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私風徒然草

大豆の歴史

2006-12-02 20:27:09 | Journal
大豆の歴史は古い。原産地は中国東北部だそうだ。中国の最古の詩集に登場するのが、文献に現れる最初の一つらしい。調べてみると、『詩経(しきょう)』大雅(たいが)の「生民(せいみん)」という詩に「荏菽旆旆」とある。読めない。

漢和辞典によると、読みは次のとおり。

荏(ジン・ニン・え)
菽(シュク・まめ)
旆(ハイ・はた)

Infoseekマルチ辞書(漢字) http://dictionary.www.infoseek.co.jp/?gr=kj

国語辞典も使おう。

goo辞書(国語) http://dictionary.goo.ne.jp/index.html

「荏」は荏胡麻【えごま】 。

「菽」が、読みからもわかるとおり、豆のこと。国語辞典によると、マメ科植物のうち、特に、大豆という意味のことが書いてある。また、「菽水(しゅくすい )の歓(かん)」という熟語があり、「貧しいながらも親に孝養をつくす喜び」という意味とのこと(出典は『礼記(らいき)』だそうな。これも古い本だ)。

「旆」はgoo辞書にはなかった。読みからすると「はた」。旗のことかな。さらに調べると、「wiktionary」というおもしろい辞書に載っていた(興味のあるかたはどうぞご自身でご覧ください)。

http://en.wiktionary.org/wiki/%E6%97%86

この辞書によると、"flag"とあり、「旗」でいいことがわかった。

「荏菽旆旆(『ジンシュクハイハイたり』と読み下すのだろう)」から、ゴマやマメが風に揺れ、はたはたと鳴っている様子が目に浮かぶ。目加田誠さんの『詩経(講談社学術文庫)』では、「荏菽(まめ)はふさふさと実り」という訳をあてている。成長の盛んなさまがうかがえる。

「生民」という詩は、周(紀元前1世紀ころの中国の国の名前)の始祖・后稷(こうしょく)の伝説を語るもので、不思議な出生が語られている。三度捨てられたが、いずれも救われ、育てられ、成長したたという内容であった。村山吉廣さんの『詩経の鑑賞』(二玄社)によると「感生説話」とあった。