ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ミンスクにある長崎の鐘について(4)

2016-10-29 | 放射能関連情報
 この画像は私が9月初めに撮影した長崎の鐘です。
 このように金属板プレートが鐘楼の右側の柱に取り付けられたその上のほうに、日本とアメリカの国旗が掲げられています。
 画像の左のほうに見えるのは、鐘楼全体で言うと中央部情報にあるベラルーシ国旗です。

 日本人として私は違和感を覚えるのですが、広島、長崎の方はどのように感じられますか?

 長崎の鐘を見た他の日本人の意見ですが、同じように違和感を感じる方もいれば、憤慨される方、また
核兵器の歴史という括りで見れば、おかしくない。公式には認められていないがニューメキシコの核実験のせいで被爆したアメリカ人もいるのだから、と言う方もいました。
 さらに反核、反原水爆という趣旨であれば同じ場所に土が埋められていてもかまわないが、アメリカの国旗を掲げるのは話が変わってくる。アメリカは核保有国の一つであり、たとえば広島の平和公園にロシアやアメリカの国旗が掲げられるなど被爆者にとって現状では考えられないことだから・・・というご意見もお聞きしました。

 長崎の鐘は慰霊のためのもの、つまり第一に魂のためのものであると私は思います。そこに国家のシンボルである国旗がたくさんつけられているのを見ると、宗教的な場所が政治的な場所に変貌しているように感じます。

 ちなみにベラルーシにある日本大使館に公式な質問状ではありませんが、この長崎の鐘の現状を日本大使館は把握しているのかどうか尋ねた人がいましたが、二ヶ月経った今でも全く返事はありません。

 日本大使館が「これはどういうことですか?」と赤い教会側に質問してくれたらよかったのですが、そういうことは政治が絡んでいるからか、もしかすると外務省からの指令待ちなのか、日本大使館から抗議文や質問状が出されてことはないようです。

 仕方がないので、今度は直接赤い教会に日本人が質問したのですが、もちろん正式な質問状を出せる立場の人ではないので、とりあえず教会に行って、そこにいた神父に口頭で尋ねたにすぎません。
 それによると・・・
 「赤い教会の中にいた神父さんの一人に、長崎の鐘の横の旗について聞いてみました。結論から言えば、その方は、星条旗が掲揚された経緯を知らないと言い、ただ最近現れたことだけは承知しているとのことでした。
そして『何か日本とアメリカの和平交渉の結果なんじゃないか』という ことをボソボソ言ったりしました。さらに、経緯を知りたければ、もっと上の人(おそらくこの教会の一番偉い人のことだと思いますが)に聞いてみるように言われ、ただその人はいつもいるわけではないので見つけるのは大変だと言いました。
誠意があれば、その上の人に会わせてくれるか、その人がいる日を教えてくれてもいいのにと思いましたが、何となく空々しい対応でした。これ以上は赤い教会に聞いても無駄のようです。」
 ・・・ということでした。

 つまり現地の日本大使館は動こうとしない、長崎の鐘を同じカトリック信者から贈られたミンスクのカトリックの神父もその教会でお勤めしているのに、ちゃんと説明してくれない(あるいは分かっていないか、分かっていても分かっていないふりをしている)ということです。

 このような状況にこうなったら、ベラルーシのマスコミに話してみようか、などと私は考えていました。
 私のような外国人が質問しても無駄でしょうが、ジャーナリストがその教会の上の人に取材すれば、もう少し内容のある返事がもらえるかもしれない、と思ったからです。
 これが10月初めのことです。

(続きは「ミンスクにある長崎の鐘について」(5)をご覧ください。)




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