ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第101回」

2010-03-30 |   ビタペクト配布活動
 3月29日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第101回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を7個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1678個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1400部となりました。
  
 今回で通算111回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1678人分のビタペクト2、そして1400家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by


 今回は3家族が保養滞在に来ていました。それぞれの家族にお話をうかがいました。

 
(家族A)

 ゴメリ州カリンコビッチ(チェルノブイリ原発から約100キロ)から来た家族。この家族には3個のビタペクト2を渡しました。
 この家族は4回目の滞在で、今まで2005年2月と、2007年1月、2008年1月にも来たことがあります。 
2005年の滞在のときの様子はこちらチロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第29回」をご覧ください。 

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/2005/no29.html


2007年の滞在のときの様子はこちらチロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第53回」をご覧ください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/x/repo/hobby_book.cgi


2008年のときの様子はこちらチロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第70回」をご覧ください。(家族A) 

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/06223f5508cb20f75d44be54a20b9023


 2005年、2007年、2008年、2010年の放射能値の測定結果はこうなります。以下の○印がついている子どもにビタペクト2を渡しました。

母親(事故発生時19歳)10ベクレル   →15ベクレル○ → 14ベクレル○ →  6ベクレル
男子(15歳) 0ベクレル   → 23ベクレル○ → 37ベクレル○ → 70ベクレル ○
男子(14歳) 0ベクレル   → 11ベクレル  →  0ベクレル  → 60ベクレル ○
男子(11歳) 16ベクレル○  → 15ベクレル○ → 26ベクレル○ → 34ベクレル ○
孫(3歳)33ベクレル (今回初測定)
孫(3歳)27ベクレル (今回初測定)

 このお母さんには8人の子どもがいます。そのうちの5人は16歳以上になったのと、社会人になったり、結婚したりで、SOS子ども村には保養には来ていません。
 3人の息子と2人の孫を連れて来ていました。
(親子4代に渡ってSOS子ども村に滞在したという家族が現れるのも、もうそのうちのような気がしてきました・・・。)

 ただ、この家族の放射能測定結果は、今まで100回以上この活動を続けてきましたが、その中での最高記録、70ベクレルでした。
 しかも成長期の男の子2人が、60ベクレルと70ベクレル、というのは、大変よくない結果です。
 SOS子ども村のリリヤ先生は
「生の牛乳をごくごく飲んでいるでしょう?」
ときいていましたが、お母さんは「そんなに飲んでいない。」と話していました。
(汚染地域の牛乳は、1リットルで100ベクレルの放射能を含んでいる場合があります。)
「でも、牛乳禁止。」とリリヤ先生に言われていました。しかし成長期の子どもにカルシウムは必要なので、「乳製品を食べましょう。」という、講義を私とリリヤ先生で話しました。
 理由は放射能物質を含んだ牛乳から、乳製品を作るさいに放射能が水分のほうに溶けて分離、そして捨てられることが多いからです。
(チーズは牛乳に比べると水分が少ないから、固い、つまり放射能がほとんど含まれない。T家では牛乳は極力飲まないようにしています。)

 日本人のみなさんで、ベラルーシに来ることのある方で、気になる方は、牛乳を飲まないようにしましょう。

 とにかく、今回この子どもたちにビタペクト2を渡せてよかったです。お母さんは特に健康上に問題はない、と話していましたが、病気になってからでは、ビタペクト2を飲んでも遅いので・・・。ビタペクト2はあくまで予防です。


(家族B)

 ゴメリ市(チェルノブイリ原発から約140キロ)から来た家族。2個のビタペクトを渡しました。それぞれの放射能測定結果はこのとおりです。

母親(事故発生時4歳)21ベクレル
長男(9歳)33ベクレル ○
次男(6歳)14ベクレル 
長女(9ヶ月)0ベクレル
甥 (4歳)31ベクレル ○

 この家族の結果もあまりよくないですね。6歳の男の子はよく扁桃腺が腫れ、まばたきが多いけれどこれは、チック症状が出ていると思う、とお母さんは話していました。
 お母さんは熱心に、何を食べていいのか、海草はよく食べているほうだ、と食育に関心があるようでした。
 意識改革、と言うか啓蒙活動と言うか、こういうお母さんがもっとベラルーシに増えてほしいです。SOS子ども村に行くたびにがんばってレクチャーしているんですが、やはりベラルーシ人の側に意識がないと浸透しないですね。


(家族C)

 ミンスク州ボロブリャヌイ市(チェルノブイリ原発から330キロ)の家族。SOS子ども村もボロブリャヌイにあるため、
「家は近所。」と話していました。
 この家族には2個のビタペクト2を渡しました。それぞれの放射能測定結果はこのとおりです。

母親(事故発生時9歳)27ベクレル
長男(9歳)34ベクレル ○
次男(4歳)24ベクレル ○
長女(1歳10ヶ月)16ベクレル

 ボロブリャヌイ市はミンスクから車で30分ぐらいのところにある町です。ベラルーシの真ん中にある町に住んでいる子どもからこれだけの値が測定されるのは、よくないですね。
 この一家は家族全員貧血で、ヘモグロビン値が低く、鉄剤を飲んだり、食生活を改善した結果、9歳の長男だけが改善したそうです。
 まだまだ治療が続きそうだと、お母さんは話していました。
 放射能の被爆による症状の一つに貧血もあるのですが、この家族の場合、はっきりと因果関係が結論付けられているわけではありません。

 画像は記念撮影した様子です。(ただ1人、保養滞在ではない子どもがまぎれています。)
 今回も折り紙や、日本製の紙、折り方の説明などを子どもたちにプレゼントしました。
 子どもたちの名前を日本語で和紙に書いてあげたら、とても喜んで、親戚中の名前を書いて書いてとせがまれ、大変でした。
 
 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。