9月26日、様々な形での反政府デモ集会が始まりました。
民族友好公園で、「自由に向かって」という競走大会が行われました。しかし実行は公式に認可されませんでした。それでも35人が集まり、白赤白の旗を持ったり、白赤のランニングシャツを着ています。
ゴールの後、治安部隊が現れ、二人が拘束。他の人は四方八方に逃げました。もともと健脚の人ばかりが集まっていたので、すぐに逃げることができたと思います。
土曜日ですが大学や工場でデモ集会をしている人もいます。ショッピングセンターの吹き抜けで歌を合唱する人たち。
ベラルーシ国立文化芸術大学のキャンパスの前で、反政府の演説をしていた男子学生が、その後身柄拘束され、オクレスチナ収容センターにいることが分かりました。
ベラルーシ・カリの従業員で、ストライキを指導したため逮捕された男性が、留置所でハンガーストライキを始めました。
カマロフスキー市場で、女性たちのデモ集会が始まると、あのニーナさんが新しい旗を持って登場。女性たちに「ニーナ! ニーナ!」と拍手で迎えられました。
警察が「認可されていない集会は違法行為です。解散しましょう。」と拡声器で呼びかけると、
「恥知らず! 恥知らず!」の野次が飛びました。
この市場では、秋の収穫祭りをしていたのですが、周囲の道路は警察によって封鎖されました。
そして身柄拘束が始まりました。女性の手足を四人がかりで掴んで、護送車へ運んでいきます。
そしてニーナさんが拘束されてしまいました。
護送車から治安部隊が下りてきて、目がけるようにニーナさんのところへ。そして旗を奪い取ろうとしました。
しかしニーナさんは旗を握って抵抗。しかし73歳のニーナさんが力で勝てるわけもなく、治安部隊は旗を取り上げて、護送車の中へ。ニーナさんは、「私の旗を返して!」と追いかけて護送車の中へ。そしてそのままどこかへ移送されてしまいました。
1時間後、ニーナさんがコズロワ通りを歩いているところをデモ参加者が発見。警察へ連行されたものの、すぐ解放されたようです。
しかし旗は没収されてしまいました。
デモ集会を取材していたロシアのテレビ局RTのスタッフがデモ参加者の女性たちに囲まれました。
「真実を報道して!」「ロシアの報道では、ベラルーシは平和で静かで問題ありませんと報道してるけど、間違いよ! 毎日多くの人がデモ集会をしているのに!」「あんたはジャーナリストではない!」
スタッフの男性は「それは私ではない。」などと答えましたが、タジタジとなっています。相手の数が多すぎます。そのようすをスマホで動画にとってネット上に流すデモ参加者。
女性たちのデモ行進が独立大通りに沿って始まりました。
このメインストリートは警察によって封鎖され、今は公共交通機関だけが運行されています。
そして護送車が走っています。
コラス広場では、デモ集会参加者の前で一人の女性が手に花を持ち、有名なヤンカ・クパーラの詩「あそこを行くのは誰だ」を朗読しました。
(この詩はクパーラの代表作なので、複数の和訳が存在します。この「あそこを行くのは誰だ」は私の翻訳です。「著作権が・・・引用元は・・・」と日本人は非常に細かいので、念のため書いておきます。)
やっぱり文学の力は偉大ですね。およそ140年前に生まれた人が書いた詩とは思えないぐらい、今のベラルーシ人のことを書いています。
今日も各団地の中でご近所さんたちが集まって歌を歌ったり、マンションの外壁に映し出した映像を見たり、和やかな雰囲気の中デモ集会をしています。
午後9時、ポーランドのワルシャワでは、ベラルーシ反政府派支持コンサートがスタートしました。
ベラルーシとポーランドのアーティストが登場しますが、トーダル&WZオルキエストラも登場!
