オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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サンフランシスコ・スロットマシン工房跡地巡りの記録

2021年05月02日 18時14分28秒 | 歴史

今年もゴールデンウィークがやってきました。平時であればラスベガスに巡礼に行くところなのに、COVID-19のせいでラスベガスはおろか国内旅行すらままなりません。昨年の今頃は、「まあ、来年には終息しているだろう」などと甘いことを考えていましたが、事態はむしろ悪化しています。手を尽くしてこうであるならともかく、今の行政は殆ど何もしていないように見えるのが、いいかげん腹立たしくなってきました。

2010年のゴールデンウィークのことです。
ワタシはラスベガスに行く際にサンフランシスコ空港(SFO)で乗り継ぎがあることを利用して、ついでに19世紀から20世紀初頭にサンフランシスコのベイエリアに集中していたスロットマシンメーカーの跡地を訪ねてみることにしました。

こんな酔狂を思い立ったきっかけは、スロットマシンの歴史本としておそらく最も普及している「SLOT MACHINES A Pictorial History of the First 100 Years」という本の中に、19世紀終わりから20世紀初頭にかけてサンフランシスコに存在したスロットマシンメーカーの地図「サンフランシスコ 1892-1906 スロットマシンの峡谷 (San Francisco 1892-1906 SLOTMACHINE GULCH)」があったからです。

「SLOT MACHINES A Pictorial History of the First 100 Years」に掲載されている、19世紀終わりから20世紀初頭にかけてのサンフランシスコにあったスロットマシンメーカーの地図。この図は第5版の25ページより。同じ図は他の版にも掲載されており、現在は第6版が容易に入手可能。

過去記事「サンブルーノ・アメリカン・アンティーク・ミュージアムの記憶(1/3):プロローグ」でも述べているように、この時期、サンフランシスコはギャンブルがまったく野放し状態で、男が出入りする場所ならどこでも1台以上のスロットマシンがあったそうです。Google mapで現在のこのあたりの地図を見ると、道筋自体は当時とほとんど変化がありません。そこで、効率よく巡礼する順番を一覧できる自家製マップを作成し、現地に向かいました。

自家製の巡礼マップ。全部で18カ所が、サンフランシスコのベイエリアに集中している。

成田空港を発ったUA便は、SFOへは朝に到着します。荷物をリチェックしたのち、空港から市内に直接行ける「BART」という鉄道に乗るのですが、チケットが何種類もあって多少まごつきました。それでもなんとか無事にモンゴメリ通り駅までの切符を買って乗り込みましたが、車内アナウンスがほとんど聞こえず、うっかり乗り過ごしたりせぬよう常に注意を払っている必要がありました。

モンゴメリ通り駅に着くと、弱い雨が降っていたので、雨宿りを兼ねて「BOUDIN」というレストランで朝食をとりました。この店はSFOの中にも店を出しており、サワードゥという酸味のある丸いパンをくりぬいて、中にサンフランシスコ名物のクラムチャウダーを注いだものが名物です。

BOUDINの名物。ワタシは「クラムチャウダー イン ブレッドボウルをくんろ」と注文しているが、実は正式の商品名はいまだに知らない。

BOUDINを出ると、雨は上がっていました。まず最初に、現代スロットマシンの要件を規定したとされる「リバティ・ベル」が製作されたという、チャールズ・フェイの工房跡地[1]を目指します。そこは現在、地下駐車場の出入り口の脇となっており、カリフォルニア州の937番目の史跡として記念碑が建てられています。

フェイの工房跡地と記念碑。

以降は、原則としてここから近い順に回っていきました。赤い文字は、スロットマシンのアンティークの本によく出てくる名前です。同じ名前が複数出てくる場合もありますが、間違いではありません。


(1)=[2] Royal Card Machine Co. 
(2)=[3] Schultze
(3)=[4] Holtz
(4)=[5] Holtz & Fey


(1)=[6] T.F.Holtz
(2)=[7] Novelty Machine Works
(3)=[8] Holtz & Fey
(4)=[9] Caille


(1)=[10][11] Wattling, Schultze
(2)=[12] Novelty Machine Works
(3)=[13] Mills Novelty
(4)=[14][15] Bracford Novelty, Reliance Novelty


(1)=[16] Chicago Slotmachine
(2)=[17] Monarch Card Machine
(3)=[18] Royal Novelty

特に大通り沿いの建物は現代的な高層ビルになっているところが多く、当時の面影はありませんが、中には時代を感じさせるビルもあり、ひょっとしたらここで、今ではアンティークとして人気があるスロットマシンが作られたりしていたのかなあと想像してみたりしました。

市中から空港方面に向かうBARTには4種類の線があり、空港に向かう線は一つしかなく、土地勘がないとうっかり乗り間違えそうに思われたので、少し早めに空港に戻りました。興味のない人には大して面白くもないであろうこの酔狂に、嫌な顔もせず付き合ってくれた女房には、心よりありがとうと言いたいです。

それにしても、次にラスベガスに行けるのはいったいいつになるんだろう。現地からの情報では、ラスベガスでは賑わいがすっかり戻ってきているとのことですが、それというのも地域挙げてワクチンの接種を進めているからです。それに比べて、ろくに手を打たない日本の行政にはまったく腹が立ちます(大事なことなので二回言いました)。


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2 コメント

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Unknown (tom)
2021-05-09 20:13:59
遅レスです。

nazoさんのblogプロフィール画像となっている「いわゆる聖地」ですね!

「BOUDIN」のメニューを少し調べてみましたが、正式名称は無いみたいですね。
SOUP IN A BREAD BOWL
(Served in our sourdough bread bowl)
となっていました。

私も現地SFOで食べたクラムチャウダーが大変美味しかった事が記憶に残っています。

※今回はゲームと無関係なコメントで申し訳ありません。
Unknown (nazox2016)
2021-05-11 12:48:24
tomさん、コメントをありがとうございます。ゲームに関係なくても全くOKです。
BOUDINは、サンフランシスコ空港ではしばしば食べていたのですが、今でも問題なく注文できていたのが不思議です。
コロナ禍で巡礼ができないのが全く残念です。

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