ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ユーロビジョンのベラルーシ代表の楽曲、演奏拒否される

2021-03-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 3月9日にベラルーシ国営テレビが発表した、今年のユーロビジョンのベラルーシ代表アーティスト、Galasy ZMesta。

 ユーロヴィジョン公式サイトにも登場して、演奏予定の楽曲「I'll Teach You」(「君に教える」というより「お前に教えてやる」と日本語に訳すほうが合っていますね。この「I」つまり「私」が誰なのかはみなさんのご想像にお任せします。)のプロモーションビデオも世界に流れました。途端にその内容が物議に・・・。ベラルーシ人からは「恥」などと非難轟々となり、ユーロヴィジョン運営側が、内容の審査に入りました。それが3月10日。

 一方で国営テレビ局は、「再生回数50万超え! 一夜にしてスポットライトを浴びることになったベラルーシのグループ! 明日、ベラルーシ国営テレビでこのグループへのスペシャルインタビュー番組放映決定! お見逃しなく!」と番組宣伝をしていました。

 そして今日、3月11日、ユーロヴィジョン運営側は、この曲の歌詞の内容を精査したところ、非政治的でなければならない、という参加基準に合わない(政治的な内容であると疑われる)と判断し、この曲でユーロヴィジョンに参加することを拒否決定しました。

 さらに、政府は自分の国の政治的プロパガンダのためにユーロヴィジョンを利用してはいけない、とベラルーシ政府に苦言を呈しました。

 参加アーティストは変更しなくてもいいけれど、「ユーロビジョンの基準に沿った別のスタイルにしてください。」と言われたそうです。つまり曲やアーティストの姿勢を変えよ、ということです。せめて歌詞だけでも変更するよう指示されました。

 また国の代表で出場するのであれば、その国の国民から支持される歌であることが望ましい、としています。ちなみにユーチューブでの動画配信では、「いいね!」が全体の12.8%しかありませんでした。

 またユーロビジョン運営側は、ベラルーシ代表の会場入りなどを報道する、ベラルーシ人ジャーナリスト(政府お抱えジャーナリスト)の動向を制限するとも発表しました。ベラルーシ政府は、言論の自由をジャーナリストから奪って、不法に逮捕、有罪判決を出しているので、政府お抱えジャーナリストがユーロビジョンの取材をするのにも制限をかけますよ、(そうでないとフェアでないでしょう)と発表しました。

 このユーロヴィジョン側の発表を受けて、グループのリーダーでボーカルのドミートリイ・ブタコフ氏は(いやあ、ある意味、代表に選ばれて2日で一躍時の人になって、名前も売れたので、それだけで大成功と思っているかもしれないですけど・・・)ロシアのマスコミのインタビューに今日、早速答えました。

 こんな拒否決定を言い渡されたので、自分自身もミンスク市(ベラルーシ政府)も参加を断ることができる。(こっちからやめてやる。)と発言し、さらに、この曲の内容を変更する必要はない、とも回答しました。

  今ユーロビジョンの公式サイトを見たら、ベラルーシ代表は、この歌歌いますと昨日は表示されていたのに今は「未定」「もうすぐ発表予定」に変更されていて、プロモーションビデオも視聴できなくなっていました。当然ですね。

 それにしてもユーロヴィジョンの歴史の中で「この歌詞、歌うのやめてください。」と言われた国ってあったのでしょうか。史上初? 

 ともかく、今年のユーロヴィジョンにベラルーシ代表は誰も出場しない可能性が高くなってきました。東京五輪もベラルーシのスポーツ選手は誰も出場できないし、音楽コンテストのほうでも、「こっちからやめてやる。出場しない!」という雰囲気になりつつあります。 


2021年3月11日。寒波続く

2021-03-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 2021年3月11日。真冬のように寒いわけではありませんが、朝晩冷え込みます。

 ベラルーシ外務省が、ポーランド国境に近いブレスト市にあるポーランド領事館の領事に帰国を促したところ、今度はポーランド側が在ポーランド・ベラルーシ領事などの外交官を国外追放(ベラルーシに帰国させた)しました。「帰国を促す」に対するお返しとして、「追放」なので、ポーランド側が厳しく出た、という見方をされていますね。釣り合いが取れていないというか。ともかくベラルーシとポーランドの関係がますます悪化しそうです。

 

