ひとり旅

明日からまた連休だ

しかも４日もある

ちょっとした旅に出る事も可能な日数だ

いつも長い連休を前にして思うのは

何処か独りでぶらりと出かけてみようかと思いを巡らせる事だ

中央線の車内には、その思いを更に募らせる旅の案内が貼ってある

旅情を誘う温泉宿の広告にうっとり見入ってしまう

ひとり旅なんて淋しいのでは？と思われそうだが

淋しいのを味わうのも旅の醍醐味だと思う

都会の喧騒に辟易して、何処か静かな処でのんびりしたい

ゆっくりと温泉に浸かって日頃の疲れを落とす

食事は地のものを贅沢にいただこう

明日は名所も訪ねてみよう

しかしそんな旅も楽しいと思えるのは２日くらいまでだ

あの殺伐としたラッシュアワー

車の渋滞に高層ビル群、派手なネオンが恋しくなるのだ

ひと気のない鄙びた温泉にはない日常の耳障りな音

田舎を離れて何十年も都会で過ごすと

それが自分の故郷のようになっているのだ

普段は当たり前と思っている事が

いつもと違う生活の中で有難いと思えたり

恋しいと思えたりするのである

明日はまた慌ただしい、いつもの生活が待っている

そこへ帰る事が出来る幸せ

麻痺している感覚を取り戻しに私はいつも連休前に一人旅を頭に描く

このままロマンスカーで遠い町へ

でも上りの終着駅は新宿なのだった