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初期の国産フリッパー・ピンボール機:カーニバル(セガ、1971)

2021年02月14日 17時35分53秒 | ピンボール・メカ
日本で、ポップバンパー(関連記事:ピンボールのアートワークの話(番外):Gottliebのもう一つの独自性)を備えた本格的なフリッパー・ピンボールが登場するのは、1971年セガが製造した「ウィナー」、「カーニバル」、「サッポロ」の3機種からです。今回はこれらの中から「カーニバル」のフライヤーをご紹介いたします。




セガ「カーニバル(1971)」のフライヤーの、表紙(上)と裏表紙(下)。

表紙は、ページの半分ほどの幅で見開きとなるように折り畳まれています。その部分を開くと、筐体の画像と遊び方の説明が現れます。


フライヤーの折り畳まれた部分を開くと、筐体と遊び方が見開きで現れるが、開かれた外側に書かれている、表紙側の「パチンコの」に続くコピーが見えなくなるので、この画像だけでは構成が間違っているかのように見える。

バックグラスの右側にはパチンコのような装置があります。「インターネット・ピンボール・データベース(IPDB)」では、このようなフィーチャーを「バックボックスのバガテル(bagatelle in backbox)」と呼んでおり、60年代半ばから終わりにかけての米国製ピンボール機では時々見られる機構でした。また、筐体部分をよく見ると、1971年当時のゲーム料金は、1ゲームは30円ですが、50円硬貨を投入すると2ゲームできるのが相場であったことがわかります。



見開きの筐体部分の拡大図。画像は、なるべく大きく表示できるよう上下に2分割してある。



見開きのプレイフィールド部分の拡大図。こちらもなるべく大きく表示できるように上下2分割してある。

この「カーニバル」に限らず、70年代のセガのポップバンパーは、米国製の一般的な機構とは一線を画す、かなり特殊な造りをしていました。どういう造りになっているのか、今でもよく理解できません。セガと似た外見のポップバンパーは、関東電気工業が1972年頃に製造した「Tarkey Bool」(関連記事:さよならダイエー碑文谷店)にも見られますが、これがどこまでセガのものと同じだったのかはわかりません。


左がセガのポップバンパー(画像はIPDBの「カーニバル」より)、右が一般的なポップバンパー。

この時代、ゲーム機が設置されている場所と言えば、商業施設かボウリング場のゲームコーナーが一般的でしたが、セガのピンボールを置いていないロケーションも珍しくなく、ワタシにとってはある意味で希少価値を感じさせる機械でした。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (nazox2016)
2022-06-21 21:33:45
Robot415さん、良い情報をありがとうございます。佐藤氏の話はかなりわかりづらく、校正していないのもひょっとして何を言っているのか聞き手が理解していないからだったりするかもしれません(笑) でも、「これはひょっとしてあのことを言っているのか」と推理しながら読むのも面白かったです。またお気づきのことがございましたらご教示ください。よろしくお願いいたします。
Unknown (Robot415)
2022-06-21 13:15:11
いつも楽しく拝読しております

セガのポップバンパーの構造については
同社OBの佐藤秀樹氏のインタビュー(p24)で少し喋っていますね

先にEM好きおじさん様の書かれた説明の方が俄然解りやすいですが

この立命館大のインタビューシリーズは、聞き書きのままほとんど校正していないので誤記も多いのですが、
いずれも資料価値は高いと思います
Unknown (nazox2016)
2021-02-17 22:22:45
EM好きおじさん、すみません。IPDBをもっとよく見て気づいていなければならないところでした。
取説に機構の原理が掲載されてるなんて、日本のアーケード機では考えにくいことですね。
それにしてもこのマニュアルの図に出てくる棒人間、いいですね。みんな帽子をかぶっているところなどはさすがおフランスといったところでしょうか。こんどブログのネタに詰まったら使わせてもらおうと思います。
Unknown (EM好きおじさん)
2021-02-17 08:40:40
nazox2016様
私の書き方が悪かったですね、"COMICS"の取説はIPDBに載っています。英語を含む4か国語で書かれています。
Unknown (nazox2016)
2021-02-16 23:56:44
ポップバンパーの秘密の考察をありがとうございます。
前にも申しあげたかもしれませんが、ワタシは同社の機械を見たことがありません。EM好きおじさんはCOMICSの取説をお持ちなんですか? 言語はフランス語だったりするのでしょうか。いずれにしろ、羨ましいです。
プレイフィールド裏面の画像を見ると、確かにセガの構造はRallyのものとよく似ていますので、セガが買い取ったのか単なる模倣かはわかりませんが、真似をしているのでしょう。ただ、セガとRallyの接点が見えないのが悩みの種です。これも世界を股にかけたブロムリー帝国の底力なのでしょうか。
Unknown (EM好きおじさん)
2021-02-16 20:51:37
[SEGAピンボールのナンバーマッチ]
少なくとも私がプレイした機械式リール得点表示のマシンには実装されていませんでした。得点が放電管表示になった時から得点表示の1の位を自分のナンバーとしてプレイヤーが自由に設定できる様になり、ゲーム終了時にフィールド上の7セグメントLED表示の数字とマッチすればフリープレイが与えられる様になりました。
ただしプレイヤーがナンバーを設定できるのは最後のボールをシュートするまでの間で、その後はゲームオーバーまで固定になります。そして7セグメントLED表示はフィールド上の得点契機で変わって行くので、LED表示が自分の設定したナンバーと同じになったタイミングで最後のボールを落とせばフリープレイが手に入りますが、なかなかそうは行きません。
私はタイミング良く最終ボールがフリッパー目がけて落ちてきたのでトラップして故意に落とした事が1回だけありますが、普通のナンバーマッチならばゲーム終了まで「マッチするかも…」と期待が持てるのに、SEGA方式では最終ボールを落とした時点で結果が分かってしまうので今一つでした。なぜこんな仕様にしたのでしょうね。