 5月に行われるユーロビジョンのスウェーデン代表を決める音楽フェスティバル、メロディフェスティバルが今月13日に開催されるのですが、その審査員の一人にベラルーシ国営テレビ第1チャンネルの副局長が選ばれていました。国際音楽フェスティバル専門の審査員の一人ですね。それを突然スウェーデン側主催者が、「ベラルーシ人審査員の代わりにイギリス人審査員に変更した。」と発表しました。

 ベラルーシ国営テレビ局からしたら、なんと無礼な、というところでしょうが、スウェーデン側は、その理由をはっきりとベラルーシの政治のせいとしており、このような形でベラルーシ政府を批判しています。

 

 ユーロビジョンのベラルーシ代表に選ばれたグループですが、こちらの動画再生回数も50万回超えました。今まで全く無名のグループがいきなり有名になり、こんなに再生回数が増えたよ、すごい!ベラルーシ国営テレビで紹介されています。

 私が見たところでは45万回の再生数で、50万回は四捨五入という感じです。でもまあ、もうすぐ50万回になるでしょう。いいね!も3500ついていますが、その反対は・・・その倍以上の数です。

 コメント欄は・・・ほとんどベラルーシ人の声であふれていますが、「がんばれ」「恥」「聞いて笑ってしまった」「病人と妊娠中の方は聞かないでください」「他の人をベラルーシ代表にして」「すごい! この歌に反対する人たちの声が」「最下位」「このメンバーに勇気があるで賞をあげて」「英語じゃないところがいい」「愛国者」「拍手を」・・・読んでいて疲れてきたので、これ以上日本語に訳しません。

 

 プチロ氏の暴露動画「黄金の底」でかつてEUがベラルーシに対して行なった経済支援のお金がベラルーシ大統領の邸宅建設費用に使われた、とする内容について、EUは否定の声明を発表しました。つまりベラルーシ大統領の邸宅を建設するのを支援するためにお金を出したのではない、ということです。と言うより、ベラルーシ経済活性化のために資金援助して、その通りに使われていると今まで思い込んで疑ってなかった、ということではないでしょうか。EUはこれから、支援金の行方を調査すると発表しました。

 その結果、本当に大統領が私的流用していたと分かったら、EUは知らなかった、ベラルーシ大統領を助けていたわけではない、と慌てて発表するでしょう。

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者29万8960人。死者数2070人。変異種発見

2021-03-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 2021年3月11日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は298960人になりました。1日の新規感染者数は837人です。特筆すべきは1日の新規検査数が16800件と多いにも関わらず、新規感染者数は1000人以下なのです。これはつまり感染者が減ってきたということです。このままどんどん減ってほしいです。

 死者数は2070人です。

 289622人が回復しました。

 504万件を超える検査数となりました。

 

 とにかく早く第二波が収束してほしいです。そして第三波は国産ワクチンで抑えてほしいです。ただ、ベラルーシでは変異種の報道が一切ありません。報道がない、ということは変異種が国内に入ってきていない、という証拠にはならないので、気になるところです。

 

・・・とここまで書いたところで、ベラルーシで最初のコロナウイルス変異種に感染している人が見つかったというニュースが飛び込んできました。

 ベラルーシでもちゃんと変異種を検査していたんですね。報道によると、ベラルーシで発見された変異種はイギリスで発見されたものと同じ種類。ウクライナ、ポーランド、エジプトから入国(帰国)した人の中から発見されました。ほぼ同時期なのか、別々の日に見つかっていたけれど、発表は今日まとめて・・・なのでしょうかね。

 他にもベラルーシ国内で変異種に感染していた人(最近外国に行っていないベラルーシ人)もいつと発表されました。こうなると変異種にかかっている人がベラルーシにもすでにたくさんいると思います。これが第三波につながらなければいいのですが・・・。

 ベラルーシでは厳しい移動の制限など対策を取っていないので、私の同僚(図書館司書)がこの間、休暇を取ってエジプトへ海水浴に行って帰ってきました。ピンピンしてすでに出勤してきて、お土産話をみんなにしています。こんなベラルーシ人がたくさんいるから、変異種が入ってこないわけないですよね。ちなみに私の同僚はとても元気なので、感染していません。

 


東日本大震災から10年

2021-03-11 | 放射能関連情報

 東日本大震災から今日で10年。震災によって亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。

 10年後はどうなっているのだろう。復興は? 放射能汚染は? 健康は? と考えていましたが、まさかコロナウイルスという疫病で日本だけではなく世界中が変貌しているとは予想していませんでしたね。

