ逃げるように海老名市立大塚中学校を去っていった。佑奈にとってようやく安心して学園生活を送れるかと思いきや、佑奈と絵里香の大乱闘を見ていた大塚中学生たちがおもしろおかしく脚色して佑奈のことを他校生に話したり、インターネットに書き込んだりしたため、海老名市立大塚中学校の上月佑奈は海老名市を締める大スケバンで近く神奈川県央地区を束ねに乗り出すという噂になっており、それに反発する神奈川県央地区のスケバンたちが大塚中学校に佑奈とタイマン張りに来るようになった。泉崎礼香にいろいろと言われるから極力佑奈はトラブルを避けるようにしていたけれど、下校途中に取り囲まれたりすれば対応せざるを得ない。

 佐藤朱美、田中千恵、伊東公子は綾瀬市立福田台中学校のスケバンであった。海老名市立大塚中学校の上月佑奈が綾瀬市に侵攻してくるとの噂を聞きつけ海老名市立大塚中学校へ撃退しにきた。3人は髪を赤茶色に染めて平成の時代に紺の制服のスカートをくるぶしが隠れるほどに長くして紺のブレザーの下に着たブラウスの裾をスカートから出して赤いネクタイを緩く締めいかにもだらしない着方をしていたが3人はそれがカッコいいつもりでいた。しかし大塚中学生たちの目にはダサいとしか写らなかったから少し離れたところで
「きっきの子たち見た?」
「見た見た」
「なにあれ?」
「いまどきあんなスカート長くしちゃってねぇ」
「昔のスケバンみたいよね」
「あれでカッコいいつもりなのかしら」
と噂した。
 3人は校門を出てくる大塚中学校の女子生徒に
「上月佑奈ってぇのはてめぇか!」
とガンを飛ばし下校する女子生徒たちをすくみ上がらせていた。しばらくして上月佑奈が泉崎礼香と高田瑞穂と3人で校門に差し掛かると朱美が
「上月佑奈ってぇのはてめぇか!」
とガンを飛ばしてくる。佑奈はとっさに
「ちっ、違います」
と苦し紛れのウソをつくが
「さげんなよ! 胸の名札に『上月佑奈』って書いてあんだろが!」
「あっ!」
「『あっ!』じゃねぇ」
「……」
「まぁいい。ちょうど3人づつだ。あたいらと勝負しな」
「はぁっ?!」
「てめぇが綾瀬市に侵攻して綾瀬市を締めるスケバンになろうとしてっことはネタ上がってんだ。ばっくれよぉったってそうはいかねぇぞ!」
「あたしスケバンじゃないし、綾瀬になんて行きません」
「てめぇがスケバンだってぇことは一目見ただけでわかってんだよ」
「こんなかわいい子のどこがスケバンなのよ」
「うるさい! つべこべ言わずにあたいらと勝負しな」
「いやです」
「この期に及んで逃げんのか!」
「そうです」
田中千恵と伊東公子が
「ふっ、びびってる、びびってる」
「アネゴ、本当にこんな弱そうな奴が大スケバンなんですか?」
と言う。朱美はそれに耳を貸さず
「ふざけるな! こっちはてめぇと勝負付けるために綾瀬からわざわざバス代使って来てんだぞ」
「あたしが呼んだわけじゃないわ。そっちが勝手に来たんでしょ」
そう言って佑奈がその場を立ち去ろうとしたのでバカにされたと思い逆上した朱美は
「問答無用!」
と佑奈の不意を突いて殴りかかった。礼香と瑞穂以下長谷川茜を含むまわりで見ている大塚中学生たちは佑奈が殴られるのに目を背けた。しかし佑奈は朱美の手を見切りヒラリと後ろに下がって朱美の間合いを外し、朱美の腕が伸び切って静止する瞬間を捕らえて手首をつかみ後ろ手にひねる。朱美が関節の痛みから逃れようと前のめりになるので佑奈は足払いをかけて朱美をうつぶせに転ばせた。大方が予想した佑奈ではなく
「痛てぇ、痛たたたたーっ」
という朱美の悲鳴が響いたので観衆たちが二人に目を戻すと佑奈が朱美の背に馬乗りになって後ろ手に右腕をひねっていた。朱美にしてみれば佑奈をぶちのめしたはずがアッという間に地面に転がされ馬乗りにされているのだからみっともないったらありゃしない。
「てめぇ、放さねぇか、この野郎」
と朱美は悪態つくけれど朱美の負けは誰の目にも明らかだ。佑奈は米軍で戦争のための格闘術を仕込まれているのだからその辺のスケバンが勝てる相手じゃない。佑奈は
「どう? おとなしく綾瀬に帰ってくれない?」
「誰が! まだ終わっちゃいないぜ」
朱美が負けを認めないから佑奈はさらに関節をひねる。
「ぎゃーっ」
という朱美の絶叫が響く。簡単に朱美が関節決められたのを見て千恵と公子は朱美を助けるどころか佑奈の鮮やかな手並みにすっかりびびって固まってしまった。佑奈は関節を少し緩めて朱美に
「おとなしく帰る気になってくれたかなぁ? いやならこうだけど」
と関節を締め上げる。朱美がまた絶叫する。
「まっ、まいった。かっ、帰りますから許して下さい」
と言った。そこへ生活指導の佐藤先生が騒ぎを聞きつけてやってきて
「こらぁ、お前らそこで何をしとる!」
と叫んだので佑奈は
「わっ、佐藤先生だ」
とあわてて朱美の背中から降り手を放してやった。朱美は目に涙をためて
「畜生、おぼえてろ!」
と月並みな捨て台詞を残して千恵と公子を引き連れ綾瀬に逃げ帰っていった。
「こらっ、上月。生活指導室にちょっと来い!」
と佐藤が言い終えないうちに佑奈はカバンをひっつかんで一目散に走り去っていた。

