リッスン・トゥ・ハー

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ナメクジはDNA増幅をうまく利用している

2011-04-13 | リッスン・トゥ・ハー
「上手、DNA増殖が上手!」

「ナメクジ相手になにやってるんですか?」

「ナメクジはDNA増殖を上手く利用しているんだ」

「ちょっと意味が分かりませんから深く聞きませんが、じゃあその応援をしてるんですね?」

「応援するとさらに上手になるからね」

「ナメクジわかってるんですね?」

「完全にわかってるね」

「案外賢いんですね」

「かなり賢いと思うよ」

「じゃあさらに応援しましょうか」

「それ、あんよが上手!あんよが上手!」

「あんよないでしょ!」

「おだててるってことがわかればなんでもいいの」

「そんなもんですか」

「所詮はうねって塩を撒かれて干涸びるだけの生き物さ」

「クールですね」

「俺、ナメクジ嫌いだもん」

「なんで研究してるんですか」

「ここ給料いいし」

「それは大きいけども」

「怒られんし」

「所長ですからね」

「楽やし」

「応援するだけですからね」

「応援だけちゃうぞ!」

「なにするんですか?」

「塩を撒く」

「そのうちナメクジに恨まれますよ」

「収録後、番組スタッフでおいしくいただいております」

「食ってんの?」

「ソテーにしてね」

「おいしいの?」

「イカみたいなかんじかな」

「そうなんだ」

「イカよりは堅いかな」

「そうなんだ」

「おひとついかが?」

「じゃあひとつ」

「お味はいかがかしら」

「たしかにイカみたい」

アベサンショウウオ繁殖

2011-04-13 | リッスン・トゥ・ハー
増えていく。どんどんどんどん増えていく。気づいたら倍。倍。その倍。もうアベサンショウウオで部屋中覆われている。それらはとても生臭い匂いを放っている。水に住む生き物だから当然だ。ヘドロを好む習性もあるらしいから当然だ。それは受け入れなくてはいけない。どうしようもない。アベサンショウウオの繁殖には我慢が必要だ。アベサンショウウオの繁殖が未曾有の食料危機、コンビニの陳列棚からヨーグルトや納豆がなくなる現象から人類を救ってくれる。繁殖させたあとは匂いをどう消すかが次の課題。それを加工してヨーグルト風や納豆風に仕上げるのがその次の課題。課題は山積みだ。そうこうしているうちに部屋からはみ出して研究所中をアベサンが。這いはじめた。あれは食べ物をもとめて這っているのだ。アベサンの主食はヨーグルトや納豆だ。大量のアベサンの餌用として、全国各地のコンビニからヨーグルトや納豆は買い占めておいた。餌はたんとある。一部腐りはじめているが、アベサンはきっと気にせずに食べる、ほらあの、アベサンの物欲しそうな顔。

桜の美しさ当たり前じゃない

2011-04-11 | リッスン・トゥ・ハー
「当たり前よ」

「説明してください」

「つまり、みんな美しいと思い込んでいるの」

「思い込んでいる?」

「思い込みはすごく大きい」

「だから美しいに決まっている、と」

「そのとおり」

「なるほど、一理ありますな」

「納得してないような顔ね」

「思い込みとやらはたしかに大きな要素ではあります」

「そうよ」

「しかしそれだけではない」

「言い切れるの?」

「言い切れますよ、それだけではない」

「たいした自信ね」

「説明しましょうか?」

「ぜひともお願いします」

「桜側の立場に立ってみればすぐにわかりますよ」

「桜側の立場?」

「そう、桜から見れば自分が注目されるのはほんの一瞬でしょう?」

「桜が注目されるのは年に数日ね」

「ですから、当然、その数日のために思い切りおめかしをするわけです」

「おめかし」

「パウダーをはたいて、口紅を塗って、アイシャドウ、つけまつげ」

「女?」

「ゴルフクラブを持って、キャディさんと相談し」

「横峰じゃないよ」

「男の場合も靴を磨きます」

「桜が靴履いているの?」

「タキシードも着ますし」

「タキシード着て靴はいている桜見たことないけど」

「気づいてないだけです」

「いやいや気づくでしょ」

「そんなに熱心に桜見てないでしょ?」

「見てないけど」

「いろんな桜がおめかししてみんなをむかえてます」

「それは感謝しなきゃだ」

「そうですね」

「ありがとう、さくら」

「ありがとう、さくら」

岐阜羽島に降臨するのは誰だ?

