リッスン・トゥ・ハー

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南緯18度45分、東経22度45分(365日空の旅)

2010-02-22 | 若者的字引
(ボツワナ オカヴァンゴ川の三角州で沼に浮かぶボート)

ボツワナの空を飛んでいる。1月3日。人が二人が乗っているちいさく細長い船、たくさんの藁を積み込み、後方の男が立ち上がり舵を漕ぐ。前方に座る女は進行方向を見て、小さな花を手に持つ。それを見て、ふっと息を吐く。流れていた花をすくいあげてくれた男の不器用な笑顔を思い出してみる。まんざらでもない気持ちになる。こんな気持ち、どれぐらいぶりだろうか久しく感じていない気がする。男と一緒になって、藁を刈り取り積み上げ、船で運ぶ毎日にあって、ときめきというものはまるで感じない。そもそも、親の決めた結婚であり、嫁ぐその日に初めて顔を見た男だった。ときめきなど最初からなかった。毎日が過ぎていくと自分が年を取らないような気になる。同じことの繰り返しで、発展がない。それを受け入れるしかないわけだからいろんなことを考える必要などない。無駄なことだ。でも。空は晴れ渡っている。太陽が強い。藁は黄金に輝いている。女はひとつうなづく。まっすぐ前方を見て、手を、その花を離してしまう。


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