月曜日になると日曜日のミンスクでのデモ集会のことが日本でもニュースになります。
今日それを見ると、「反政府デモ、弾圧で参加者減か」などと書かれています。日本語の記事ですがでどころはロシアの報道です。
あくまでも私からの意見です。
一ヶ月半前のミンスクのデモ、20万人集まっていた。(ベラルーシ政府の発表では10万人も集まっていない。)今日のミンスクのデモは5−10万人程度。参加者が減っている。政府の弾圧が効いているんだね・・・暗にベラルーシ政府批判。
という日本のマスコミが日本人に与える印象を鵜呑みにしないほうがいいです。
弾圧の影響でデモ集会参加者が減ったというのは、日本人に「直接的な影響」なんだなと思わせますが、「間接的な影響」も多いのですよ。
私の考えでは、デモ行進が分断されて、ミンスク中心部のデモ「行進」の数は減っているように見えても、ちぎれた行進がミンスク市内にあちこち散らばっていて、全体で何人参加したのか計算しづらくなっています。
政府の弾圧の影響で、「ミンスク中心部のとある1箇所に集まった行進している人の数は以前と比べて減った」ということです。
デモ参加者の数は、計算するのも難しく、前々から情報源によって数はバラバラです。
ベラルーシの国営系のマスコミやロシアのマスコミは少なめに報道する傾向があるし、(9月20日はミンスクで5万人参加だそうです。)反政府系のネットニュースでは多めに報道する傾向があります。(9月20日はミンスクで15万人だそうです。)3倍も開きがあります。
そして、今は休日は団地ごとに集まって、平和的なデモをするのが急増しています。この人たちの数を全て集計するのは至難の技です。
次にデモ参加者が減ったとされる理由の一つはコロナウイルスです。
再びベラルーシで感染者が増えてきました。感染が分かると、その人の家族や職場の同僚なども、自己隔離されるのですから、外出自体ができません。
次にロシアのマスコミの分析では、「ベラルーシ人の国外脱出が増えているからデモ参加者が減っている。」です。弾圧の影響は間接的で、経済的、思想的に亡命、出稼ぎが増えているからということです。
ピンスク市民の(おそらく若い世代の)10パーセントがもうすでに外国へ出国しました。
12パーセントはもうすぐ出て行く予定で、トランクに荷物を詰めたり、パスポートやビザの手続きに奔走しているのです。こんな考えの人たちが、この国がよくなりますようにと願いながらデモ行進に参加しますか?
すでに近い将来の国の状況の改善を諦めてしまった人たちです。合計22パーセント、5人に一人ですよ。
さらに25パーセントが状況によっては国外へ出る予定なのです。そして選挙後、一か月半が過ぎても、弾圧が続いています。
合計47パーセントの人が国を出て行く状況を日本に当てはめて想像してみてください。
次に私の予想ですが、昨日のデモ行進参加者が減ったのは、この週末、ベラルーシ人の多くがきのこを広いに郊外の森へ行った影響もあったからです。また今はじゃがいもの収穫時期です。
金曜日まで雨が数日降り続きそして土日はとても天気が良く、森の中できのこを拾うベラルーシ人が大勢いました。
このベラルーシ国内の混乱、経済状況が悪化する可能性が高いことから、今冬ごもり前の保存食の準備に焦っているベラルーシ人もたくさんいるのです。
キノコを干したり、酢漬けにしたり、果物のジャムや野菜のピクルスを作ったりしています。ジャガイモは主食だから土中の保存庫へ。家族総出で食料の調達に必死です。
ベラルーシを出て行かず、国内に残る予定の人は、とにかくこの冬、食糧危機が起きたときのことを考えて、今食料があるうちに保存食を大量に準備しようとしています。
デモ集会へ行く時間が秋の収穫期にはないのですよ。今しかできないことを優先するのは当然です。今そのような心理状態の人が大勢います。
そんなことするのは田舎に住んでいる人だけでしょ?と思う日本人も多いかもしれませんが、首都のミンスクに住んでいる人の多くはセカンドハウスで家庭菜園をしている人も大勢いるし、またミンスク郊外へ車で20分ほど行けば、キノコが生えている森があちこちにあります。
このように、さまざな要因が重なっていると考えてください。