 その様子を遠巻きに見ていた大塚中学生たちは口々に佑奈をほめたたえた。
「上月って強えなぁ」
「あぁ、一瞬で勝負決めたもんな」
「相手にケガさせないよう手加減していたしな」
「上月が本気出したら怖いよな」
「ほんと、ほんと」
「あいつらが言っていた『上月がスケバン』ってぇのは本当かもしれないよ」
「あぁ、あれだけ強いんだもんな」
「関節技を鮮やかに決めて追い返すとはさすがだよ」
「あれなら相手もあきらめがつくだろうしな」

 茜は大塚中学生たちが口々に佑奈を賞賛するのが実の妹のようにうれしかった。茜は一瞬で勝負を決めてケガをさせないよう追い返す佑奈の手並みに1歳しか違わないんだけど大人だなぁと感じた。

*** 茜の日記 *************

 今日は怖そうな他校生が大塚中学校にきて
佑奈お姉様にケンカを売ったの。
わたしくどうしようかとハラハラして見ていたけれど
佑奈お姉様は一瞬で勝負を決めて
ケガをさせないよう追い返しちゃったわ。
佑奈お姉様って強くてお優しいのね。

**********************

 佑奈にメンツをつぶされた綾瀬市立福田台中学校の佐藤朱美、田中千恵、伊東公子は綾瀬市に逃げ帰ると海老名市立大塚中学校の上月佑奈がものすごーく強いと言い触らしてまわった。自分たちが負けたことを正当化するためのことであったが、それが海老名市立大塚中学校の上月佑奈の大スケバン伝説をさらに尾ひれをつけて広める結果となり次々と神奈川県内のスケバンが佑奈に挑戦してきた。佑奈は相手にせず大塚中学校にきた場合は先生に追い払ってもらったり、路上で待ち伏せされた場合も走って逃げるなどしてトラブルを避けていたが大勢で取り囲まれるなどどうにもしようがない場合に限って相手にケガをさせないようソフトに撃退していた。腕輪の術は「妖術使い」と言われるのがいやだから使用しなかった。

第6章 礼香の尋問
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