長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『教授のおかしな妄想殺人』

2019-08-09 | 映画レビュー(き)

Me tooによりミア・ファローの娘に対する性的虐待疑惑が再燃し、事実上アメリカ映画界から追放状態にあるウディ・アレン監督の2015年作。前作『マジック・イン・ムーンライト』に続きヒロインにエマ・ストーンを起用、鼻の下が伸び切ったデレデレ演出で、旬の女優のキュートな魅力を収めている。

大学に新たな哲学教授エイブがやってきた。風変りでどこか影のある彼に女子大生ジルはたちまち恋をするが、厭世観にまみれ、自殺願望すら持っているエイブはセックスもままならない。そんなある日、ひょんな事からエイブは悪評の高い判事の殺害計画を考案。それ以来、体には活力が満ちてきて…。

いつも通りのウディ・アレン的登場人物エイブがエマ・ストーンにモテモテな展開には苦笑いが漏れるが、演じるホアキン・フェニックスのシリアスで鬱々とした個性によって近作にはない独自の仄暗さが生まれている。この時期は『ブルー・ジャスミン』以後、『マジック・イン・ムーンライト』『カフェ・ソサエティ』と凡打続き。この使い古されたウディ脚本を不確定要素が凌駕する傾向は後の『男と女の観覧車』でより顕著になる。

現在、ウディは再びヨーロッパ資本で復活作を練っている様子。いったい何を思っているのか気になるばかりだ。


『教授のおかしな妄想殺人』15・米
監督 ウディ・アレン
出演 ホアキン・フェニックス、エマ・ストーン、パーカー・ポージー
 

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