[SEGAのポップバンパー]
IPDBの裏面写真で比べるとRALLY社のポップバンパーと良く似ているので動作原理は同じと推測します。そしてRALLY社"COMICS(1968)"の取説により動作原理が分かってきました。
ソレノイドコイルがフィールド裏面に垂直に設置され、その中心を貫く棒(ただしコイル内径よりも細い)の上部にフィールド上のバンパーが、棒の下端に円盤が固定されています。そして軸は下端をバネで押されて円盤がコイルの下面に密着する形で直立しています。多分円盤に工夫があって、円盤の中心がコイルの中心からずれない様になっているのでしょう。なおコイルとバンパー間はフィールド盤の厚み以上に距離があります。
ボールがバンパーを押すと、ボールが当たった側の円盤の縁はコイル下面に接しているのでそこを支点に軸が傾き、棒の下端が下がってバネを押して回路が閉じます。ソレノイドがONすると軸下部を上方へ吸引して強制的に直立させる事になり、ボールを弾き返します。ここでバンパー部は上から見て円形である必要はないので、長方形のバンパーやフリッパー脇のスリングショットも実現できます。
IPDBによればRALLY社がこの方式のポップバンパーを使ったピンボールを製造したのは1966年で最後のピンボールが1969年、SEGA最初のピンボールは1971年です。ひょっとしてSEGAはピンボール製造を止めたRALLY社からこのバンパー方式を買い取ったなんて事は…考えすぎでしょうか。関東電気工業の"terkey bool"は見た事がないので分かりませんが。

それではまた。
Unknown (nazox2016)
2021-02-14 23:09:15
まとめレスで失礼いたします。

>tomさん
この頃のセガの機械には、ナンバーマッチは無かったように記憶しています。70年代半ばからのSS機になってから、スコアの下一桁を自分で指定して、ゲームオーバー時にプレイフィールド上の7セグと一致すればリプレイという仕組みを導入しました。しかし、リプレイが狙えてしまったため、途中からシステムを変えていたはずですが、どう変えたかははっきりと覚えていません。

>EM好きおじさん
このポップバンパーは、ボールを弾き出す方向が読めないので、本当はワタシも好きではないと言いたいのですが、なぜか嫌いになれないのです。
Rally社が先に類似のポップバンパーを使用していたと知ったのは数年前の事でしたが、そのときは衝撃でした。
ゲーム料金のご指摘、ありがとうございました。ワタシも書いていて何かおかしいと思っていましたが、確認しないまま掲載してしまいました。先ほど修正いたしました。
Unknown (EM好きおじさん)
2021-02-14 21:01:49
nazox2016様、こんにちは。
SEGAの3機種は懐かしいですね。私が最初に見たのは"WINNER"でした。
普通のポップバンパーはボールがバンパーをかする様に通っても白いスカート部を踏むと反応してボールを弾きますが、SEGAのポップバンパーはボールがバンパー全体をある程度押さないと反応せずに「ぐにゃ」という感じになるので、私は好きになれませんでした。この方式はRALLY社の"PLAYBOY(1967)"や"COMICS(1968)"のバンパーに似ているのですが、RALLY社の方が敏感に反応してくれた様に思えます。
それから、私が見た1PLAY¥30の機種はみな2PLAYS¥50でした。1PLAY¥20の機種は3PLAYS¥50だったのですが。
Unknown (tom)
2021-02-14 20:49:04
カーニバルの貴重なフライヤーを始めて拝見しました。

残念ながら、ワタシは「カーニバル」自体は遊技する機会は無かったのですが、その後リリースされるマシン達で、セガ独自のポップバンパーとスリングショットに、興味津々でした。

カーニバルって「match」はありましたでしょうか。"temptation"辺りになるとデジタルが回転していた記憶が。。。

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