長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『インモータルズ 神々の戦い』

2018-04-19 | 映画レビュー(い)

版権料のいらないギリシャ神話に『グラディエーター』や『300』などの戦記モノを掛け合わせ、アメコミ風に仕上げる…そんなハリウッドの企画書が目に浮かぶような1本だが、飽きずに見る事ができるのは監督ターセム・シンによる独自の美意識の御陰である。名コンビとなっていた故石岡瑛子の衣装とターセムのシュールレアリスムが合致すれば、禍々しくも妖しいオーラが立ち上がり、目が離せない。このクセになるような中毒性は長編映画デビュー作『ザ・セル』から健在だ。

そんな映像世界には大見得を切れる役者が似合う。ギリシャ彫刻のような肉体美だが全く面白味のない主演ヘンリー・カヴィルは後に『マン・オブ・スティール』でスーパーマンに起用された。フリーダ・ピントは美の絶頂にあり、ミッキー・ロークも珍しく仕事をしている。そして全能の神ゼウスに扮したルーク・エヴァンスはオーラに満ち、意外なカリスマ性を発揮した。スローモーションを駆使したアクションシーンはザック・スナイダーよりもカッコいいぞ。

 ハリウッドはプログラムピクチャーに新風を吹き込むこの奇才をもっと尊重すべきだ。


『インモータルズ 神々の戦い』11・米
監督 ターセム・シン
出演 ヘンリー・カヴィル、フリーダ・ピント、ルーク・エヴァンス、ミッキー・ローク
 

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