やっぱり音楽の力は偉大ですね。
リアルタイムでベラルーシでネット中継を見られる私は幸せです。リャヴォンも登場して大盛り上がりです。
9時50分ごろ、ベラルーシの国営テレビBTのネット配信が数分間ハッカー集団サイバーパルチザンに乗っ取られました。
「BTが真実をベラルーシ国民に見せないのなら、我々が見せる。」という犯行声明も出しました。
数分間、治安部隊が残酷に身柄拘束をしている映像が流れました。悲壮な音楽もついているというこの乗っ取りのためにわざわざ作った映像ですね。
もう一つのテレビ局OHTのネット配信も乗っ取られたようです。
本当かなあと思ったので、それをネットで見ようとしたのですが、「すみません。あなたのがお住いの地域では視聴することができません。ユーチューブの動画配信をご覧ください。」という静止画像が出てくるだけです。
それでユーチューブの動画のほうを見ると今日の午後4時のニュースが最新動画として見ることができただけでした。
見ていると最後のほうに、今回の反政府活動の様子を動画にして急に有名になったブロガーの人がインタビューされていて、「デモ参加者にインタビューしましたが、大統領は辞任しろと連呼する割に、その後のことは考えていない。」などと低評価していました。
ネットなんてフェイクばかりで、信用してはいけません、と国民に政府は言っているのですが、反政府派に批判するブロガーのことは国営テレビでわざわざ取り上げて紹介するのですね。
次にベラルーシ出身だが、ウクライナに移住して、2013年から始まったウクライナ騒乱もくぐり抜けた女性にインタビューして、
「ベラルーシのみなさん、ウクライナではあの後、すべての物価が上がりました。ドルの値段はいきなり4倍にも跳ね上がりました。このようなことがベラルーシで起きてもいいの?」
と話している動画を放映しました。
また通行人にインタビューして、
「デモ集会の人たちはうるさい。」「もう飽きた。」「あの人たちは子どもで何も分かってない。」「仕事があるだけましじゃない。何を変えたいの?」といった批判的な意見だけ編集して放映しています。
そして、ニュースでは「国民の皆さんに警告しますよ。」の映像が流れます。「許可されていないデモ集会に参加するのは違法行為です。罰金を払うことになりますよ・・・。」などなどの法律を目立つ赤い字でデカデカと表示し、怖い音楽を流しています。
映像はデモ集会参加者が最もお行儀が悪かったところだけ編集したものです。
バリケードを作ったり、花火を治安部隊に投げつけたりです。
確かにこういう行為をした人は厳しく取り締まって罪を償わせるべきですよ。
でも、治安部隊が武器も何も持っていない、ただ白赤白の旗を持っていた人を繰り返し殴り、倒れて痙攣まで起こしている人を執拗に殴ったり、デモ参加者が逃げ込んだカフェのドアガラスを割って中に入り、たまたまコーヒーを飲んでいた人まで拘束するのは、罪にはならないです。
このような暴力行為をした治安部隊は全く罪に問われません。逆に正義の味方です。
「仕事があるだけましじゃない。何の不満があるの?」という高齢女性の意見ですが、ベラルーシで働く、そして税金を払う、その税金が治安部隊員のボーナスになる・・・のもいやだという人もたくさんいますよ。
もし、この高齢女性の孫が何もしていないのに、身柄拘束され、過剰な暴力を受けても、同じことを孫に言えますか?
拘束された人は通算1万人を超えます。この人たちが拘束されたことで、再教育を受けたと思いますか? 逆ですよ。一生現ベラルーシ政権を恨み、反政府活動を続けるか、外国に亡命するでしょう。
この1万人の後ろは家族、親戚、友人がいます。同じように現政権を恨んでいる人が1万人ではなく10万人、100万人といるのですよ。
厳しい弾圧を加えたら怖くなっておとなしく言うことを聞くようになると思っているので暴力的な取り締まりをやめません。
実際には逆で受けた暴力の痛みで、ますます人心は政府から離れていくでしょう。