2011-04-10 | リッスン・トゥ・ハー
「誰だったか、忘れてしまった」

「思い出してください」

「そういわれても」

「大切なことなんです」

「よしわかった思い出そう、強制的に思い出そう」

「できるんですか?」

「わけないよ」

「お願いします」

「えいや!」

「どうですか?」

「思い出しました」

「誰ですか?」

「悪魔だ」

「悪魔?」

「魂の取引を持ち出す悪魔だ」

「実際にはいませんよそれは」

「でもいるんだ」

「わかりました、いるとしましょう、で?」

「悪魔がたのんだのが、揚げ出し豆腐」

「しぶいものをたのみますね」

「モダンじゃない?」

「で、食べたんですか?」

「食べなかったね」

「たのんだだけ?」

「まさしく」

「何の意味があるんですか?」

「誰か食べたい人がいそう、っていう気遣いの人」

「それ悪魔ちゃうわ」

「じゃなんだろう」

「しいて言うなら、おかあさんかな」

「じゃあおかあさん」

「ずずん!」

さくらはさいてちるのでしょう、やがて

2011-04-09 | リッスン・トゥ・ハー
4月は歓送迎会がまっさかりですねえ、あたしもひとつふたつ参加してきました。参加って言っても、ぼんやりしてるだけで、ろくにお酒も飲みませんし食べ物もあまり食べない。話を聞いているだけ。話し上手の人じゃないとあたしの隣はつらいですよ。あたしは全くしゃべりませんから。どんどんしゃべりかけてきてくださいぜひとも。あたしは相づちを打つでしょう。ほどよい程度にうんうんと。それはあたしの防衛本能が築き上げた技術です。相づちを打つことに関してはあたしは権威ですから、相づちでわからないことがありましたら、連絡ください。雨の日の東の空に浮かんでいますし。思えばあたしはやってきますし、笹船にも乗りたいですし、ぜひ、呼んでください、って気分。

お酒もほとんど飲めないけれど、ほんの少したしなみまして、という姿勢を崩さずにやってますと、いつのまにかそばにやってきた人に注がれているんです。いやいや、それを飲み干してしまえばふらふらになって、ぐでんぐでんになってしまいますよ。帰るのが大変ですよ、という頭の中の神様が囁きまして、ちびちびやっているんです。結果的にちびちびと。ビールに日本酒、焼酎もござれだ。あたしの前に様々なアルコールを持ってきて、世界中から。

なんにせよ、切ないのが4月です。

Candle JUNEがくるぞ!くるぞ!

