10月15日、ミンスク市内で身体障碍者の方々による反政府デモ行進が行われました。
車椅子に乗った人たちがプラカードを手に平和なデモ行進です。その家族も参加して、車椅子を押しています。
杖をついている人もいます。(ベラルーシ人障碍者で日本風コスプレヤーのサーシャさんが参加者の中にいるのが分かってうれしかったです。以前のデモ行進で拘束されていて、でもすぐに解放されていたのはニュースになっていて知っていたのですが、今日またかわいいコスチュームでデモ行進していてよかったと思いました。)
デモ行進の後、障碍のある人たちの権利を守る団体の職員一人が身柄拘束されました。
昼間ミンスクのメインストリート、独立大通りの一部が警察によって通行止めになっています。
ベラルーシカリの従業員一人が採掘坑の中に入り、そのまま地上に上がらないというストライキを始めました。その人は、自分自身を鎖で採掘坑の中にある門にくくりつけてしまいました。これで治安部隊が無理やりに身柄拘束するのは難しくなったと思います。
オクレスチナ収容センターでは以前、拘留された人のための差し入れを平日受け入れていましたが、今はコロナウイルス感染拡大防止のために1週間に一度、木曜日だけに限定しました。そのため今日差し入れを持った家族が収容センターの窓口に押し寄せ、長蛇の列になっています。行列の最初に並ぶために6時から並んでいる人もいます。
ババリコ氏とコレスニコワ氏の弁護士が、弁護士資格を剥奪されました。
バスケットボール選手のレウチャンカ選手の拘留期間が今日終了しましたが、釈放されずすぐに別の理由で再逮捕され、そのまま留置所に留め置かれています。
しかし罰金刑だけですんで、ようやく釈放されました。
釈放後、拘留のようすを取材に対して答えました。それによると・・・刑務所の檻房は長さ7メートル幅3メートルぐらいで、それは4人部屋だったが、5人入れられており、一人は床で寝ていたそうです。
レウチャンカ選手は勾留中体調が悪化したと話していますが、そもそも治療のために外国へ行こうとミンスクの空港に来たところを警察に身柄拘束されたので、プロスポーツ選手なのに今後の体調管理や調整が大変だろうなと思いました。
グロドノの子ども専門のホスピスの院長が身柄拘束されました。
ビテプスクでは水道局の従業員の男性が拘束されました。
各大学でも教職員と学生がデモ集会を開いています。
ベラルーシ経済大学の学生は、「ベラルーシ経済の墓」を立てました。十字架に「ベラルーシ経済」と書いた札をつけて、土に立てるというパフォーマンスです。
すでに「ベラルーシIT産業」の墓も立てられています。
ベラルーシ人でIT企業の専門家がすでに1200人ウクライナに移転、あるいは転職しました。ウクライナ側の発表によると8月には200人が移転、転職してきたそうですが、10月半ばにして1200人に膨れ上がり、今後もその受け入れ数は増えると見られています。
デモ行進をしていた女性たちに花を手渡した生花店の店主、ホロシンさんの身柄拘束の状況が詳しく報道されました。
生花店を夫婦二人で切り盛りしている34歳のホロシンさんは、土曜日に反政府デモ行進参加者女性に花を配っていました。それで、もしかしたらそれをとがめられるのでは?と少し心配していたそうです。
13日の朝、店に出勤しようと家の前で車に夫婦で乗り、ドアを閉めようとした瞬間、治安部隊が現れ、ドアを開けるとホロシンさんの顔面を警棒で殴打しました。
その後、地面に伏せるよう言われ、奥さんは近所の人たちに助けを求めて叫び声を上げました。
しかしホロシンさんは手錠をかけられ、護送車へ押し込められました。
そして車内では子どもや従業員の身の保証はないとか脅し文句を浴びせられました。
取調室では警棒で殴打され、「お前は反政府活動を組織しただろう? 誰に金をもらった? 白状しろ。」と尋問を受けましたが、もちろん返事のしようがありません。さらには、
「治安部隊に投石した奴がいるのも、治安部隊長の(妻の)車が壊されたのもお前の責任だ。」
と言われたそうです。ホロシンさんは、反政府デモ参加者に花を配ったことをとがめられると思っていたのに、警察は花のことなど全く質問しないし、ホロシンさんが生花店経営者であることすら把握していませんでした。単に反政府デモ集会首謀者で、参加をチャットで煽っていたと決めつけているようすだったとホロシンさんは語っています。(人間違いで逮捕?)
こんな見当違いの尋問を受けていたのですが、ホロシンさんは警棒で頭部を殴られたためにだんだん意識が薄れてきて、またショックのあまり過呼吸を起こしていました。それを見て取調官もあわてたらしく、お互いに何か言い合っていたそうです。取調官は全部で10人もいて、そのうち3人は婦人警官。
ホロシンさんの具合が悪くなっていくので、あわててみんな自分の責任じゃないと言いたげに取調室から出て行ってしまい、一人残った婦人警官は、「もういいわよ。私たち警官はもうこんな光景見飽きたの。」と言っていたそうですが、とにかく医者を誰も呼んでくれないので、ホロシンさんは取調室で呼吸もうまくできなくなって苦しんでいました。
ようやく救急車がやってきて警察の留置所から救急隊員に抱えられて病院へ。マスコミがそのようすを動画撮影し「誰に殴られたんですか?」ときいているのですが、ホロシンさんは呼吸するのも大変そうで、何も答えられません。パッと見て、男性がしゃくりあげて泣いているようにも見えるこの動画がネット上で拡散。
今ホロシンさん夫婦経営の生花店には「買って応援」する人たちで長蛇の列が連日できています。
ホロシンさんは今も入院中。病室の前には治安部隊二人が逃走しないように見張っていたらしいですが、医師が、当分退院できませんよ、と言ったら治安部隊員はいなくなったそうです。
ホロシンさんは頭蓋骨負傷、右目の角膜損傷、鼻の骨折、体の左側に複数の打撲傷を負い、退院のめどは立っていません。多くの支援者から、お見舞いのカード、食べきれないほどのケーキなどが届いているそうです。
以前、治安部隊に追われて逃げ込んだデモ参加者をかくまったカフェのドアガラスが割られた事件を聞いたとき、「飲んで応援」とそのカフェに行って行列に並んでコーヒーを飲んだそうです。今は自分の生花店に多くの人が行列を作って花を買ってくれていると聞き、感謝の言葉を述べています。
まだショック状態から完全に抜けきれていないと語っていますが、ホロシンさんを支援している多くの人たちの暖かい心に早く癒されてほしいです。そして早く怪我が治ってまた元気にお店を続けてほしいですね。