ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシのバレエとオペラ 8

2013-06-19 | ベラルーシ文化
 言葉が分からなくても楽しめるバレエがやはりお勧めですが、オペラも好きな人はぜひ。
 大改装をした国立オペラバレエ劇場は、舞台の下部に細長い電光掲示板を取り付けて、歌詞そのもの、さらに翻訳(ロシア語の作品の場合英訳)の両方が表示されます。
 でも、ときどき表示が歌とずれていたりする。(^^;)さらには歌詞そのものとその翻訳の文章の長さが全然違っていたりする。(^^;)

「私はオペラの○○という作品が大好きで、世界のあちこちの国で必ずこの作品を聞いている。ベラルーシでもぜひ聞きたい。」
というリクエストがある人の場合はいいのですが、
「ベラルーシでオペラ? どれを選んだらいいのか分からない。」
という人には、せっかくなのでロシア語のオペラをお勧めします。
(イタリア語のオペラならイタリアで聞くほうがいい・・・と思うので。)

 とても珍しいですが、ベラルーシ人によるベラルーシのベラルーシ語のオペラ作品もあります。(「スタフ王の野蛮な狩」です。映画でもありますよね。)でもあまり上演してくれない・・・。
 ベラルーシ語のオペラはベラルーシ以外の国では上演してくれないので、機会に恵まれましたら、お見逃しなく。ベラルーシの貴重な思い出になります。

 ちなみにベラルーシ人によるベラルーシのバレエもあります。「ログネダ」というバレエですが、これもベラルーシ中世時代にほんとうにあったこと、人物が出てきます。
 ベラルーシ人が見るとすごく感動するらしく、涙を流す人もいるほど。
 当然このバレエを上演しているのは世界でもベラルーシ国立オペラ・バレエ劇場だけです。 

 さて、私のお勧めは(ベラルーシのオペラ、全部聞いたわけではありませんが。)ロシア語のオペラ「イーゴリ公」です。
(アレクサンドル・ボロジン作曲。ただし作曲の途中で死去したため、リムスキー・コルサコフとグラズノフが加筆しています。)
 「イーゴリ公」は「イーゴリ軍記」を題材にしています。

 前半はロシア(正しくはルーシで、今のウクライナ)が舞台になっていますが、ロシアのお話の世界がそのまま出てきたよう!
 後半はポロヴェツ人(トルコ系民族)の陣営が舞台になっていて、またまた東洋の世界。
(バレエと同じくヨーロッパで生まれたオペラですが、意外と東洋が出てきますねえ。マダム・バタフライは日本が舞台だし。)

 後半はオペラのほかバレエのシーン(「韃靼人の踊り」)も多いので、「イーゴリ公」を見れば、ベラルーシのオペラとバレエと一度に両方見ることができます。なのでお勧めします。
 ちなみにベラルーシ国立オペラバレエ劇場では、「イーゴリ公」のバレエシーンの振り付けは、バレエ・リュッス版(ミハイル・フォーキン版)です。
 とにかくすごい迫力。

 他にもこの劇場では、一幕のオペラの作品と一幕のバレエの作品を連続して上演することもあるので、そうすると一度にバレエとオペラを堪能できます。
 また子ども向けプログラムもあります。(バレエで「3匹のこぶた」があるんだけど、どんな感じ??? 見たことないです。)
 それから前衛的なモダンバレエや現代が舞台のオペラ作品もあります。

 画像は「イーゴリ公」のカーテンコールのときに写したもの。真ん中に写っているのがイーゴリ公です。
 合唱団の声がとってもきれいでした。
 (イーゴリ公って主役で、軍記物が下地になっている話なのに、すぐ捕虜になってしまったりして、ほとんどいいところがなくて、ひたすら苦悩している。その苦悩を歌にしないといけないんだなーと思いました。)

 「イーゴリ公」を見るのは2回目なのですが、実は全く行く予定をしていなかったのに、突然、主人が所属している身体障害者協会から電話があって、
「明後日『イーゴリ公』見に行きませんか?」
と言われ、そのため1人たったの200円で見ることができました。席もけっこう前のほうで正規の値段の8割引ぐらいでした。
 他にも多子家庭協会の人も来ていました。
 さすが、国立の劇場。
 そもそも自国民のための自国の文化としてこのような劇場をつくったという歴史があるため、こういうことがベラルーシでは起こります。
 日本も歌舞伎とかお能とか「敷居が高い。」「チケット高そう。」「お金持ちの趣味。」のように、庶民的でなくなってしまった芸術分野があると思うのですが、そうすると発展や成長がとどまってしまうような気がするんですよね。
 ベラルーシはまだまだ庶民のためのバレエとオペラという芸術が生きていると思います。
 

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