2011-04-09 | リッスン・トゥ・ハー
「どうも、じゅんです」

「あの、じゅん?」

「あの、じゅんです」

「そうかそうか、それはよくきてくれました」

「わたしはなにをしましょうか?」

「とりあえず座って座って」

「失礼します」

「いやあ、本当によくきてくれたよ」

「わたしにできることがありますか?」

「もちろんもちろん、まま、まずはこれを飲んで」

「ありがとうございます、なんですか?」

「雨水」

「雨水を飲まないといけないぐらいの毎日だったのですね」

「いや、ちゃんときれいにしてあるから大丈夫」

「ですが、体調が悪いんで遠慮します」

「はっきりした人だ」

「じゅんです」

「もしかしてみうらの方?」

「いいえ、みうらのほうでないじゅんです」

「じゃあ、特技は?」

「マイブームの開拓です」

「みうらの特技じゃない」

「みうら発で今では全国に広がっていますよ」

「じゃあ今のマイブームはなに?」

「キャンドルでしょうか」

「じゅん!」

「ではさっそくやりましょうか」

「お願いします」

「はい!はい!はい!」

「ああ、キャンドルが灯っていって、まるで100ドルの夜景のようだ!」

「はい!はい!はい!」

「さらに!さらに!大火事だ!これはもはや大火事だ!」

「いかがですかな」

「すごく暖まりました」

「それはよかった」

「またきてください」

「いつでも、呼んでください」

「ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう、はまむらじゅんです」

「じゅんちがい!」

気づいたら桜が咲いていて、所々

2011-04-08 | リッスン・トゥ・ハー
気づいたら咲いていた印象。桜って不思議。まだだろうと思っていたらいつの間にか満開に近い状態になっていてビビる。私は大変ビビる。ピンクの薄い要素が散り散り舞うのはまだ早い。空は青く、紫外線ふりそそぐ。私の頬を焦がすのは、オマエか。ちゃうちゃう。っていうとるんで追求したる。すぐに尻尾を見せるだろう。私はその尻尾をぎゅうとにぎり、そのあとゆっくりと離す。を繰り返すだけの日々。最近はそういうかんじなんで、朝がつらいんじゃい。

桜が咲いていて私は妙に変だなと思った。妙に変だ。なにが変なんかわからんけど、たしかに変だ。なんならもっとぐっと力を込めて見てやろか。桜が逃げ出してしまうぐらいグッと。力、こめたる。ふらふらと揺れていた。揺れていたのは風のせいで、すごく強い風、春風というのかしらん、私のひらひら、シャツをはためかせた。もちろん、シャツだけで散歩にもでかけるほどの暖かさだった。川辺を歩いている。さらさらと水が流れていく。水草に混ざってゴミは流れていく。別に汚いとも思わんし。別に拾い集めてゴミの日に出そうとも思わんし。

