リッスン・トゥ・ハー

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南緯22度03分、東経17度02分(365日空の旅)

2010-03-24 | 若者的字引
(ダマラランド地方 日没後のスピッツコッペ山)

ナミビアの空を飛んでいる。1月7日。山は赤く、私は日没後の青白く暗闇がむこうから押し寄せる空にいて、山の頂上、その先、尖ったところに目をやる。大きな岩のようなその山は、うねっていて所々崩れている。ぼろぼろと落ちていく岩のかけらはやがて転がり角が取れて丸くなる。丸くなればつみ上がることなく、柔らかい土のようにほろほろとそこにある。ああ、赤いその土の毛布に滑り込み、朝が来るまで眠り続けることの幸福はいつ訪れるのであろうか、私は嘆いてみせるが、実際損なことは全く思っていなくて、時間さえあれば空を舞い、世界の各地の姿を見ていた方がいくらか有意義で私に合っている。だから私は幸福のため息をそっと、尖ったその山の先端にむけて吐いたのだ。


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