 コロナのせいで大人数が集まる追悼式典もしづらいし、悲しいですね。

 福島の放射能濃度の低下速度はチェルノブイリよりも早い、という報道(朝日新聞)を見ましたが、つまり事故から10年後の両地を比べてみて、ということですね。

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福島の放射能濃度低下、チェルノブイリより早く 筑波大

福地慶太郎

東京電力福島第一原発事故で福島県に広がった放射性物質の状況は、旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)と比べて、土や河川の放射能濃度の低下スピードが大幅に速いという結果を筑波大などの研究チームがまとめた。28日、科学誌に発表した。

 筑波大の恩田裕一教授らは、福島第一原発から80キロ圏内を中心に放射性物質の分布などを調べた210本以上の論文を検証。チェルノブイリ原発事故による周辺地域の汚染と比較した。

 その結果、福島はチェルノブイリと比べ、地表の放射性セシウムの量が早く減ったことがわかった。地表にある量が少ないほど空間線量率も低くなる。福島では除染などが行われた一方、チェルノブイリは大半の地域で活動が少なかったからだという。

 こうした地表の放射性セシウムは、河川に流れ出す「供給源」でもある。土についた状態で川を流れる放射性セシウムの濃度について、事故後1年間で福島とチェルノブイリで比べたところ、福島のほうが1・6倍早く低下していた。チームは、地表の放射性セシウム濃度の低下が要因だと分析している。

 また、水に溶けた状態の放射性セシウム濃度について、沈着量の違いの影響を除いて比べると、福島の河川のほうが欧州の河川よりも100分の1程度低かった。淡水魚の放射性セシウム濃度は河川の水に溶けたセシウム濃度と相関関係にあるため、福島と欧州の淡水魚の濃度を比べても同様の差があるという。

 筑波大の恩田さんは「放射性セシウムの実態などを明らかにした」と成果を強調する一方、「福島の長期的な研究データを蓄積し、公開する財政的な見通しがない」として、国として研究を継続する必要があると訴えた。

 論文はウェブサイト(https://doi.org/10.1038/s43017-020-0099-x別ウインドウで開きます)で読める。(福地慶太郎

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 やはり、違いが出たのは気候だと思います。日本は台風が多い、梅雨もあるので、地表に放射能が固定されなかったっことが大きいと思います。また海に落ちた放射能(正確な測定は非常に難しいと思いますが)は人に影響を与えないですね。

 福島沖で獲れた魚から基準越えの放射能が検出された、という報道も見ましたが、ちゃんと食品の検査を続けて、情報公開をするのもさすが日本と思いました。

 それから土地の除染ですが、チェルノブイリの場合はその場で天地替えしていたので、地中が汚染されている状態なんですよね。日本の場合は地表を剥ぎ取って、袋に詰めて、別の所にまとめる方法です。これも除染の効果が大きいと思います。

 一方で、集めた汚染物質をどこで処理(長期保管)するのか、また原発から出ているタンクの中の膨大な量の汚染水(実際には処理して放射能はトリチウムぐらいしか残っていないので処理水)をこれからどうするのかという問題が日本にはありますね。

 他にも廃炉に向けて相当な時間がかかるので、気が遠くなるばかりです。福島第1原発事故から10年経ちましたが、まだ先が遠すぎて、また20年後どうなっているのかな、とか30年後どうなっているのかな、と想像してしまいます。そのころの日本はどうなっているのでしょうか。

 ベラルーシではこの10年の間に、とうとう自国内に原発を建設し、1号炉も稼働開始しました。コロナウイルスの報道の影であまりニュースの中で目立ちませんが、今のところまだ出力をしぼったり、上げたり、二日後にまた低下させたり、ずっと実験をしているような状態です。ロシア企業が建てた原発なので、その費用をこれから返し続けないといけません大きな借金を抱えています。自国内での電力供給がせめてもっとベラルーシ経済のために役立ってほしいのですが、その状態になるまでにまだ時間がかかりそうです。そして何より事故が起きてほしくないです。今のベラルーシには事故対応が迅速にできるかどうか分かりません。コロナ対策の様子を見ていても、政府にあまり期待できないですね。我が家ではとりあえずヨウ素剤だけは常備するようにしています。