被災地での生活はいかがでしょう。落ち着いているんやろか。人間の能力の中で慣れってすごいと思う。私はそれを信じたいと思う。

救世主は水ガラス

2011-04-07 | リッスン・トゥ・ハー
「救ってくれた!救ってくれた!」

「なんですか?」

「救ってくれたんだ!」

「なにがですか」

「水ガラス!」

「水ガラス?」

「そう、水ガラスが俺を救ってくれた!」

「なにから救ってくれたんですか?」

「あれは俺が映画館にいる時だった」

「映画館に?」

「俺は映画を見ていた」

「はい」

「映画は3時間半あった」

「超大作ですね」

「完全に飽きていた」

「駄作でしたか」

「暇を持て余した俺は手遊びをしていた」

「そうとうな駄作だったんですね」

「手遊びはだんだんエスカレートし」

「手遊びのエスカレートってどういうことですか?」

「手遊びが手遊びでなくなっていくことだよ」

「手遊びでなくなったらどうなるんですか?」

「足遊び、胸遊び、肩遊び」

「どんどん広がっていくんですね」

「やがては全身遊び」

「全身遊び」

「鬼を決めて追いかけられたり、鬼よりも高い位置にいなければならないルールを作ったり」

「それただの遊びです」

「会場の全員が全身遊びに興じていたよ」

「学級崩壊なみですね」

「そのときだ!」

「はい」

「支配人が怒鳴り込んできた」

「そりゃ怒るでしょう」

「ここは遊戯室じゃない!」

「そうです」

「俺は水ガラスを支配人に放ったさ」

「ひどい!」

「支配人は何とも言えぬ顔をしていたよ」

「複雑でしょうね」

「俺たちは高鬼を続けた」

「高鬼言うとる!」

「気づいたら映画は終わっていた」

「興じましたね」

「俺たちは大切なものを失わずにすんだ」

「つまり、救われた、と?」

「ザッツライト!」

それでも海のリスクと共に生きる

2011-04-06 | リッスン・トゥ・ハー
海は危険がいっぱいよ。まったく油断ならない。いちばん怖いのはクラゲ。あのふわふわした軟弱なクラゲ?とあなたはいうかもしれない。だけどそれは海を何も知らない都会のひとの戯れ言ね。まったく戯れ言に過ぎない。クラゲの怖さを理解しないと、ここ海では生きていけないと思って。海でクラゲを見たら、まず近づいちゃダメ。海以外でクラゲを見たらどんどん近づいていって大丈夫、海に入っていないクラゲは軟弱そのもの、かなり弱っているからまったく怖くない。つついてやれば、ぴゅ、って海水を吐き出しながら喘ぐだけ。だから普段の恨みをはらしておくべき。そういう恨みを晴らす機会もあるわけだから、海でクラゲを見たときにはすぐに逃げ出した方がいい。まあ、逃げ出そうにもそんなに速く泳げないだろうし、あきらめてしまうしかないかもしれない。クラゲのなにが怖いかって、あのぬめぬめが体中に絡み付くわけ。陸に上がってもとれないぐらいに絡み付くわけ。そうなったらもうクラゲとして生きていくしかないわけだから、困っちゃう。新鮮な魚介類は食べることができるけれども、例えば山菜とか、乳製品とか、さくさくのスナック菓子なんかまずあきらめて。嫌でしょう?クラゲだって指をさされて怖がられる人生なんて。だったら海に近づかないで。とっととシンガポールに帰りなさい。クラゲになってもええよ、というのならあたしとともにここで生きましょう。

仏像を生活費に

2011-04-06 | リッスン・トゥ・ハー
「生活費に困っていたんです」

「だからって仏像を盗んじゃいけないよ」

「他に何もなかったんです」

「そりゃそうだろう、入ったのが無人寺だもの」

「仏像なら売れそうだったんです」

「マニアがいるからね」

「許してくれませんか?」

「ちょっと許せませんね」

「わたしはどうなりますか?」

「じゃあ、仏像になってもらいましょうか」

「仏像に?」

「仏像に」

「というと?」

「仏像になってそこに座っててもらいます」

「座ってるだけでいい」

「いいでしょう」

「期間は?」

「は?」

「期間はどのぐらい座ってたらいいんですか?」

「仏像だよ」

「はい、どのぐらいですか?」

「そりゃ、ずっとだろうよ」

「ずっと?」

「仏像動かんよね?」

「動きませんけど」

「だったら、ずっとですよ、座ってるだけでいいんだから楽でしょう」

「お腹が減ります」

「仏像は減らんでしょう」

「わたしは仏像じゃないですから減ります」

「知らんよ、仏像になるんだから、どうにかしなさいよ」

「どうにかなるもんじゃありませんよ」

「どうにかなるって、ほら、このあなたが盗もうとしたやけに額が広い仏像、よく見て見なさいよ」

「額が広い仏像がなんですか」

「これも、盗人が仏像になってもらってる分です」

「盗人盗もうとしてたんか!」

「だからやればできるんだって」

「わ、今ちょっと薄目あけた!」

「じゃ、がんばってください」

「いやいやいや」

「なに?」

「ゆるしてください」

「ゆるさんよ」

「どうしてもですか?」

「どうしてもやね」

「じゃあ仏像になります」

「よろしい、じゃがんばってね」

「おまえも道連れじゃい!」

「なにをする!」

「道連れ道連れ!」

「うわあ!」

「仏像ども、かかれ!」

「仏像が襲ってくる!」

「今までの恨みじゃい!」

「すごい形相の仏像の群れ!夢にまで出てきそうだ!」

「ひゃっほーい!」

着替える感覚で眼鏡を、

2011-04-05 | リッスン・トゥ・ハー
メガネを変える。くろぶちにしてみました。けっこう、枠の太いやつです。似合うのかどうなのかわかりません。だけども、変えるってことが大事です。何よりも大事です。あたしはそう思います。悲しみも隠してしまいそうなふといやつです。顔の輪郭がちょっと見えなくなってしまったんじゃないかと思うぐらい太いやつです。たまにはそういう眼鏡をつけてみたくなる気分。春ですし。しっかりと春はやってきました。待てど暮らせどやってこない春だったなら、あたしはそんなもん必要ないと怒鳴りつけてやりますわ。怒鳴りつけてやれば春は縮みあがってぶるぶる震え、あっちに病気の人がいたら頭を撫でてやり、ですよ。

眼鏡をかえてみて初めて、今までの眼鏡がいかに傷ついていたかに気づきます。ぼんやりとしてて、はっきりと見えていない。よくこんなに汚れたと言うか、傷ついた眼鏡をつけていたものだと思います。人間って怖い。慣れって怖い。習慣って怖い。このままずっとその眼鏡をつけていたなら、あたしはもっと目が悪くなっていたことでしょう。ぶるぶるとふるえなければなりませんよこれは。

