向かいの店の…

春はすぐそこまで来ているが

夜出勤で早朝帰宅の私にはまだダウンジャケットが手放せない

昼間は暖かくても朝夕はまだまだ寒いのだ

昨夜向かいのスナックのマスターが仕事終わりに遊びに来てくれた

オネエ系の彼は「今度から閉店が一時間早まるのよ」と何だか不満げだ

経営者のママさんが、ここ最近のヒマを鑑みての決断らしいが

遅くまで営業しているから来てくれるお客さんを逃すのではないかと心配なのだろう

元々気まぐれなママさんなので、独りで営業している時は

雨が降れば休むし、客が来ないと言ってはさっさと看板の灯りを消していた

「またママさんの気分でマスターも振り回されるわね」

余所で店を長く続けていたマスターが手伝う様になって

向かいの店は賑わいを見せている

その多くがマスターのお客さんだ

この時期は何処もヒマで悪戦苦闘している

だから営業時間を短縮と言うのは短絡的ではないだろうか

人件費や光熱費の問題があるのかもしれないが

水商売は待つ仕事だと思う

早い時間はヒマでも最後の一時間で挽回なんて事もあるのだ

マスターは私達の手前、明るく振る舞っていたけれど

きっと思いっきり溜め息つきたかったに違いない