3月9日にベラルーシ国営テレビが発表した、今年のユーロビジョンのベラルーシ代表アーティスト、Galasy ZMesta。
ユーロヴィジョン公式サイトにも登場して、演奏予定の楽曲「I'll Teach You」(「君に教える」というより「お前に教えてやる」と日本語に訳すほうが合っていますね。この「I」つまり「私」が誰なのかはみなさんのご想像にお任せします。)のプロモーションビデオも世界に流れました。途端にその内容が物議に・・・。ベラルーシ人からは「恥」などと非難轟々となり、ユーロヴィジョン運営側が、内容の審査に入りました。それが3月10日。
一方で国営テレビ局は、「再生回数50万超え! 一夜にしてスポットライトを浴びることになったベラルーシのグループ! 明日、ベラルーシ国営テレビでこのグループへのスペシャルインタビュー番組放映決定! お見逃しなく!」と番組宣伝をしていました。
そして今日、3月11日、ユーロヴィジョン運営側は、この曲の歌詞の内容を精査したところ、非政治的でなければならない、という参加基準に合わない(政治的な内容であると疑われる)と判断し、この曲でユーロヴィジョンに参加することを拒否決定しました。
さらに、政府は自分の国の政治的プロパガンダのためにユーロヴィジョンを利用してはいけない、とベラルーシ政府に苦言を呈しました。
参加アーティストは変更しなくてもいいけれど、「ユーロビジョンの基準に沿った別のスタイルにしてください。」と言われたそうです。つまり曲やアーティストの姿勢を変えよ、ということです。せめて歌詞だけでも変更するよう指示されました。
また国の代表で出場するのであれば、その国の国民から支持される歌であることが望ましい、としています。ちなみにユーチューブでの動画配信では、「いいね!」が全体の12.8%しかありませんでした。
またユーロビジョン運営側は、ベラルーシ代表の会場入りなどを報道する、ベラルーシ人ジャーナリスト(政府お抱えジャーナリスト)の動向を制限するとも発表しました。ベラルーシ政府は、言論の自由をジャーナリストから奪って、不法に逮捕、有罪判決を出しているので、政府お抱えジャーナリストがユーロビジョンの取材をするのにも制限をかけますよ、(そうでないとフェアでないでしょう)と発表しました。
このユーロヴィジョン側の発表を受けて、グループのリーダーでボーカルのドミートリイ・ブタコフ氏は(いやあ、ある意味、代表に選ばれて2日で一躍時の人になって、名前も売れたので、それだけで大成功と思っているかもしれないですけど・・・)ロシアのマスコミのインタビューに今日、早速答えました。
こんな拒否決定を言い渡されたので、自分自身もミンスク市(ベラルーシ政府)も参加を断ることができる。(こっちからやめてやる。)と発言し、さらに、この曲の内容を変更する必要はない、とも回答しました。
今ユーロビジョンの公式サイトを見たら、ベラルーシ代表は、この歌歌いますと昨日は表示されていたのに今は「未定」「もうすぐ発表予定」に変更されていて、プロモーションビデオも視聴できなくなっていました。当然ですね。
それにしてもユーロヴィジョンの歴史の中で「この歌詞、歌うのやめてください。」と言われた国ってあったのでしょうか。史上初?
ともかく、今年のユーロヴィジョンにベラルーシ代表は誰も出場しない可能性が高くなってきました。東京五輪もベラルーシのスポーツ選手は誰も出場できないし、音楽コンテストのほうでも、「こっちからやめてやる。出場しない!」という雰囲気になりつつあります。