スプリングコート押し入れから出せば、文明開化の音が聞こえる。

封印の苦闘

2011-04-05 | リッスン・トゥ・ハー
「全然封印できん」

「そんなに封印したいんですか?」

「したいねえ、なによりもまずしたいねえ」

「どうして?」

「だって健康に被害があるじゃない」

「そうなんですか?」

「そりゃもう、かなりのもんよ」

「封印したら大丈夫?」

「大丈夫」

「ではどうやって封印を?」

「ずばりガムテープを使います」

「ずばり?」

「ずばり、と古い言い回しを使ってしまいましたが、ガムテープです」

「ずばり、とは?」

「そこ気になる?」

「とは?」

「まさしく、ってとこかな」

「まさしくガムテープ」

「まさしく」

「しかしガムテープで封印できますか?」

「できるんじゃないの」

「希望?」

「たぶんできる」

「楽観?」

「できないかなあ」

「悲観?」

「OLのお尻を触っていったん落ち着こう」

「痴漢?」

「あかん」

神様に言われた気がした

2011-04-04 | リッスン・トゥ・ハー
いやそんなわけあらへん、とすぐさま否定してやった。神様だった。やつは。って自分が言うとるだけで根拠も自信だってなにもないけれど。神様なんだから仕方ないじゃない、とか言ってた。信じているわけじゃないけれども、もしも本当に神様だったらって思うと、すぐに否定できひん。神様の力はものすごいからきっと。私なんか一瞬で消し去ってしまうから。そんなことになったら悲しむのは春子ちゃんと、あと何人か。たったそれだけか。春子ちゃんならきっとしぶとく生きていくんでしょう。意外と強いんだから大丈夫。

神様はロイヤルミルクティーを煎れて、美味そうに啜り込んだ。下品な音を立てる神様だと思った。神様ならもっと上品に、人間味を感じさせないように啜った方が信憑性があるってのに、わかってない。まるでわかってないって思った。

で、これからどうすんの、とか言ってる。神様に言われたくないそんなこと。神様なら、神様らしく上の方で見守っていればいい。微笑みながら、時には厳しい顔もしながら、見守っていればいいのに。神様は知りたがる。私が勝手にイメージしているだけで、実際はそんなものかもしれない。神様はミルクティを飲み干すと、小さくゲップをして物欲しそう。

なぜ不機嫌になるのか

2011-04-02 | リッスン・トゥ・ハー
「なにをそんなに怒っているの?」

「世の中に対してさ」

「世の中?」

「そう、なにもかもうまくいかない世の中に対してぼくは怒っているのさ」

「怒ることに意味はあるの?」

「ないのかもしれない、しかし怒らずにはいられないのだ」

「それならば怒っても構わないよ」

「じゃあ怒らせてもらう」

「思う存分怒ってくれよ」

「がおー!がおー!がおー!」

「初めて見る怒り方だよ」

「ぼくの怒りはまだまだ足りないぞ!」

「どんどん怒ってくれたらいいよ」

「がおー!がおー!がおー!」

「いったいどういう意味なんだろう、がおー!ってのは」

「がおーってのは、ライオンのイメージさ」

「ライオンのイメージ?」

「百獣の王ライオンさ」

「どうして怒るときに百獣の王のイメージをするの?」

「いかにも強そうだろ」

「ライオンが強そうなのはあの風体で迫力ある声だからで、木下くんががおー!といっても余強そうじゃないけれども」

「そんなことはない、ほら野生動物が近づいてこないだろ?」

「こんな居酒屋にいてもしも近づいてくる野生動物がいたら、それはディズニーキャラぐらいさ」

「まだまだ怒り足りない、まだまだ怒り足りないぞ」

「どうぞ思う存分怒ってくれたらいい」

「がおー!がおー!がおー!」

「強情だなあ」

「ぼくは百獣の王だ!ぼくは百獣の王だ!」

「自分で言っちゃったよ」

「がおー!がおー!がおー!」

「気が済んだかい?」

「ああ、おかげですっきりしたよ」

「じゃあ僕も怒らせてもらっていいかな?」

「もちろん」

「カッカドゥドゥドゥー!」

「欧米のにわとり!」