リッスン・トゥ・ハー

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観光、バス転落の巻

2008-08-10 | リッスン・トゥ・ハー
天に昇る。私はその瞬間そう思った。実際には落ちていたのだ。まっ逆さまに、確実に少しとも昇ることなく、自然原理法則に実に真っ当に。にもかかわらず体はふんわりと浮かび、今にも飛び立ちそうになった。それだって、つまりは慣性の法則という奴か、突如としてバスは落下をはじめたので体がついていかなかっただけなのだ。悲鳴が薄く野太く聞こえた。それは感覚が鋭くなり、時間の流れがゆっくりと、ポップミュージックでも流れていそうな、それに合わせて踊る女たちが、舞台上にいるような、ゆるやかな映像にある、悲鳴はそれもまたゆるやかだった。必死さがないのだ、祝福するようなのん気さでいやああ、と小さく聞こえただけだった。クラクションなど、ブレーキ音など、その他音は聞こえない。バス自身も、例えば意思を持っていたとして、バス自身も落下する事自体はもう良いや、という感じで受け入れており、それならそれで楽しんじゃおうかな、という領域まで達しているのだつまりは。閃光。とともに燃える生命ども。


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