リッスン・トゥ・ハー

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2007-07-31 | リッスン・トゥ・ハー
店はいつも開いている。客は誰一人としてこないのだけれど。必ずおばは店をあける。それが決まりなのだと私に説明してくれた。決まり?と私が聞き返すと、そう、決まりなんや、と同じことを言うだけで、それ以上細かいことを教えてはくれない。店はおばとおじが作り上げたもので、その昔は繁盛していて、何人かの命も助けたんや、とおばは得意そうに教えてくれた。時代が移り、24時間開いている薬屋がたくさんできて、おばの薬屋には、客はこなくなったけれど、それでも、店はいつも開いている。もしかしたら、薬を買いにくる人がいるかもしれない。念のためにあけるんや、とおばは言っていた。仕入れもしていない店に置いてある薬は、どれもこれも埃を被っていて、おそらく使用期限が切れてしまっている。しかし、なんとなく、出番を待っているような、まだ死んでいない、活気が感じられた。


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