オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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【小ネタ】「ERASE」(セガ・1974?) 金鉱脈のすぐ隣を掘っていたゲーム

2017年10月22日 19時55分12秒 | ビデオゲーム
今月上旬にラスベガスで開催されたG2Eショウの記録は、写真の整理が追い付かないため、今回は小ネタでしのがせていただきたいと思います。もし、楽しみにされていた方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。

ワタシは、拙ブログの記事「それはポンから始まったのだけれども(3) スペースインベーダー以前のヒットゲーム」で、1976年に米国ATARI社から発売されたパドル&ボールゲーム「BREAKOUT」(別名ブロック崩し)に言及いたしました。そこでワタシは、BREAKOUTが「熱中してやり込む中毒者が発生した初のビデオゲーム」と述べ、そのヒットとなった要因のひとつに、「従来は二人で対戦するゲームが多かったが、BREAKOUTは一人で遊べるゲームであった」ことを挙げています。

しかし実は、「BREAKOUT」に先立つ1974年に、ブロック崩しとよく似た発想を含んだ「CLEAN SWEEP」というパドル&ボールゲームが米国RAMTEK社から発売されており、日本ではセガがライセンスを受けて「ERASE」というタイトルで売り出していました。ワタシは1975年頃に一度だけ、目黒駅近くのゲームセンターで「ERASE」を遊んだことがありますが、その頃のワタシはまだパドル&ボールのゲームが滅法下手だったので、ろくに遊べないうちにゲームオーバーとなってしまい、以降二度と遊ぶことはありませんでした。

 
セガの「ERASE」の画像。どちらも1975年頃に発行されたセガの総合カタログより。アップライトと、今でいう「ミディ筐体」に近い筐体の2種類が発売されていたことが窺われる。元ネタであるRAMTEK社の「Clean Sweep」のフライヤーはこちら

「ERASE」も一人で遊べるゲームで、ボールをパドルで弾き返して画面いっぱいに表示されているドットに当てて消すというゲーム性も、ブロック崩しと通じるものだったのですが、それほど普及することもなくいつの間にか姿を消し、今の時代にこの機種を記憶されている人は世界に一体何人残っているだろうかと思うようなタイトルとなってしまっています。それはおそらく、「ERASE」では、ボールはドットに当たっても反射することなくただ直進し、フィールドの壁でのみ跳ね返るというものだったため、ブロック崩しと比較するとゲーム展開の変化に乏しいゲームだったことがその大きな原因ではないかと思います。

しかし、動画サイトにアップされている「CLEAN SWEEP」を今見ても、これが「BREAKOUT」のヒントとなっていた可能性は否定できないように感じます。あるいは、RAMTEK社やセガが、ここからもう少し粘り強く思考を掘り下げていれば、ブロック崩しに発展できていたかもしれません。そんなわけでワタシは、「ERASE(CLEAN SWEEP)」を、ブロック崩しに先んじて鉱床の近くに辿り着きはしたものの、掘り進む方向が少し違ったために鉱脈を逃してしまい、歴史に名を残すこともなく埋もれて行った不遇なゲームだと思っています。

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